鳴り止まない恋心、パネルで広がる景色 -&TEAM「バズ恋(BUZZ LOVE)」

 

流れるようにバトンが続くボーカルと、緻密に繋がれていくパフォーマンスに見入ってしまう。

私は可愛い曲にめっぽう弱いなと自覚したのがこの曲だった。

 

&TEAM(えんてぃーむ)

バズ恋(BUZZ LOVE)

 

英語タイトルもしっかり付随しているところに、広いターゲットがあるのだなと思った。

日本語で持つ“バズ”の意味と、英語の“BUZZ”が持つ、蜂の羽の音にあたるブンブンという音や、ざわめき、噂、騒がしさのどれにも掛かった歌詞と振り付けになっている巧みさがある。

 

ベージュかタータンチェックの帽子をかぶるメンバーもいれば、カジュアルに寄せたコーディネートのメンバーもいる。

随所にイエローが際立つ衣装合わせに、どことなく蜂の雰囲気が可愛らしく漂う。

 

CDTVライブライブで見た、完璧なパフォーマンスが本当に素晴らしかった。

それから少し経って、公式YouTubeにダンスプラクティスが同じ衣装近いカメラワークでアップされていて、この波を逃さないプロデュース、流石…と思った。

3分あまりに詰め込まれた構成の素晴らしさに、それを成立させる技術と練習に息を飲む。

ミュージカルのような要素を盛り込んで、メンバーが演者であり大道具を動かし裏方も担うところに、ステージをつくるリアル感を感じて惹かれているのだと思う。

 

パネルを重ね合わせて車を作り、そこに腰掛ける3人のメンバーから始まり、

2枚扉のパネルを3箇所に位置する基本形態。

顔が映らない、パネル裏にいる時間があるというのは、パフォーマンスとしてある意味ファン心に物足りなさを生じかねないリスクがあっても、

個々に際立つパートがしっかりと組まれて、クオリティの高いピースが噛み合うことによって、この一曲の全体的な満足度が上がる。

躍動感のあるダンスをしながら、パネルという道具を見事に扱う。

 

足元の軽やかさがダンスとして特徴的で、プラティクス動画を見ると、スニーカーの音もほとんどしないほどバタつかない着地の柔らかさが分かる。

風に背を押されるように踊る姿が美しく、空気を掴むダンスは涼しげで見ていて楽しい。

重心重めにガシガシ踊るのもいいけれど、緩急で緩を多めにした動きはそれはそれで筋力を使うのかなと想像する。

しかも、9人でのフォーメーション移動は、素早く的確な移動が必要とされていて、柔らかく踊りつつ歩幅を調整する、見ている以上の大変さがあることを理解できる。

 

パフォーマンスもすごいのだけど、音の緻密さにも着目しだすと止まらない。

車に腰掛けている曲始まりに聴こえるイントロが、車のウィンドウを下ろす音を連想させる遊び心の楽しさ。

夏の海辺をイメージさせるエレキギターのカッティングがポイントで鳴っていたり、ドラムのビートが強めに聴こえている中で、“この感情だけ”でさらにベースを効かせるパートがあったりする。

“La la la la”でリズムを刻む直前に、メンバーのコーラスで“uh-”と音階が柔らかく上がっていくところもいい。

 

吹き抜ける風 髪を揺らせば

もう 息も詰まるよ

でくる動きから、

Oh my God! いつだって

話したくて 触れたくて

の滑らかさが大好きで、本当に風に誘われていくような動線とカメラワーク、表情のどれもが完璧。

子音が、“息も詰まるよ”の『よぉ』から“オーマイガー”の『おぉ』で繋がっていたりするのも、メロディーの滑らかさを増幅させていると感じる。

 

メンバーそれぞれの恋模様をメンバーが見守っているような構図で、そのストーリー性も魅力。

“バレていく”で顔を隠して覗かせる動きも可愛いのだけど、同時に足元のつま先を浮かせて踵でステップを踏むところがいい。

ラブレターを渡すジェスチャーが堪らなくキュートで、照れる様子で首に手を当てるのがさらに反則。

後ろで見守るメンバーが各々励ましているのも可愛い。

そこからの“そう君 君がいる”のフォーメーション、胸と肩でリズムを取る動きのメンバーと、センターで腕を上げてリズムを取るメンバーの魅せ方がすごくいい。

V字に広がって、あえて交互に前を向くメンバーと後ろを向くメンバーがいるところも、ダンスを前後から見ることができて視覚的にも見所が増える。

スマホを眺める動きがラインダンスのように連なる流れも美しい。

 

耳元から飛び立つ蜂を捕まえてハートに変える振り付け、見事に車へと戻って揃ってシートベルトを掛ける動き、

3:3:3で別れて並んで、脚を並べていく動きにはラインダンスの美しさ。そこからキックで前進する躍動感。ここのキックで斜め位置の移動を合わせて、今度は手の動きでラインダンスを作る一連が素晴らしい。

“制御不能の”で180度に広がる角度の作り方、

“My heart is in the air”で自分のハートの位置に徐々に上げていく動き、

“It's like a popcorn”の歌詞のキュートさと、しゃがんだ足元の隙間からも手を伸ばして弾けるポップコーンを表現する全力さに目が離せない。

 

それぞれにリアクションをとるパートが個性を見せてくれて、メンバーの名前を勉強する前から視覚で印象に残る。

ベージュのベレーかキャスケット帽子の子からは山田涼介さん的な雰囲気を感じたり、魅せ方から衣装の裾のひるがえり方から流石なのはKさんなんだと覚えたりした。

ベージュ帽子の子がダンスの中で、スマホを持つジェスチャーからくるっと振り返ってカメラのセンターに入るところの完璧さはすごい。

“バレていく”でわずかに映る瞬間に、両手を口元に当てて驚くジェスチャーがぴったりはまっていたところもすごい。

最後の“鳴り止まない”で耳にさり気なく当てる指先や、ハンドルを持つ手と窓枠に合わせた膝の角度もブレがない。

 

ラブレターを渡す、可愛さにアンニュイさの混ざり合う子。

お兄さんの雰囲気がありながら表情にチャーミングさがある方。ボーカルに魅力があって曲調に変化をつけている方。

それぞれの魅力がぎゅぎゅっと伝わってくる一曲が「バズ恋(BUZZ LOVE)」だと感じる。

 

ダンスを観せるなら重心重め、メンバーを映すならカメラ側を向いてなんぼな先入観を覆して、メンバーがその場でつくるステージからくるワクワクを観せてくれた。

緻密な構成を実現させたand TEAMの努力と、このステージングをひとつも取り溢さず映すことに全力を注いだ、CDTVライブライブのカメラさんのプロフェッショナルに感動した。

蜂のようについて回り離れない。可愛さと翻弄を表現したパフォーマンス。

なめらかにバトンが渡っていく歌声に、気づけば頭の中で鳴り止まない。