関ジャニ∞が冬景色のなか、列車から見せてくれたのは、懐かしき停車駅 - ドームライブ「18祭」

 

関ジャニ∞が見たい景色と、見せたい景色。

eighterが見たい景色と、見せたい景色。

ふたつが同じ重さで吊り合ったライブだった。

 

アリーナと、スタジアム、そしてドームでのライブ。

どこで観ても関ジャニ∞のライブは関ジャニ∞のライブで、ここでなくてはという思いはそんなに持っていなかった。

それでも、際立って横山裕さんから今の関ジャニ∞でドーム公演をしたい気持ちが強くあることは伝わってきていて、その時を楽しみに待っていた。

 

前回、東京ドームに訪れたのは、2019年「十五祭」の最終日だった。

メンバーのキャラクターイラストが風に揺れる旗、毛筆で書かれた名前ののぼり、設置されたモニュメントには8人のぬいぐるみの姿があった。

おおよそ3年も、ここに来ることが無くなるとは、あの時考えもしなかった。

 

2023年 1月9日 月曜日

関ジャニ∞ ドームライブ18祭・冬

東京ドーム 17時開演

 

上へ上へと登る階段で着いた席は、照明さんと近いくらいの高さの天井席。

ステージに向かって右めの位置で、遮るものなくすべて見渡せる席だった。

開演前の緊張、高揚感に足してホームの安心感がある不思議な感覚がする。

 

オープニングの映像が始まり、機関車のクラシカルな車内で待ち合わせた関ジャニ∞が、ひとりずつ合流していく。

大倉忠義さんと村上信五さんは向かい合いで窓側に腰掛けて、横山裕さんは大倉さんの隣に座り、アイマスクにネックピローを装備して眠る気満々の安田章大さんがほんわか登場する。

丸山隆平さんが最後なことにソワソワしながら見ていたら、しっかり鳴りだす発車ベル。

走り出した列車の窓から、引っ張り込まれる丸山さんが間に合ってなにより。

 

メンバーひとりずつの紹介映像は、銀に白の和装で紛う事なくかっこいい。

ドームの横に長い大スクリーンに、顔と名前がどーんと出る迫力と熱気は、この会場だからこそのものだと再認識した。

 

機関車のスモークの中、待ち焦がれたイントロに中央のステージに現れた関ジャニ∞が歌い始めたのは、

“待ちわびた今日に 繋いできた想い”

歓喜の舞台」だった。

ドームの真ん中で、ステージごと照らされながら見える5人の姿は、勇姿そのもの。

ブルーの衣装が合っていて、すごくすごくかっこいい。

これまでのライブで歌う機会があったとしても、そうせずに大切に取っておいていることが伝わっていたからこそ、ついに…と嬉しくなった。

 

 

スタジアムでのライブタイトルは「18祭」

夏から冬になり、ツアーとなる公演が、タイトルを引き継いでどんな変化のつくライブになるのか。あまり想像できなかった。

でも来てみて分かる、関ジャニ∞が観せたかったもの。

 

七色パラメータ」が聞こえた時、ぎゅんと心が跳ねた。来て良かったと思った。

そうさひとりよがりの夢だけど 君は引き止めたりしないで

Meaning of smile 見送ってくれた

この曲が好きで好きで。

いつか聴きたかったけど、セットリストに入ることはなく、音源で聴けるだけで幸せかなと思っていたのも忘れる頃、今聴けるとは。

調べてみたら、ツアー途中でセットリスト入りした曲だと知って、ますます今日の日にいてよかったと噛み締めた。

久しぶりの念願のドームで聴くこの歌詞は、ますます意味を持って胸に響いた。

 

開演を待つ間、座席を眺めていたら、アリーナ席が上から見た時にハートになる配置になっているように見えて、

開演して一気にペンライトが光ることで、やっぱり大きなハートが贈られている気がした。

愛でした。」で眺めるハートのアリーナ席は、愛そのもので、抱えるには大きすぎてのけぞるラブレターを受け取っている気分だった。

 

もうひとつ、大きすぎるサプライズだったのは、

応答セヨ」を歌ってくれたこと。

バンドで、丸山さんの歌い出しで、“つまずいてばかりの僕を 君だけは笑わなかった”が聴けたこと。

応答セヨ 流星 僕を信じてくれた遠い日の僕よ この声が届くかい

その歌詞で、カメラに抜かれて映る丸山さんの表情が、“応答セヨ”の声が、直球で飛んできて、

消えかかるモールス信号を引っ張り戻すみたいに呼ぶから、答えずにいられない。

見失いそうな時 いつも瞬いて 僕を導いたよ 「追いついてみせろよ」

その「追いついてみせろよ」に、悔しさも憧れも希望も入り混じる気持ちが込み上げたあの頃がブワッと心に帰ってきた。

 

曲のひとつひとつが、関ジャニ∞を好きになって、大阪へ行って暮らすまでしていたあの頃に時間旅行をした気分になる。

好きになりたてで遡って見続けたライブで披露されていた曲に、「強く強く強く」からアルバム「元気が出るCD‼︎」「ジャム」の年代。

ステージ側の両サイドのモニターに、曲名、リリース年、収録CD名が表記されていたのが良くて、2007年などの数字を眺めてはそんなに前だったかと驚いた。

いっぱい聴いたからこそ聴けなくなっていた一定期間のリリース曲を、今の関ジャニ∞の感性で魅せると決めてくれたライブなのだと気づいたら、

これから作っていく新曲を重ねていく道だけを貫くのではなくて、パート分けからなにから大変なのを承知でもう一度聴けるようにしてくれたのだとうれしさで胸がいっぱいになった。


蘇ってくる数々の記憶が、確かに関ジャニ∞のいる世界で自分の日々をがんばっていたことを示していた。

円形ステージ、元気印、「Black of Night」の心拍音。

「Black of Night」の片手を添えてグーでパリーンとガラスを割る振り付けと音も、当時の振り付けそのままで、“僕たちは”の足踏みダンダンダンも、“ラビリンス”で両手をひらひらと下ろしていく動きも馴染みのままだった。

少しクロスさせた足元で、紳士に胸元に手を当てるおじぎからの「EJ☆コースター」でダンスを見られた嬉しさに、大阪!がコール&レスポンスの「TAKOYAKI in my heart」がアンコールに入る懐かしさ。

どれも全力で楽しんだ色褪せない記憶になっていることが、観ながら再認識できた。

 

MCの奔放さ、5万5000人を時に巻き込み時に置いていくトークは相変わらず。

誰がこの後の村上さんが出演する生放送番組に飛び込み参加するかという話題で、すったもんだありつつ、ジャンケンで一抜けかと思いきや自ら勝ちにいって大倉さんが行く?と決まりかけたら村上さんがやっぱごめんと断るターン。

なんとなく誰になっても村上さんはそう言った気がするけど、ライブ後の心身を気遣った見事な話題転換だと感じた。
ただ、素直に黙ってはいないのは、一番に予定が無ければ行ったと話した横山裕さん。

なんやそれ!と納得がいかなくて、地団駄を踏む横山裕さんが無邪気な5歳児だった。

うさぎも怒るとダンダン足踏みするよなあと思いながら、横山さんのプンスカでオチがついたのも流石だった。

長くなりすぎたMCに、イヤモニへと全員ではけてくださいの指示が出て、いつもと違う所からはける時にわらわらとドリンク入れのカゴを持ちながら、大きなステージで小さく集まる関ジャニ∞が面白かった。

 

元気なおじさーん!で「はーい!」と元気よく手を上げる横山裕さんも、

冬コートに橙色のゆったりめタートルネックが儚く似合う横山裕さんも、

力みが和らいで、ドームに響く声量で思いっきり高音も突き抜けて歌った横山裕さんも、

ギターソロでカメラに抜かれて手元を映される見せ場ができて、バンドの立ち位置も右側になることがあったりと変化を突き進む横山裕さんも、

中央ステージでちょい後ろからメンバーがぎゅっと集まって並んでいくのを眺めつつ、勇気を持って真ん中に割って入ってみたけど照れてぴゃっと後ろに下がったのを、安田さんが呼び戻して嬉しそうな照れ笑いで真ん中にいる横山裕さんも、

どれもこれも見ていてひたすらにうれしかった。

 

 

リスペクトを込めたジャニーズメドレーが健在で、何度でもざわめきときめきを成立させる選曲はすごいものだと感じる。
「初心LOVE」で重ねると思いきや、「ダイヤモンドスマイル」を仕上げてきた関ジャニ∞も、

シンデレラ・クリスマス」に酔いしれているのに、変な気持ちにされるメッセージの送り合いも、まったくもう…好きだと思う。

丸山隆平さんと安田章大さんの歌う「シンデレラ・クリスマス」を聴けた嬉しさ。

歌詞に合わせて安田さんが、ハーフアップにした長めの髪をすっと耳に掛け直す仕草をしたり、節目がちにチャッとサングラスを瞬間的に外したり。

丸山さんの甘さが増す歌声に、冬場のマシュマロをのせたホットココアを思い浮かべたりした。

 

大好きな「ブラザービート」を関ジャニ∞バージョンで観られる楽しさ。

イーアルサンスー係を、満を侍して受けたであろう丸山さん。突き抜けすぎて行方のわからない暴走っぷり。

「まいったネ、今夜」を、ハットにスーツで渋く決めた村上さんと大倉さんで観られたのもすごくよかった。

ステージに用意された屋台に、ドームでもやりよった!と思ったら、のれんには“肉貴族”の文字が。ドヤ顔でお肉のお皿を出す大将は大倉さん。やりよった。

 

また口いっぱい食べることになる丸山さん。次の曲でもまだもぐもぐしてる丸山さん。

ライブ中に焼き肉食べるってどんな状況…?

丸ちゃんはほんとに、なんでこんなに笑顔にさせてくれるのか。ダンスのかっこよさに、歌声の心地良さに、ほほえみにつられてしまう。

普段そんなに笑わないけど、お腹を押さえるほど笑わせてくれるのは丸ちゃんで変わりない。

最後の挨拶でみんなの思いの丈を受け止めようとした姿も、一番最後にパーン!を全身に浴びてたまらない様子も、丸山隆平さんだった。

 

キャンジャニちゃんとの再会も嬉しかった。

村子がちゃんと髪をセッティングできるようになったことが素晴らしい成長ポイント。

スタンバイの丸子と村子がしっかり膝を立てて、横子の座る位置を作っている様子に、横子のための気品の座…と感慨深かった。

 

ペンライトの海のなか浮かび上がって見える、8BEATとも言えるハート、セットリストに組まれた曲ごとのメッセージ。

こんなラブレターを受け取ったら、返したくなる。

楽しくて、嬉しくて、必要で、無我夢中に追いかけたあの一年一年を、それこそ列車の駅みたいに辿っていくライブになっていた。

駅なら通り過ぎても、そこに在り続けることは変わらない。

立ち帰ることはできるし、恋しくなったら途中下車の旅も有りかもしれない。

今回のツアーのエンディングソングのように頭の中で流れてきたのは、ゴダイゴさんの“銀河鉄道999”だった。

 

エイトレインを見ながら、銀河鉄道の夜についても思ったりした。

関ジャニ∞がエイトレインで連れて来たい景色があったんだろうなと思う。

ここにしかない景色」がまさにそれを表していた。

キミトミタイセカイ」でもある、“景色”は大切にしたいテーマだったんだなと受け取った。


安田さんが話したなかで、「これからも仲良うしてな」と客席に向かって言った一言と微笑みが、なんだかダイレクトに胸にきた。

自然なその言葉も、自然と微笑み返していたこのやり取りも、馴染みのある温度感だなあとしみじみした。

 

バンドで、ムービングステージに乗り近づいてくる関ジャニ∞から、特に大倉さんのドラム音が直に上に聞こえてくるのがわかって、

生の音だ。大倉さんが叩くドラムだとテンションが上がった。

一応、ある程度の発声許可があるとはいえ、あまりに長い年月をかけて習得した、発声無しで拍手で伝えるくせは思う以上に自分にもついていて、

おずおずと、少しずつ取り戻されるものに、なんとも言えない感覚も味わっていた。

それでも「勝手に仕上がれ」は、細胞が沸く。

ニーニニニニーが続くスクリーンにシュールさを感じながら、シンプルな一音が取り戻させてくれるものがあると思った。

 

 

ライブ本編の最後に歌ったのは、

ひとつのうた

大倉さんは曲フリの時に、あの時(十五祭)の時は複雑な気持ちで歌ってたけどと、複雑そうな笑みで目尻を下げて言ったけど、

あの時はあの時の記憶として、何も考えず観ていた私は、あの後の知らせをもってしても、円形ステージで全体を見渡しながら大切そうに歌うそれぞれの表情が温かみを持って思い出せるから、

歌ってくれてよかったという気持ちが変わらずにある。

 

そうして、3年が経ち戻ってきた東京ドームで、

また会えてよかった 輝いてた 君はまた

そう歌う大倉さんを観て、本当にそうだよと思った。

移ろいゆく景色 全ての色を 愛しく思う

という言葉も、ひとつひとつがその通りだよと思った。

 

関ジャニ∞のドームライブに行くと、行ってきたというか帰ったような感覚になる。

送るべき日々を送って、会いたくなる人たち。

例えるならそれは親戚の兄ちゃんみたいで、年一は会いたい。もっと会えるならそれもいいけど、たまにこうして、おう!どうしてた!元気か!まあいろいろあるよな、また会おうやって言ってほしい。

惹かれたのは ここにある 熱いモノが 似ているから きっとそうだろう?

「ひとつのうた」で歌うこの一行に、頷くほかにない。

ステージにいる姿を見て、人が、歌って、踊って、楽器を弾いて、関ジャニ∞なりのあらゆる引き出しで魅せてくれていると感じる。

人だ、と思うたび、このステージをつくってくれてありがとう。パート分けの覚え直しや、ダンス練習、振り起こし、ひとつずつに向き合って、ここにきてくれてありがとうと思う。

 

十五祭の時、横山裕さんが関ジャニ∞は俺らだけのものじゃないと話したことが、どこかずっと切なかった。

今回のライブで、じっと言葉を探しながら、俺らだけのものとも思っていい気がすると言ってくれたことが、最高に嬉しかった。

意味分からんかもしれへんけど…と自信なさげに言ったけど、意味分からなくない。それ。それすっごい嬉しいですと伝えたかった。

俺らだけのものと思うことにした、でもなくて、“とも思っていい気がする”の『も』にそれだけではない範囲も含む柔軟な優しさと、芽生えた思いが感じられて嬉しかった。

 

関ジャニ∞関ジャニ∞を楽しんでくれていることが、何よりうれしい。

ライブをしている関ジャニ∞がいっちゃん良いと言う横山裕さんが心強い。

エイトレインというはちゃめちゃな列車に乗って、帰省できて良かった。