舞台レポート

舞台「閃光ばなし」 - 重たくても錆びていてもエンジン積んで駆け抜けろ

“全速力で迂回しろ” その言葉が心に刻まれて消えない。 舞台「閃光ばなし」を観た。 会場は、池袋にあるブリリアホール。 ホールの前評判ばかりを聞いて、ブリリアホールとはどんな劇場…と思いながら訪れた。 建物は新しく、ロビーは綺麗。お手洗いもスムー…

「ダディ・ロング・レッグズ」へ送る長ーい手紙。【第二幕】

大学2年生になった得意げなジルーシャからの手紙を、なるほど?と言いたげに微笑みながら読むダディに、この日課がいかに楽しいものなのかを感じる。 プリンストン大学、3年生のお兄さまジミーとはどんな人だろう。 手紙を読んでいるダディのように、想像を…

「ダディ・ロング・レッグズ」へ送る長ーい手紙。【第一幕】

舞台を観ていても、ライブを観ていても、時折ステージにいる姿をそっと横目に、壁に映る大きくなった影を眺めることがある。 その影にはステージに立つ姿と別のバックグラウンドを映すように思えて、引きつけられる。 だから「ダディ・ロング・レッグズ」の…

ミュージカル「ダディ・ロング・レッグズ」手紙を書く私と、手紙を読むあなた

手紙を書き送り続けるジルーシャ 夢中で読むが返事を送ることができないダディ 上白石萌音さんのめくるめく声色。 歌声はのびやかに快活で、そしてジルーシャとしてチャーミングさや芯の強さを表すように、時折整えずに語るところもある。 止められない好奇…

東京ディズニーシー「オーバー・ザ・ウェイブ」 - ショーの楽しさを知ったあの日の船旅。船から流すBottle Mail

信じていれば 夢かなうの あなたは素敵よ 大きな船が停まる港で、紺と赤の煙突に、白の壁と黄色のライン。 “S.Sコロンビア号”と呼ばれる船の前で、物語は生まれた。 5周年のアニバーサリーとして始まったショー 「Over The Waves」(オーバー・ザ・ウェイブ…

空いた席は空いてなくて

待ちわびた舞台を、観に行くことを断念した。 簡潔にまとめてしまったらそうなるけど、辿り着くまではそうじゃなかった。 体調を崩していたわけではなく、恐かった。 チケットを持っているのに、観に行くことを断念することがこれまで無くて、こんなに心苦し…

舞台「ロミオとジュリエット」グローブ座におりた、朝露のような瑞々しさ

若々しく、葉に降りる朝露のように瑞々しい。 二人の想いが語らせる言葉も行動も、若さゆえの愚かさになどみえない。 ひたむきに駆け抜けた。想いに突き動かされて、阻む二つの家の憎しみに苦しんでいた。 道枝駿佑さんと茅島みずきさんの演じるロミオとジュ…

マイライフはこのパイの中に。ミュージカル「WAITRESS」

舞台の両サイドに、柱のようなショーウィンドウ。パイがいくつも並んでいる。 幕には、編み編みになったパイ生地と奥に見える赤い果実。 高畑充希さんが、このミュージカルが大好きだと「おげんさんといっしょ」で話をして、 日本語版もまだない「WAITRESS(…

奥さんの笑顔がみたいから ー 舞台「青木さん家の奥さん」1/22

カーテンコール後に藤原丈一郎さんが言った「真っ直ぐ帰ってください」の優しい声を胸に抱えて、真っ直ぐ帰った。 昼公演を観て新大久保となれば、プデチゲやタッカルビ、食べたいものはいつもなら沢山あったけど、 前日までキャンセルボタンを目の前に何度…

忘れたくないマイ・ブルー・ヘブン

「忘れてもらえないの歌」は、出演者さんが21名。 パンフレットを見て数えた限りの人数だけど、劇場の広さ、3時間を超える舞台でバンドやダンスシーンなどがあることも考えると、演者さんの数としては少ないように感じる。 ゆえにすごかったのが、それぞれの…

照明、演出の視点で感じた「忘れてもらえないの歌」

舞台「忘れてもらえないの歌」では、照明の効果に驚き、セット転換や美術のすごさにも驚いた。 ステージの両サイドにあるセットが、ルーレットのように回転することで、闇市のシーン、デパート屋上のシーンなどの場面展開をしていて、大きく移動させずにセッ…

舞台「忘れてもらえないの歌」生きるためJAZZを手にした彼ら

これしかない!!その叫びで行動する人間の、マグマのようなエネルギーを。無我夢中とはどういうことなのかを、目の当たりにした舞台だった。 日常を襲いさらう戦争。爆撃によって何もかもが散り、さっきまでそこにあったものはもう無い。 生きなければいけ…

レッドが最高に似合うあなたの名前はローラ。ミュージカル「キンキーブーツ」で弾けたレディへの憧れ

【この記事では作品内容、ラストについてのネタバレがあります】 レッドがこんなに美しい色だとは ローラの立ち姿に見惚れ、その気品に憧れ、私もこんなふうに凛々しくありたいと思った。 ミュージカル「キンキー・ブーツ」 ブロードウェイで公演されてきた…

歴史を越えても移ろわぬものは - 愛のレキシアター「ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」

レキシの曲だけでミュージカルを作る!! それ絶対楽しい!観る!直感が先走った。 内容も出演者もわからないけど、面白いことが起こる予感だけは確実だった。 出演者に八嶋智人さんが出ると知ってテンションが上がり、松岡茉優さんがミュージカル!というの…

忘れられないことがあるからこそ。 - 舞台「逢いにいくの、雨だけど」

舞台を観に行った。三鷹の芸術文化センターという所へ。iakuという演劇ユニットの舞台を観るために。 「逢いにいくの、雨だけど」 なんだかこのタイトルが好きで、気になった。 一行の頭に漢字がひとつずつなところとか、“けど”と言い残す言葉がある感じで終…

カラフルさと落ち着きのバランス。舞台「泥棒役者」セット・照明の魅力

「泥棒役者」について、映画から数えると、こんなにもいくつも書いておきながらまだ書くのかというのは自分が一番思っていることなのだけど、それでも止まる気がしないので書かせてほしい。 舞台「泥棒役者」を観て心惹かれた理由は、個性豊かなキャラクター…

舞台「泥棒役者」映画からのカムバック、直に伝わる温度感。−後編

その前園俊太郎先生の新しい編集者としてやって来た、佐津川愛美さんの演じる、奥さん。 彼女もまた、葛藤を抱えている。懸命に仕事をしているつもりが裏目に出て、「君の意見はいらないんだ。」と編集長に言い切られてしまう。そう言われた時の奥さんは、手…

舞台「泥棒役者」映画から舞台へのカムバック、直に伝わる温度感。−前編

「まだ終わってない!前園俊太郎はまだ終わってないニャー!」 そう言い切る大貫はじめくんの姿が、目の前に。 始まりは舞台。それが映画になって、主演は丸山隆平さんで。そして、今度は舞台になって帰ってきた。 主演は、丸山隆平さんで。 舞台だった「泥…

忘れられない、みれん横丁の人々

「俺節」を観に行こうと決めたのは、2014年の「フレンド-今夜此処での一と殷盛り-」という増田貴久さん主演の舞台で、ていちゃん役を演じられていた松本亮さんが「俺節」に出演されると知ったからだった。 そして六角精児さんも出演されるということを知り、…

不器用さを抱え歌で生きる。舞台「俺節」

舞台「俺節」 原作 土田世紀さん 脚本・演出 福原充則さん 観たいなと思っていたけれど、観に行けるとは思っていなかった。 どちらかというともう、観たかったなという過去形の心持ちでいたつもりだった。でもやっぱりどうしても。どうしても観たくなって、…

ヴァレンティンの無垢さとモリーナの献身「蜘蛛女のキス」

大倉忠義さんの演じるヴァレンティンと、渡辺いっけいさんの演じるモリーナ。 二人の存在が、思っていたよりもずっと奥深くに住みついたままでいる。 「蜘蛛女のキス」のなかでモリーナが語って聞かせた黒豹女や、ヴァレンティンが想いを寄せたマルタ。誰か…

舞台「蜘蛛女のキス」ヴァレンティンとモリーナを見て私が思ったこと。

東京グローブ座で公演している「蜘蛛女のキス」を観た。 大倉忠義さんと渡辺いっけいさんの二人芝居。歌もなく台詞のみのストレートプレイで、若き革命家バレンティンを大倉忠義さんが演じ、モリーナを渡辺いっけいさんが演じる。 言葉には簡単にすることが…

舞台の話がしたい

いつでも何度でも観ることが出来たらいいのに。 そんな思いに駆られることが度々ある。 どうして終わってしまうんだろう、どうして映像化されることがほとんど無いんだろう。 理由は様々あることも、劇団四季のような仕組みでない限り無期限のロングランは難…

【Page3】丸山隆平さん主演 舞台「マクベス」印象に残ったこと。

丸山隆平さんがマクベスを演じた、舞台「マクベス」 6月26日から始まり、7月24日に千秋楽を迎えて、全31公演。 あれだけの熱量で、1日2公演する日もあったのだから本当にすごい。 まだ書く?と自分でも思うけども、マクベスについての記事、第三弾。 場面ご…

【Page2】丸山隆平さん主演 舞台「マクベス」-マクベス夫人についての感想-

マクベス記事、第二弾。 どこで終わるかは検討もつきません。またいろんなことを思ったので、書き残していきます。 ありがたいことに、二度観にいく機会をもらい、一瞬たりとも見逃すまいと目に焼き付けてきた。気付いた箇所や、ここまでの変化で違った印象…

丸山隆平さん主演、舞台「マクベス」を観て

初めてのシェイクスピア劇「マクベス」を観た。 グローブ座へ来たのは「フレンド-今夜此処での一と殷盛り-」以来のこと。 シェイクスピアと聞いて、どんなステージ、セットになるのだろうと思っていた。 劇場に入ると、ステージはシンプルな作りで二階建てに…