やって来たのは、みなとみらい。
いつもよりもう一段階しゃんとした服を着て、革靴を履いた。
カバンは小さめで、だけど一眼レフは欠かせないのでサブバッグは持つ。
数年前に、サプライズで予約を取っておいて連れて行ったストロベリーアフタヌーンティーをきっかけに、お気に入りの場所になった母からの誘いに乗った。
インターコンチネンタルホテルのロビーからワクワクする。
季節に合わせた花々の飾りが大きな花瓶に咲いていて、以前は見覚えの無かったケーキとパンを扱うお店、革靴の専門店、
さらに歩いて行くと、年代物の大きな大きなオルゴールが2台も展示されていた。
時間まで数分、やたら包容力のある1人掛けソファーに腰掛けてみたりして、浮かれた気分は見え見えになる。
予約の名前を伝え、席へとご案内。
すれ違うホテルスタッフさんたちから、挨拶が柔らかく飛んでくる。嬉しくて笑顔でペコっと返す。
席は海沿いからの景色と、橋や行き来する小さめの船。
海保の船を好きなだけ眺められて、さらに奥まで目を向けると、今日は豪華客船もくじらの背中(大桟橋)に停泊しているのが見えた。
はじめはアイスカフェラテをオーダー。
今回は、シャインマスカットが主役で、栗と梨の味もちらほら。秋の味覚が集まっている。
そしてスコーンもニ種類ある。
ベリーが練り込まれたものと、プレーン。
温かいスコーンで、スプレッドかはちみつをかけて食べても良い。私はスプレッドとはちみつを合わせて食べるのが好みだった。
クランベリーベリーの鮮やかさで、酸味はそこまで主張しないベリーのスコーンはそのまま食べて十分なほど美味しい。
塗るためのスプーンが、触れて冷たいと感じない人肌の温度になっている気がして、「フェルマーの料理」で見たぞ…!とテンションが上がった。
ベリーに触発されて、次の飲み物はベリーとハイビスカスの風味があるアイスティー。鮮やかなピンクだった。
下段から、ラップサンドイッチ、栗のキッシュ、クスクスとマグロにイクラが乗ってわさびが添えてあるもの。
どれも美味しくて、クスクスをしっかりと食べたのは初めてだった。
中段には、かぼちゃとメープルのクレームブリュレ。
栗のタルト、栗のティラミス。梨のジュレ。
栗のティラミスが見栄えも含めて、思いがけずお気に入りになった。
ティラミスのマスカルポーネ感が苦手でいたものの、このドーム型のティラミスは、しっかり栗とココアパウダーの相性が良かった。
上段に合わせて、飲み物はホットのカフェラテにする。
シャインマスカットのタルト、シャインマスカットのロールケーキ、シャインマスカットと巨峰のムース。
カップに入っているのが、シャインマスカットのムース。
ロールケーキが特に好きな味で、シャインマスカットの瑞々しさとスポンジにある紅茶の風味が意外な魅力だった。
カフェラテにお砂糖を入れずとも丁度いいと感じられる、舌の変化に嬉しくなりつつ、
お話に盛り上がりながら、ひとつずつ美味しく食べた。
その間も、働いてくださっているスタッフさんたちの静かで迅速な対応と観察力には見習いたいものがある…と思いながら見ていた。
記念に写真を撮ってもらいたいと思ったものの、次々とお仕事のありそうな様子に声を掛けられずにいると、フロアではなくカウンターの向こうにいたスタッフさんがすっと近づいて「お撮りしますか?」と微笑んでくださって、
縦と横で写真を撮ってもらうことができた。
縦と横はスタッフさんの計らいで、「確認お願いします」と渡してもらい、大丈夫です。ありがとうございます。と返してから「ごゆっくりお過ごしください」と離れて行った。
気づいて、気遣える人だ…という感動があった。
この時間を過ごせることが当たり前ではないと思う。
ちゃんとした場所に来ようとする時、ちゃんとした時間を過ごしてきたと自分なりに思えていないと、なんだかゆったり過ごせない。
まだ一年の終わりには二ヶ月あるけれど、一呼吸ここまで来たなと思える時間。
大満足で、うれしくて、ありがたかったから、ストローで星三つを折ってテーブルの端に置いた。
お茶会を後にして、お散歩をする。
白にブルーの見慣れない電話ボックスを写真に収めたり、停泊する“America Line”と書かれた豪華客船を眺めたり、用があるほどではないけれどと思いつつ赤レンガの中を見て歩いた。
ハンドメイド作家さんの素晴らしいイヤリングを見つけて、どうしようと葛藤したものの、今回は。お名前だけ覚えさせてくださいと我慢したお店が、
先日のドラマ「マイ・セカンド・アオハル」で広瀬アリスさんと道枝駿佑さんが足を止めたお店で、時差の喜びを噛み締めている。
革靴のHARUTAで、次に迎えるならこれ。と決めていた靴をサイズの再確認で履いたところ、この日のコーディネートとぴったりきてしまって、そのまま履いて帰ることにした。
ローファーで、少し踵の高いヒールタイプを選んでみた。これから長い付き合いになる。
道中、ドラマ「ONE DAY」のロケ地を見かけることも多くて、ここを二宮和也さんが歩いていたなあと思ったりした。
この日もうひとつだけ行ってみたかったのが、ワールドポーターズの中にあるらしい「ブルーシール」というアイス屋さん。
ミニチュアでロゴデザインが可愛いことだけ知っていて、お店は沖縄に行かないと無いと思っていた。
久々にワールドポーターズに入ると、ハワイゾーンが出来ていて、マラサダは列になっている様子。
その中間地点にあった「ブルーシール」
季節のソルティキャラメル&アップルにしようと思いながら並んでいると、カウンター上に、この日はこちらの合言葉を言うと、シングルアイス一個分の値段でダブルに!と書いてある。
そんなことある!?と思いながら、じゃあ…シークヮーサーシャーベットでと決めて、
恐る恐るレジでオーダーすると、ちゃんと一個分でダブルになった。すごい。
合言葉が奇抜なものではなかったことに、優しさを感じた。
シークヮーサーシャーベットは、果実の酸っぱさが爽やか。
ソルティキャラメル&アップルは、シークヮーサーの後に食べたことで甘みが一層増して、甘い!アップルの果肉がサイコロ状で入ってる食感楽しい!が感想だった。
お店のグッズとかあるのかなと思って見てみたら、ステッカーやミニチュアやTシャツなどの取り扱いもあったので、ブルーシールファンは楽しいかもしれない。
念願叶って大満足した一日。
撮った写真をなんでもない日に見返しながら、嬉しい気分は蘇るだろうなと思う。
トンネルの中にいるようだった今年前半。動けない時、動けないなりに、無理を押さなかったおかげで、ここに来られているなと実感する。
ここに今日に連れて来てくれてありがとうと、自分自身にも思う。
来年がどんな自分でいるか当たり前にわからないけど、またここへ自分に連れて来てほしい。