グルーヴのあるビートに、歌声とダンスでいざなわれる楽しさと、
歌詞を読んでいくほど、WATWINGの鼓動が確かに聴こえる感覚になった。
ビートの波に乗る夏なら、欠かせない一曲。
WATWING「Let’s get on the beat」
作詞・作曲・編曲:tofubeatsさん
音に乗り DANCE! 遊ぼうよ さぁ
歌声とサビの引力から、ぐんと視線を独占される。
八村倫太郎さんの歌声と、とびきりの笑顔からのダンスに見ている方までワクワクしてくる。
重心下めで両脚から上がってくる横ノリの振り付けに、広く開いた両腕からフワッと空気を持っていくように動かしてからの、
近い方の頬ではなくて、逆側の頬に手のひらを当てて「さぁ」と問いかける内緒話の仕草がいい。
広がった音楽の縁は今も自分の中に続いていて、ジャズな曲調や楽器の音がしっかり聴こえる曲に惹かれやすい傾向とはまた別の角度の曲に触れる機会になるのが楽しい。
作詞・作曲・編曲のtofubeatsさんのお名前に、わ!っとなる楽しさも、関ジャムなどから知っていくきっかけがあったからだなと思う。
特に好きになった歌詞は、
漕ぎ出してる Motionが
Overwriteする お決まりのシナリオ
振り付けも含めてwritingの動きになっていて、シナリオを超えていくことを“Overwrite”と言い表わすところに魅力を感じた。
その前の一行も、“漕ぎ出してる”で現在進行形なのがいい。
この歌詞が鈴木曉さんの歌声で聴こえると、さらにストーリーが開いていく感覚で、
地声から裏声への移り変わりを聴くことができる。エッジも効きつつマイルドさもある声色だと思う。
そこに髙橋颯さんが続いて、シティポップの雰囲気が増すという表現が合っているか分からないのだけど、都会!という感じがする。
桑山隆太さんの歌声がさらにその都会感にアンニュイさをプラスして、
福澤希空さんの歌声で、tofubeatsさんの作り出す音に浸透していく印象がある。
桑山隆太さんから古幡亮さんでラップが続いて、八村倫太郎さんに繋がるゾーンに突入するとWATWINGとしての士気がますます上がって、言葉ひとつひとつにもっと進んで行く決意がジリジリと溢れていく。
熱を隠さずにはっきりと見せつつ、曲調の弾みと、空気を含んだダンスのかろやかさとで爽やかな風が吹くバランスが興味深い。
曲のなかで『相手』をどう呼ぶか、自分にとっては注目ポイントになっていて、
今回の曲では、“あなたに素晴らしい未来を願うよ”と紳士に語りかけたあとで、“君と僕で”という歌詞も出てくる。
同じにせずに、紳士さと等身大な広い範囲で呼びかける言葉選びに心惹かれた。
それも、“あなたに素晴らしい未来を願うよ”の前に、1番の歌詞、2番の歌詞では“僕らに素晴らしい未来を願うよ”と続いていて、
これからへの願いをありったけ込めて、そして“あなたに”と言葉が移ることで、その決意が伝わってくる。
それぞれの声、アクセントの付け方にも曲の見せ方と個性を感じて、
“Overwriteする お決まりのシナリオ”で、八村倫太郎さんが“お決まり”までで一拍開けて、“の”をジャンプ台のようにして“シナリオ”に繋げていく音運びが楽しかった。
ダンスの好きなポイントを話しだすと、一連の滑らかさがすごくいいということに着地するのだけど、
“素晴らしい”の時に、緩急をつけてかざした手に目線を向けつつ、もう片方の手で首筋をなでる動き。
“W”がハンドサインとしてだけでなく、ダンスに馴染んで、動きの魅力になっているところ。
“恐れないで”の人差し指、首の動き。
“Motionが”で、ぐいーんと腕を広げるところ。
極めつけは、“君と僕で”の福澤希空さんと古幡亮さんとの腕クロスのWサインにぐっときた。
振り付けはShow-heyさん。後から知って、Nissy Dancersとしても見ていたShow-heyさんのつくるダンスに、無意識のうちに引き寄せられていたことが嬉しかった。
そしてラスト。刻まれ続けるビートから、音に合わせてカメラを降ろさせる動作にテンションが上がる。
「Let’s get on the beat」を合言葉に、飛躍していくWATWINGの熱を感じている。