映画考察

映画「線は、僕を描く」 - 墨を磨って、筆に含んで描かれる線は

墨をする音。その手触り。 それが感覚的にわかることが嬉しくて。習字の時間に墨汁を使うより、すずりで墨をすっていいよと先生に言われた時のワクワクを思い出した。 小学生の頃から習字に触れていたことを良かったと、今になって噛み締めることができると…

映画「マイ・ブロークン・マリコ」を観た、私の心のなか。

映画館で流れた予告が衝撃だった。 あまりにも、強い映像だったから。 なぜ、このシーンを予告に?なぜ、彼女はこんなことをしている?それが分からなくて、分からないまま避けて通ってもいいはずだった。 どう見ても、刃物を向ける彼女は異様で、向けられて…

映画「今夜、世界からこの恋が消えても」好きなところ

何となく、伝わってくる雰囲気が心地いい気がすると思って観に行ってよかったと、今でも噛みしめる。 全体的なテーマカラーのような水色がじんわり広がる感覚で、真織と透の空気感や、それぞれの佇まいがしっかり記憶に残っている。 公開日から日が経ってき…

映画「今夜、世界からこの恋が消えても」- 水面に映る光のカーテンのように、静かにきらめく眼差し

(具体的なネタバレはせずに書いているつもりでいますが、観に行く予定のある方はまっさらで向かわれることをおすすめします。) 水面に映る光のカーテンのように、静かにきらめく眼差しの物語だった。 映画「今夜、世界からこの恋が消えても」 正直な気持ち…

映画「エルヴィス」圧倒的にゴージャスで悲しいほどに魅惑的

日本版のポスター写真に衝撃を受けた。 その熱で映画館へ行った。 マイクを握りステージから迫るエルヴィス。伸ばす手を掴もうと無数にファンの手が伸びる。 あの一瞬、エルヴィスの眼差し、横顔、伸ばされる手に観客の表情。マイクの輝き。どれを取ってもエ…

振り返してくれるその手を待っている。ディア・エヴァン・ハンセン「Waving Though A Window」

'Cause I'm tap,tap,tapping on the glass (ガラスをトントン叩きながら) I'm waving through a window (窓越しに手を振っているんだ) “tap,tap,”から伝わる手のひら。 ドアをknockするのではなくて、ガラス越しに触れる手に、出たい気持ちとためらいが…

映画「ディア・エヴァン・ハンセン」 - 僕が僕へ宛てた手紙

ふいに話しかけてもらえたのに、どう会話を繋げたらいいかわからなくて、不自然に笑ってしまった。 そんな自分に、何をしてるんだろうと思った。 困っていても笑顔を作ってしまう。相手になにか返さなくてはと思うから。 映画「ディア・エヴァン・ハンセン」…

映画「ストーリー・オブ・マイライフ」ジョーとローリーのことを考える。

まだ若草物語を読めていない。読みたい。 その状態で映画「ストーリー・オブ・マイライフ 私の若草物語」を観て、そうして今考える感想なので、的外れな点もあるかもしれないけれど、「ストーリー・オブ・マイライフ」からの世界線の視点として、 今私は、ジ…

暗闇に浴びるのはドームに響くライブの音。「5×20」レンズが映した嵐は、今映画館で輝く

“鳥肌感知機能”がアップルウォッチにあったなら、 148分の間に過去最高数を叩き出していた。 嵐のライブが目の前に広がる。 映画館のスクリーンで観たのは、 「ARASHI Anniversary Tour 5×20 FILM Record of Memories」 ドキュメンタリー要素は無しにした、…

金曜ロードショーで「タイタニック」とようやく出会った

「タイタニック」を観た。金曜ロードショーで、石田彰さんの吹き替えで観た。 前編、後編に分かれて放送されたこの二週間。気持ちは「タイタニック」の世界に置いてきたままだった。 一生観ずにいるだろうなと思っていた映画だった。 自分には耐えられないと…

2012.07.09「海猿 ザ・コンサート」ー 胸が熱くなるとき、どこが熱を持つのかを知った

「海猿」の音楽がオーケストラで演奏される。 一夜限り、数々の場面と共に、観て、聴くことのできるコンサート。 そんな夜が、2012年7月9日にあった。 映画「BRAVE HEARTS 海猿」の公開を2012年7月13日に控えた、あの夏。 9年前になるコンサートのことを今に…

映画「LIMIT OF LOVE 海猿」ー ずっと胸の中にある大切な映画

映画館に来たはずなのに全く別の場所に居て、 海の上、船の中で彼らと一緒に生きる術を探した。 圧倒的な映画体験と言える時間だった。 どう考えても無理だと、成す術が無くて呆然とするしか出来ないはずの状況で、 仕方がないのだと諦めることを選ばずに真…

映画「海猿」

映画館に映画を観に行くんだと意思を持って触れた作品が「海猿」だった。 父が観に行こうと言って、私と友達も一緒に三人で連れて行ってもらったことを今でも覚えている。 2004年6月12日に公開された作品。17年前。私は9歳だった。 向かったのは大手のシネコ…

「花束みたいな恋をした」の好きだと思ったところ

麦と絹が熱を持って語ったカルチャーは、私の生息する所とはまた違っていて、でも“わからないな”を薄っすら残したまま、この作品を観られたことは、それはそれで楽しいことだと思った。 彼は私だと感じたわけではなくて、彼女は私だと感じたわけでもなく。 …

カルチャーが引き合わせた二人「花束みたいな恋をした」

麦と絹の二人が歩いた恋の話で、カルチャーのある“日々”の話でもあった。 楽しみにしているライブ、音楽、舞台…いろんなものに気持ちが震えて心動かされて、それを全力で楽しんでいる二人の、着飾らない等身大の恋だった。 有村架純さん演じる、八谷 絹。 菅…

“不思議なチカラがわいたらどーする?” 私は…

泣くつもりはなかった、こんなに思い入れがあるとも気づいてなかった。 あの頃の私たちと、今の私たちが出会う待ち合わせの場所、MAHO堂。 映画「魔女見習いをさがして」 「おジャ魔女どれみ」の放送開始から、20年。 はじめは、ああ懐かしいなぁと何となく…

JAZZのムードで、互いの線を進むハーモニー「Lookin' 4」

ほぐれた気持ちでスクリーンに映るエンドロールを見つめていると、始まるセッション。 映画「461個のおべんとう」の主題歌として、井ノ原快彦さんと道枝駿佑さんが、劇中の一樹と虹輝として歌う「Lookin' 4」という歌。 映画館では、フルで聴くことができる…

言葉は少なく、思いが映る。映画「461個のおべんとう」

音楽のように緩急をつけて進む毎日は、静かに、だけど機微に溢れている。 観に行ってよかった。好きな映画のひとつになった。 映画の中で生きるひとりひとりは、一見淡白すぎるくらいに“それぞれ”で、だけど見守る視線はきっとある。その存在に気づいて、受…

僕とキミが一緒にいる理由って ー 映画「僕の好きな女の子」

好きなのに言えない、というより 好きだけど言わない、と心に決めているようにも見える主人公。 映画「僕の好きな女の子」 ミニシアターかピンポイントな映画館でしか上映されていないのがもったいないほど、好きな空気の作品だった。 又吉直樹さんの短編エ…

私の本、私の物語 -映画「ストーリー・オブ・マイライフ」

私は若草物語を読んだことがなかった。 たぶん何度か手には取っていたはずで、だけどそれ以上を読み進めることができず、全体のストーリーも知らないままだった。 「ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語」(Little Women) 【本編の内容に触れま…

伝えたい物語は、この紙の上に - 映画「500ページの夢の束」

心に残る映画を見つけた。 3秒間も人と目を合わせるのも苦手。声は小さい。 そんな彼女の中で、好きが味方になった時の、無敵になれるエネルギー。思い切って飛び出す時の迷いのなさ。 映画「500ページの夢の束」 原題は“Please Stand By” Amazonプライムの…

映画「ダンスウィズミー」歌とダンスに彩られる快感 [ネタバレなし]

[ネタバレは無しで書いています] ミュージカルが大好きだ。 歌に心情が重なって、ダンスに思いが表れる。 日常を生きながら遠慮して、押さえ込んで、殻に殻を築き上げて“感情”のありかを見失う窮屈さの中にいる時、オンリーパッションで突き抜けて気持ちの…

「アラジン」を字幕と吹き替えで観て、感じた印象の変化

まずは字幕で、2度目は吹き替えで観た。 この順番が自分的にはすごくしっくりきたので、もしも観に行くか、どの順番で観るかを迷っている方にはおすすめしたい。 最初に字幕を選んだのは、メナ・マスードさんの演じるアラジンと、ナオミ・スコットさんの演じ…

願いが3つ、叶うとしたら? - 実写版「アラジン」

〈映画本編の内容に触れています〉 一瞬にして変わる世界を夢見ている。 宮殿の中からではなく、アグラバーの人々の暮らしを見て知りたいと願っている。 アラジンとジャスミンが出会い、“まるで…囚われの身”と思いが共鳴する二人。 それぞれが何かに囚われて…

人の心は移ろうもの、ダー子とジェシーの麗しさにご用心。 - 映画「コンフィデンスマンJP ロマンス編」

(ネタバレは無いように書いていますが、個人の判断をお願いします) 放送時間にスタンバイして部屋でこっそりと見ては、その意地のワルさと無茶苦茶さにニヤニヤしていた、ドラマ「コンフィデンスマンJP」 それを映画館で、大スクリーンで、みんなで観る。 …

空から降ってきたあなたとの再会 -映画「メリー・ポピンズ リターンズ」

意識するよりも先に、家には「メリーポピンズ」のビデオがあった。 ビデオデッキに差し込み、しとしと雨の降るあのロンドンの風景を幼い頃に見ていた。 買ってもらった記憶もなく、選んだ記憶もないけれど、大きくてかさばるプラスチックのケースに入った、…

古書に隠した、時のすべて。映画「ビブリア古書堂の事件手帖」

物静かに生きているひとが、報われる世界が見たい そう思って、観に行く映画を「ビブリア古書堂の事件手帖」に決めた。 ミステリーはこわいからと選ぶことはこれまで無かったのに、この作品に関してはそれを気にしなかった。映画が終わり、エンドロールを観…

言葉や仕草から思う、大貫はじめ。映画「泥棒役者」

「待とうと思って」 天ぷらを揚げてくれている美沙を待って、正座でちょこんと座るはじめくんは堪らなく可愛くて、始まってすぐのこのシーンに二人の空気感が表れていた。 温かいの食べてほしかったのにー…とシュンとする美沙に、「やっぱり待とうと思って」…

はちゃめちゃだから愛くるしい。映画「泥棒役者」の魅力【感想 ネタばれなし】

“君は、誰?” 「泥棒役者」のホームページを見た時から、この言葉の書かれた写真が印象に残っていた。なんだかドキッとするようなキャッチコピー。 足を洗ったはずだった元・泥棒は、かつての仲間に脅されて、とある豪邸に忍び込んだ。忍び込んだものの気乗…

映画「泥棒役者」公開直前イベント

映画の公開日まで、あと15日。 応募してみないことには始まらない…と思い切って応募した、丸山隆平さん初主演の映画「泥棒役者」の公開直前イベントが、キャンセル繰り上げでまさかの当選になり、参加してくることができました。 明日!行けますよ!と言われ…