舞台の話がしたい

 

いつでも何度でも観ることが出来たらいいのに。

そんな思いに駆られることが度々ある。

 

どうして終わってしまうんだろう、どうして映像化されることがほとんど無いんだろう。

理由は様々あることも、劇団四季のような仕組みでない限り無期限のロングランは難しいことも分かっている。分かった上で、舞台の儚さに時折切なくなる。

いつでも観られることがいいことかと聞かれると、それはわからない。違うような気もする。

 

私はやっぱり舞台に恋をしている。

公演期間中のドキドキ感や、公演終了後の切ない感覚は、もう恋と言って大差ない。

沢山の舞台を観たということではないけれど、劇団四季、小劇場、グローブ座、市民会館、様々な会場で観た舞台はどれも、自分にとっての人生経験になっていった。

テレビともドラマとも違う、映画ともまた違う、舞台だから有るもの。生身の人が、今この瞬間に起きた感情で演技をしている姿を目の前で見られる興奮は、ほかの何にも代えがたい。

その身ひとつで舞台に立つ覚悟が伝わるから、観に行く時は相当な覚悟を要する。観ているだけだけど、消費カロリーは半端ない。

劇場という場所に何度行っても、自分が出演するのか?!ってくらいに、ド緊張する。あれは自分でもよく分からない。でも、観に行く側でいてこんな気持ちになるなら、出る側の緊張なんて言ったら、どれ程のものだろう。そりゃあ舞台袖で嗚咽もするわと納得がいった。

 

人対人の真っ向勝負のような緊張感、画面越しではないからこそ直に伝わる人間味。それを見られることが舞台の魅力だと思う。

1日として同じものはない。台詞の言い回し、相手のリアクション、その日その日で移り変わるからこそ、その一瞬が大切。公演初期、中期、後期で役者さん自身の変化も感じられることがとても楽しい。なので舞台はフィクションであり、ドキュメンタリーだと思う。

観終わった後は、堰を切ったように押し寄せる感情の渦を制御するのが大変になるため疲れるけど、感じ取って考えて、頭をフル稼動させる感覚はワクワクする。

 

 

劇場に行くようになって、思ったことが2つある。

1つ目は、舞台のチラシについて。

舞台のチラシはなぜ、抽象的で曖昧な雰囲気のものが多いのだろう?パッと見て、内容の掴めないものが多い気がしていた。作品に原作があれば、それを読むことでいくらかの情報を得ることができるけれど、チケットが発売されるタイミングの大半はあまり情報がなかったりする。開幕へ向けて稽古が進んでいくから、その舞台自体の空気感は、チケットを取って観る時までは分からない。

内容も分からぬままに一般発売で取った「フレンド-今夜此処での一と殷盛り-」が、思いもよらない舞台との出会いだったことを経験してからは、気になる気持ちが湧いてきたら躊躇わずに観に行ってみることを決めた。

しかし、それほど舞台を観に行くことが日常的ではない人にとって、その分からなさがハードルになってしまっているのでは…と思った。分からないからこそ観に行きたくなるという良さもあるかもしれないけれど、でも私自身も情報が少なく戸惑うことがあるから、もったいないような、そんな気持ちになる。

舞台は、終わってしまってから内容を知って行けばよかったと後悔するのが一番つらい。

舞台を観に行くと、同じ劇場で今後上演される作品のチラシを色々貰う。そのきっかけで次はこれを観に行こうかなと心が動くような、そういうチラシにいつか出会えたらいいなと思う。

 

2つ目は、舞台の記録について。

DVD化される舞台もあるけれど、年にいくつも上演されていく舞台の多くは映像化されることはない。特にジャニーズの方が出演する、グローブ座などでの舞台はほとんどの場合、DVD化されない。なので、とにかくこの目に焼き付けようと思うのだけど、映像が残らないのと同じく、舞台の写真もあまり残らないことがとても寂しく感じた。

いくつかの雑誌でゲネプロの様子が載ることはあるけれど、パンフレットは開幕前に作られているため、舞台写真はない。だからこそ、イメージ衣装の写真や稽古の様子が載っている時は、その分うれしくなる。

記憶のまま閉まっておくのも美しいけれど、それならせめて写真で記憶を引き戻せるようにしたい。忘れたくなくても、どれだけ覚えていようとしても、無念にも抜け落ちていく記憶はあるもので、そういう時に写真を目にしたり音楽を耳にすると、鮮明に蘇るから。

 

だからもし可能なら、全公演終了後のお決まりグッズとして、劇中写真の載っている後追いパンフレットなるものを作れたらいいのに…!と思った。

公演を終えて1ヶ月くらい経った頃に、改めて個人インタビューと、出演者が再び集まって座談会なんて開いたりして、今のそれぞれの活躍と当時の思い出話を読むことができたら…

舞台を観に行くことが出来なかった人もどんな舞台だったか知ることができて、観た人はアルバムのような形で大切にとっておくことができる。販売方法に難ありなら、雑誌の増刊号として一冊まるごと舞台ブックに!制作者さん、どうでしょう…!ぜひご検討願いたい。

とまあ、言うのは簡単で、年間いくつの舞台が…と考えると色々あるのだろうなということも分かる。

 

 

いろんなことを考えるけど、結局のところ私は、 

なんで舞台が好きなんだろう

なんで舞台に立っている時の姿が一番好きなんだろう

考えても考えても結論にはたどり着かない。どちらにしても、私はこれからも舞台に恋しつづけるのだと思う。