この心臓を確かに鳴らすのは8BEAT 【後編】

 

ついにきたバンドセクション。

 

トランペットの音が聞こえる!と見上げたら、高く組まれたセットのてっぺんで吹く横山さんがいた。

右側のセットには安田さんがいる。

スクリーンだった壁が裏っ返り、無骨な鉄骨のセットに照明がついた。せりだしてくるドラム。大倉さんが踏むバスドラムの振動が足元から響く。

右に村上さんが弾くキーボード、安田さんのエレキギター。左にエレキギターで横山さん、スタンドマイクを前にベースの丸山さん。

鳴らす音は「8beat

ああ、フェスに連れて来てくれたんだとわかった瞬間。

ライブ最初の「Re:LIVE」で、歌詞を変えて安田さんが歌った、“eighterをeightが連れ出すよ”の言葉。“僕らが連れ出すよ”の通りに連れて来てくれたんだと思った瞬間だった。

 

横山裕さんが、エレキギターを持っている。

スクリーンに大映しになった時、そのスタンドマイクにはピックが刺さっていて、ギターを弾く人だ…とただただ見つめつづけた。

丁寧に大切に、集中して弾いているのがわかった。

 

感情が堰を切ったのは「」だった。

勝手に仕上がれ」を、会場から上がる声援なしで盛り上がれたのは、心の声が実際の音声として会場に響いてくれていたから。

こっからはフェスですね!了解!となってからの、拳の突き上げ。ペンライトを持ちながらの“ニーニニニー”が物凄く楽しかった。

もしペンライトのリズムに迷っても、村上信五さんがキーボードを弾きながら、もう片方の手を掲げてノリかたをリードしてくれる。

 

どこかのタイミングで、ペンライトを振る客席を見ながら横山裕さんが「ああ、熱が伝わるわ」みたいなことを言ってくれていて、

声ではなくても熱は伝えられていると感じた。


ベースを弾くため、向かって右サイドに暗転の中走って行く丸山さん。

左サイドはギターを弾く横山さん(ギター交換もしてた!)

ベースを弾きながら、左側の花道に来てくれて、すぐそこでベースを弾く丸ちゃん!ネックの指先が楽しそうに動く。にこおっと目尻を下げて笑って、戻って行く背中が眩しかった。

かき回して、ドラム台に片足をかけながら弾く安田さんの反対側で、エレキギターを弾きながら片足をかけた横山さんにぐっときた。

そして台に乗った安田さん。え、大丈夫?そんな高いとこ乗って、大丈夫?とおかんスイッチが入りかけたけど、ジャーン!でジャンプした安田さんに、楽しんでジャンプしたくなるほどなら良かったと思った。

 

金の幕バッサア!!“関ジャニ∞”!!毛筆!!

バンドセクション終わりで、さらに幕バッサア!で落とすという演出に、惚れずにいるのは無理だった。

 

セットリストのラストに「キミトミタイセカイ」を置いたこともびっくりした。

歌いに歌って、踊って、バンド演奏をして、最後の最後に喉…!!と思ったけれど、ライブという広い空間で歌うこと。

自分たちのマイクでトライもエラーも恐れずに思い切り歌う開放感が、喉が鍛えられていくのはこういう時間でもあるのかもしれないと思った。

“ナミダ溢れて”で、手話の涙を表す動きをしていた安田章大さん。歌うように自然に手話の入る表現が、これまでも今も変わらず素敵だった。

 

横山裕さんの敢えて髪をかっちりさせない、ふわっと金髪が最強だった…

丸山さんのはけてからお直しして来たでしょ!な耳掛けヘアアレンジの威力たるや。

ちょうど白のスポットライトが照らされる所にいて、メンバーの眩しさかライトの眩しさか…見ているこちらが溶けて消えるかと思った。


とにかく近くて、これ以上近付くのは無理なほどの距離。

メッセージうちわも持って来ていて、それが関ジャニ∞のライブに行きだして初めて、おずおずと作った“投げキッスして?”というせめてもの恐縮の『?』を付けたものだった。

このうちわ…この距離なら伝わるかな…と畏れ多くも持っていたら、AmBitiousの浦陸斗くんがすすーっとこちらへ歩いてくる。

目が合い、うちわを見て。小首を傾げるようににこっと笑って、両手の先を揃えて口元から投げキッス。

飛んできたー!!

自分が見せておきながら、…っ!???だった。伝わった?!という感動と、なんですあの丁寧な可愛い投げキッス!?の動揺。すごい…すごかった…

 

Jr.の子たちが公演ごとに3人ずつ自己紹介していて、

「せっかくなのでアクロバットしてもいいですか」と言った子の“せっかくなので”が気に入った関ジャニ∞

横山さんが「俺も言ってもいい?」と参加し始める展開に。

さらに次のJr.の子の一芸、“擬人化アイドル”に、「俺もやってええ?」と参加しだす村上さん。キャッチャー役のJr.の子に対して、ピッチャーをすると花道中央まで出てきて、嬉々として後ろを振り向き、カメラに抜かれる村上さん越しのJr.の子。

「職業病やな」と困ったように笑う村上さん。背にボールを握った風の手を持っていってからの足上げ投球ピッチは完璧。

その、村上さんからの無茶振りに見事に応えていたのが、投げキッスの浦陸斗くんだった。

 


ライブ序盤であった、交互に着替えてくる間の大倉さんと丸山さんのMCも新鮮だった。

話すことを決めていなくて、出て来てから「何話すー?」な二人。和やか。

みんな着替えて、盛り上がるところにいつ入るかを見計らう村上さんと安田さん。コントの仕込みのよう。“…よしっ”の勢いで会話に入る二人。

 

11月28日の昼公演だったので、MCで横山裕さんの口から藤原丈一郎さんと野球を観に行った話を聞けて、

当たり前のように藤原丈一郎さんのことをよくよく知っている関ジャニ∞に、しあわせな気持になった。

そして、その話を関係性込みで理解しながら聞ける喜びも噛み締めた。

 

ライブ最後の挨拶は、

一人一人の言葉が、事前に何を言おうと決めていたというより、この場に立った時に思うことを話そうとしていたように感じて、受け取る自分もうれしかった。

丸山隆平さんの挨拶の番になった時。

出てきて、しばらく見渡して言葉の出ない丸山さん。

昨日の夜、見たペンライトの光景が、歓声が耳に残響のように残って、眠れなかった。こんなに嬉しくて眠れないことがあるんだなあと思ったと話す丸山さんの言葉を、大切に聞いた。

挨拶中にステージ上のセットのスタッフさんの物音が聞こえて、「カッシャーン言うてね」と笑ってつっこんでいる丸山さんも良かった。

 

ふとした拍子の行動に、ああライブだ。関ジャニ∞だ。と感じることがあって、

“がちょーん”なのか、“ガオー”なのか、片手でポーズをしていた横山裕さんを見たり。

昼公演に入っていた記者さんたちについてのトークの中で、“記者(汽車)”の語感に丸山隆平さんが「ぽっぽー」と反応したノリから、最後まで「記者さーん!」「ぽっぽー!」を気に入って繰り返していたり。

花道を歩く時に安田章大さんの手首を謎に掴んで離さない村上信五さんがいたり。

真剣な顔をする機会も増えたけど、ここでは変わらないくしゃくしゃの笑顔で笑う大倉忠義さんがいたり。

ライブで観る関ジャニ∞だ…とうれしかった。

 

アンコールの手拍子の時に、ステージ上の天井で右に左にスイングしているライトが虹色で、綺麗だなーと見上げていたら、

アルファベットになっていると気づけた時の嬉しさ。二段になっていて、“RE LIVE”と”“EIGHT”の文字があったと思う。

 

アンコールで満を辞して披露。

関ジャニ∞ on the STAGE

ポップアップ決められない丸山さん。衝撃。哀愁。

“ポップアップ決めてドヤ顔”のはずが、シュパーン!!と飛び出てきたメンバーの着地と遅れて、ぬうんと出てきた丸山隆平さん。

“ポップアップ!決めて”の辺りで出てきて、“ドヤ顔”の歌詞なのに、んんー?と納得のいかない顔の丸山さんが何とも言えない表情で、それを隣で見ていた村上信五さん爆笑。止まらぬ笑い。

丸山さんの肩に手を当て励ましながら、でも笑いが止まらない。困り笑いの丸山さん。

“フードを被れば はいアイドル”で、丸山さんの頭にフードを被せてあげながらまだ笑っている村上さん。

 

横山裕さんの“声掛けるのやめたってなー?”も甘噛みぎみで、一個から連鎖する決めきれなさがまさに歌詞そのものな人間味で、楽しかった。

今回の村上信五さんは一味違う…!をますます確信したのは、“後で電話するからな!”の後の歌詞で、ジェスチャーはするものの鼻の横で指突っ込む風にした村上さんを観た時。

これまでの村上さんなら、しっかり突っ込む気がしたけど、村上さんはかっこいいということを、特に今回は正面から魅せてくれていると感じた。

 

あの息つく暇のない曲を出来るの!?と驚いている間にやってのける関ジャニ∞

とにかく楽しい。関ジャニ∞ライブあるあるを関ジャニ∞ライブでやるシュールさ。

だけどダンスは一つ一つの動きがコミカルかつ可愛くて、“耳塞ぐ”のジェスチャーも、“なんやねんそれ!の連続”で漫才ツッコミの手の動きを繰り返すところも良い。

スクリーンに大きく映る文字と、関ジャニ∞が並んで歌う“なんやねんそれ!の連続”は、とんでも展開なはずなのに、メロディーも相まってなんか泣きそうになる。

Jr.の子たちが観客役になっている演出も面白かった。

台車に乗り手を振るメンバーに、わー!と手を振る。“銀テープ!”はステージに向かって放ち、大きめクラッカーも放つ。そして回収に必死なJr.たち。

銀テープをしっかりまとめきってステージからはける見事な仕事ぶりに感動した。

 

曲が終わってから、横山裕さんから「丸、大丈夫か?」の振りがあって、状況説明を聞けることに。

みんなでステージ下に待機して、イントロ流れて、ダンダンダン…を聞きながら両側はシュパーン!ええ?!からのぬうん登場で“ポップアップ決めてドヤ顔…?”だった様子を、丸山さん本人が再現してくれた。

 

 

今回のライブ「8BEAT」で、

バシッと真っ直ぐな眼差しを見せる丸山さんや、会えて嬉しい気持ちがファンへのリアクションに素直に表れてる村上さんを見ていて、

立ち位置、キャラというような役割分担にとらわれない関ジャニ∞を見られた気がして。

ニュートラルに、僕も人、君も人、と感じるお互いの間の空気が心地良かった。

 

何度も何度も、横山裕さんがいる。村上信五さんがいる。丸山隆平さんがいる。安田章大さんがいる。大倉忠義さんがいる。そうやって一人ずつ確かめるように目で追った。

 

こんなに楽しい日があるなら日々を進んでもいいか!と、しんどさだって容赦ない日々に向かって、ドヤ顔で言えるくらいにフル充電されたエネルギー。

2年近くの時間をギュン!と引き戻して。

今目の前にいるのが、今の関ジャニ∞

この曲たちを持って魅せるステージが、今の関ジャニ∞だと、壮観な迫力ではためく旗を目の当たりにしたライブだった。