本の感想

流れ星はゆめの色。漫画「モディリアーニにお願い」

キラキラとした星空の中、流れ星を見つけて手を伸ばす。 本を開くと、モノクロのページがカラーのように、鮮やかな景色を映し出してくれる。鮮烈な力を持つ漫画を見つけた。 「モディリアーニにお願い」相澤いくえさんの作品。 美術大学に通う男の子3人の物…

色もタイプも様々な扉、開くと広がる世界。いしわたり淳治さんの著書「うれしい悲鳴をあげてくれ」

こんなに面白くて不思議な気分になる本には出会ったことがない。 初めての体験だった。色もタイプも様々な扉がたくさん並んでいて、それをひとつずつ開けていくみたいだと考えていたら、思い浮かんだのはモンスターズインクのあの扉がずらっと目の前に現れる…

星野源さん「いのちの車窓から」

本屋さんで置かれている表紙を見て、素敵なデザインだなと思った。 白い表紙。画用紙のような手触りの紙質。中央にある素朴で可愛い星野源さんを描いたイラスト。イラストの赤いセーターが白い表紙の中で目を引いて、それから細かく見ていくと足元に描かれ…

丸山さんが舞台で演じる、シェイクスピア「マクベス」を読んだ。

本を読むことは好きでも、シェイクスピアに触れる機会はまあ無いだろうと、なぜか決めてかかっていた。そのシェイクスピアを、初めて読んだ。数ある作品の中で、初めて読む物語が「マクベス」になったのは、丸山隆平さんのおかげだ。4年ぶりの舞台となる丸山…

「 Undress 」感想 《傘をもたない 蟻たちは》

「 Undress 」 内側と外側、当事者と傍観者、その曖昧で危うい境界線を思い知らされる小説だった。“ 自分は 今 どちら側に立たされているのか。優勢なのか劣勢なのか? ” ぐるぐると逆転する立場に読んでいる自分までもが翻弄される。 始まりはサラリーマン…