WATWING「Honey, You!」 - どんな時もどんな君もどうしたって好き

 

はちみつみたいな甘さと、オレンジにイエローの合わさったビタミンカラーを歌から感じながら、

“You”のあとに付く『!』に、迷いなく言い切る清々しさを思って、タイトルから鷲掴みだった。

 

英語で愛しい人を表す甘い言葉は様々あるけど、なぜ見慣れたはずの今になって“Honey”がこんなにダイレクトアタックしたのか考えたくなる。

Honey, You!”の一文に、投げかけた言葉を素直にはキャッチしない相手へ向けた、ちょっとのやれやれという気持ちと、それでも好きなんだって!とめげることなく伝えつづける、あっけらかんとした強さを感じるからかもしれない。

ねえ、君なんだって!と、あまのじゃくな相手もなんのそので投げつづける思いのボール。

 

WATWINGHoney, You!

作詞:大橋ちっぽけさん

作曲:大橋ちっぽけさん

編曲:岩崎隆一さん

 

WATWING(ワトウィン)は、ホリプロ所属のダンス&ボーカルグループ。

メンバーは、髙橋颯さん、鈴木曉さん、桑山隆太さん、古幡亮さん、八村倫太郎さん、福澤希空さん。

ダンスのバネ感が揃いも揃ってすごい。

 

可愛げのあるサビの魅力はもちろん、曲の序盤から、

どうせ 何を着てたって どんな表情だって

絶対 僕に愛されちゃう運命なのにさ

包容力を超えた、キャッチャーミットの広さがすごい。

心配性で素のままを見せられずに、重ね着を続けるような心情の相手に、いたずらっぽく微笑むみたいなその言い方は優しすぎる。

 

Honey, You!

そう全部 恋をしてる

きっと半分だって伝わってないんだろう

指をさして真っ直ぐに見つめるダンスも相まって、そう君!な勢いがある。

それでも、“半分だって伝わってないんだろう”と少し肩を落とすところに、共感する気持ちもある。

どんなにお芝居にパフォーマンスに惚れ込んでも、胸のここにある、恋と言い換えたっていいくらいの強い気持ちは半分も伝わらないもどかしさ。

 

続く歌詞の、

他に言う言葉 見つからんほどに

には、“Honey, You!”と韻を踏んだ“他に言う”の音遊びと、

“見つからん”から滲む関西弁に引き寄せられてしまう。

振り付けがグーにした片手でぽかっと自分の頭の横に当てる動きになっていて、言葉が見つからないと言うより、

君を目の前にして、話そうとしていたことを忘れてしまったと表している感じがして好きだと思った。

 

だって そんなわけないじゃん

24/7 完璧なんて あり得ない

今聴いていて励まされるのはここ。

きっと上手くいかない、出来るはずがない、やり遂げた自分が想像できない。そんな怯えで飲まれそうになる時に、

この言葉がこともなげに、肩にめり込んだ荷物を下ろしてくれる。

 

歌詞の中で、相手は投げかけられる直向きな言葉に“「ああ どうかしてる」”と反応しても、曲の彼はめげることがない。

むしろ、“君だけが 僕をおかしくさせるの” “やっぱ 君こそどうかしてるんだよ”と返せてしまうタフさがいい。

 

だって You!

そう全部 君だから全部

僕は 選び 離さずに ここにいるんだよ?

 

ステージに立つ側も、客席から見ている側も、きっとリンクする歌詞で、どちらにひっくり返るにしても胸に響く。

見たくて見ていて、選んでここにいることが真っ直ぐに伝わったらいいのにと思うことがある。

 

“僕を 僕だけを”の歌詞で、力強く自らを指差す振り付けが好きだったり、大サビで肩ごとババッと弾みをつけるダンスが好き。

親指と小指だけを立ててWを作り両手で動かす動き、大きく羽ばたくような動きには、WATWINGの象徴となる翼の要素が盛り込まれていることがわかって楽しい。

歌もパフォーマンスも見たいから、購入した曲を聴くこともあれば、YouTubeにある Performance Videoのバージョンを再生することも多い。

 

関ジャニ∞の「イッツマイソウル」や「Wonderful World」的な、マドンナに揃って一目惚れなテーマが好きな人にはツボかもしれない、WATWINGのMVもある。

それが「WAIT A MINUTE!」ビートも心地良い曲でおすすめ。

 

Honey, You!」を聴いていると、

好きなのに、好きが真っ直ぐに伝わらない歯痒さを実感しながら、逆に素直に言葉を受け取れていない自分にも気がつく。

しっかり出来るはずと自分にプレッシャーをかけ続けたりしせずに、全然格好のつかない自分でもありだと思えるように居たい。

そんなふうに思いながら、今朝もスマホから再生ボタンを押したら、

ジャケット写真がぴょこぴょこ動いていることに気づいて、細かい…!と新たな感動があった。