東京ドームの天井を見上げて舞う銀テープが綺麗で。綺麗で。
まさに祝いの一夜だった。
関ジャニ∞ライブツアー「十五祭」
9月3日、東京ドーム公演。ツアー最終日。
私にとっては初日であり最終日のライブ参加だった。待ち焦がれていたこの日。約2ヶ月間、ありとあらゆる情報源から逃げ、最終日の参加だというのにネタバレを一切見ることなく、私はこの情報との戦に打ち勝った。
徹底的な枯渇状態になってみようと思いついて、関ジャニ∞の曲をツアーが始まってからの期間ほぼ聴かず、ライブへ向かう当日の道中にようやく解禁とした。
ありとあらゆる情報から離れていると、いつもは自然と入ってくる関ジャニ∞の話題に触れることができず、自分ひとり孤島に居る気分で、今の自分のテンションは一体どこに…ライブで盛り上がれるだろうか…と思ったりした。いまになってみると、関ジャニ∞のライブが楽しみだ!という気持ち以外の情報を持たず、ライブに挑めたことは幸せだったなと感じている。
東京ドームシティに入ると、関ジャニ∞の曲があちこちから聞こえてくる。植木にスピーカーが隠れていて、東京ドームシティ全体のBGMが関ジャニ∞と化していた。
近づくと見えてきたのは、高々と掲げられたメンバーひとりひとりの名前が書かれている旗。今回はスポンサーさんの表記まで旗になっていて、ズラーッと立ち並ぶ景色を見れば自然と高揚感は煽られた。
当日になって知った入場ゲート。
そこは、もしかするともしかするかもしれないゲートだった。
ざわつきだす心を落ち着けて、入場し、伏せられたチケットをせーので開く。アリーナ席と書かれた文字。信じがたい出来事に声も出ない。2階のスタンドから見る景色がドームライブの醍醐味だと思うほど、これまでもほとんどの公演での席は上方だった。
スタンド席からの階段を降りて行って、ゲートを閉じているスタッフさんにチケットを見せて、芝生の感覚を足に感じるなんてことがあるとは思いもしなかった。前方ブロック、花道はすぐそこ。そしてなんと、お手洗いにいつでも行ける通路側の席だった。なによりも通路側であってほしいと願っていた私は本当にそれがありがたかった。
ドームでのライブの開場時間は開演の2時間前に設定されているのに、どうしてこんなにあっという間に時間は過ぎるのだろうか。
開演前には、ドームの空中を飛行船が飛んでいて、ドローンで操作するような動きで客席を上空から映し、アピールするお客さんには操作している人のさじ加減でズームアップされたりする。
スクリーンには、関ジャニ∞のメンバーそれぞれが出演してきたドラマのダイジェストが流れ、その合間にはなんともシュールな通販番組風のグッズ宣伝映像が流れた。エイトレンジャー、ブラックがおすすめするマジカルバンド。キャンジャニ丸子が暴走しつつオススメするキャンジャニポーチ。
そんなバラエティに溢れた映像を見ていたら、まもなく開演。
15分前から、スクリーンにはデジタル時計が映し出されカウントダウンを始めて、意味のある数字になる度、その数字が脈を打つ。あと1分になると、白い背景のスクリーンに大きく「FINAL」「Are You Ready?」「今日で1000万人達成!!」の文字が。
5、4、3、2、1
ボルテージが急上昇して、立ち上がった客席の熱気に応えるように、関ジャニ∞ライブツアー「十五祭」が幕を開けた。
オープニング映像は、巻き物のように右から左へとぐわーっと地続きの大きなスクリーンに、大河ドラマ戦国時代風の関ジャニ∞の歴史振り返りで始まる。そこに描かれるのは8人の関ジャニ∞の姿。これまで触れることはなかった、触れる機会のなかった本来の関ジャニ∞の歴史を、わずかなオープニング映像という時間のなかユーモアを交えて解説してくれた。
イラストで描き、やたら重厚感のあるナレーションで進行していくから、そこに触れられることが自然なことのように思えるけど、今まで口にしてこなかったことやその時間の長さを考えると、これは革命とも言える出来事。去年でもなく来年でもなく今年、この形で関ジャニ∞として築いてきた歴史を書に記せたのは大きな前進であったと思える。
そして、スクリーンに映し出される6人のシルエット。
ただの黒い影なのに、圧倒的に強い。
登場した関ジャニ∞。最初に歌うのは「∞ o'clock19」
知ってる!でも知らない!この少し置いてかれる感じが、まだ自分が知らずにいた頃の関ジャニ∞を時空を超えて見ている気持ちになって嬉しかった。
そこからノンストップの容赦ない楽しさ懐かしさサプライズの嵐。息つく暇もないってこういうことかと感じるほど、間髪入れずなスピード感がすごい。ライブ初披露の「月曜から御めかし」の驚きも一瞬にして次の驚きに流されていく。曲のタイトルロゴが完全に月曜から夜ふかしのパロディーで、スクリーンに大きくそれが映されていたことだけは見逃さなかった。
スタートからフルスロットルだったのは村上信五さん。ファンからの人気が高い「一秒KISS」で“ナイナイナイナイ!”と歌う村上さんのフレーズも全力で見せきった。横山裕さんの力強い“KISS KISS!”が聞けたのも感無量だった。
過去のライブで湧きに湧いた曲を乱れ撃ちと言えるセットリストで、初めてのドームツアーで歌っていた「Eightpop!!!!!!!」や、長年披露してもその度盛り上がる「ブリュレ」など、実際にその場に居なかったとしても、ライブDVDで見続けてきた景色が今ここに復活している凄さに圧倒された。
「ブリュレ」では、メインスクリーンに一切映像を映さず、レーザーとバックステージでのパフォーマンスに視線を集中させる思い切った演出に驚いた。
私にとっては「関ジャニズム」が初めて買った関ジャニ∞のライブDVDで、あまりの可愛さに胸が苦しくなった錦戸亮さんと安田章大さんの「アイスクリーム」そして有無を言わさぬかっこよさの「Masterpiece」のダンスを見る夢が、今回叶った。そういえば「Masterpiece」のダンスは丸山隆平さんが大苦戦して発狂しかけていたやつだ…!!と思い出してからは、決めのダンスに注目して見ていたけど、“OH OH OH OHー!”はしっかりマスターできていた。
今回は夢のユニット曲復活はほかにもあり、丸山隆平さんと大倉忠義さんの歌う「二人の花」は白のフルセットのスーツで胸には花が飾られていて、突き抜けて清々しい丸山隆平さんのハイトーンボイスに、大倉さんの低音ボイスとサビでの声の相性が素晴らしかった。
横山裕さんと村上信五さんは「はにかみオブリガード」を歌い、横山裕さんはトランペット、村上信五さんはキーボードを演奏した。
「ありがとうな」「こっちこそな」の台詞部分も忠実再現。オーラスしゃかりきテンションだった村上信五さんが、シンメで立つ隣の横山裕さんに踊り狂う姿でアピールするものの、横山裕さん振り向いてはくれない。だけど、ラストの高い位置でのガシッと握手は阿吽の呼吸で、二人のこの空気感にたまらなさを見出す人が多いことも理解できる。去年でこの選曲はせず、今年の披露だったからこそ、意味を持たせ過ぎずに楽しいサプライズとして受け取ることができた。
メインステージから2本の花道が伸びていて、中央には円形に上がるステージ。そこから両サイドに花道。スタンドに近いセンターにもステージがあるというセットが組まれていた。
メインステージには西の遊園地を彷彿とさせる海外の雰囲気の街並み。
左側にはCDのジャケット写真を大きくプリントしたディスプレイ。大きなBabyのお顔も飾られていた。壁のレンガの一部はエイトレンジャーのメンバーカラーに塗られていて、別の箇所の壁はパズル柄になっていて光る。ジュークボックスも壁に埋め込まれていて、その隣には門の前に剣が2本クロスして閉じている。くちびるくんマークの下に道案内の看板があって、◯◯streetと何か英文で細かく書かれていた。
バイオリンなどのストリングスさんも右サイドのステージに居て、管楽器の方々もこちら。横山裕さんにとってのトランペットのお師匠さんもいらっしゃった。今回はトロンボーンも持っていた気がする。
よく見ることはできなかったけど、右側には赤と白の縦縞の日よけが可愛いお店屋さんがあって、窓の向こうに何か飾ってあったりした。小さな横山裕さんと村上信五さんのBOYが置いてあったのも右側。
街並みを表現したセットには、街灯がいくつか灯っていて、
少し静かになったところで、安田章大さんにスポットライトが当たり、すこし話してから歌い始めたのは「Street Blues」
ああもう。と思った。好きで、好きで、好きで仕方ない曲。
シングルCD「応答セヨ」通常盤に収録されていて、JAZZの雰囲気に大人なムードが息をのむほどかっこいい。お酒に酔う感覚とは、まさしくこういうまどろみの空気感なのだと、歌を聴いて酔う感覚を経験したのは初めてだった。
それを、ライブで、直接聴ける日がくるなんて。夢のようだった。安田章大さんの歌い出し、スモーキーな声色がCDで聴いていたままで、後ろに灯る明かりがムードを増し加えて、安田さんの艶やかな声に捕まり動けなかった。暗めな照明の中、このまま安田さんだけで歌うのだろうか?と思っていると、ほわっと照明が広がり、高めに腰掛ける椅子にメンバーそれぞれ座っているのが見えて、“ha-”と重なっていくコーラスに心まで歌声で染まっていく。
ちょうど対角線上に見えたのが丸山隆平さんで、なんて贅沢な時間をすごしているんだと瞬きさえ惜しかった。
アコースティックコーナーがあったことも最高のサプライズだった。
ブラシでリズムを叩く大倉忠義さんがすごく好きで、今回も2曲ともブラシでの演奏だった。東京公演9月3日に演奏したのは「ロイヤルミルクストーリー」と「蒼写真」
日替わりだとは知らずに観ていて、どちらも聴きたい曲だったからとてもうれしかった。「蒼写真」をライブDVDで初めて聴いた時は、あまりにヒリヒリと切実で、どうしてこんなに重なりすぎてしまう曲を歌わせるのだろうと数年前の時点で感じていた。けれど今は、聴く自分も年齢を重ねたからか、聴いた印象は違うものだった。
いつも満たされたわけじゃない だけど明日に胸躍らせ
雲を掴もうと伸ばした手は あの日の少年の夢
ままならないことが起こることは、ただ辛く苦しいものと割りきれるものじゃない。過去があることの愛おしさと、ここに生きて、人と一緒に居ることの意味を思うと、「蒼写真」はただ切ない曲ではなくなった。
曲のラスト、小さなピアノを片手だけで弾いた後で、口にくわえていたピックをすぐに持ってアコースティックギターを掻き鳴らした時の錦戸亮さん。錦戸亮さんの魅力がここに!と声を大にして言いたくなった。綺麗に見せる美しさよりも、武骨な人間味の溢れた魅力が素敵だった。
中央の円形ステージで歌った「二人の涙雨」
イントロを聞いた瞬間、おおお…!となったのはこの曲だった。
無限に聴いていた時期がある「二人の涙雨」関ジャニ∞の歌う歌謡曲がたまらなく好きで、「My Last Train」とも近い気がする“哀愁”としか表現できない味わいが、関ジャニ∞の風情にぴったりと合う。スタンドマイクを使って、ダンスパートナーのようにスタンドマイクをエスコートする様子の色っぽさに胸を打たれた。
そこからの「ナイナイアイラブユー」ドゥーワップのハーモニーが大好きで、アルバムが出た当初に最も気に入った曲がこれだった。振り付けも理想そのもので、腕を揺らしリズムを取りながらの動きや、コーラス隊のようなポジションどり。大倉さん がアップで映されての低音で喉の効いた“パッパシュビドゥー”が見られたことが、ガッツポーズをしたくなるほど嬉しかった。
「大阪ロマネスク」の歌い出しが揃って聞こえた時、ああ聴くことができるんだと懐かしさの引き出しが開く感覚がした。
花道の途中にはもう一つステージが小さく四角くあって、高く上がっていく。私が見ていた席のすぐそこにそのステージがあって、横山裕さんが乗った。近くて、そこに、いる。何度も“ありがとう”と口を動かしていた横山裕さん。「大阪ロマネスク」を歌うその表情までも目の前で見られていることの貴重さがあまりに自覚できすぎて、見つめていたい。でも見つめていられない。
今回のライブほど、ありがとうを伝えたくなって、ありがとうと書いたうちわを持って来てよかったと思ったことはなかった。
バンドがあり、ダンスで魅せて、ファンサービスも欠かさない。
それがこれまでのライブでのスムーズな進行になっていたと思うけれど、今回の十五祭はいきなりファンサービスの嵐。それはさながらドームの空間を松竹座の空間に変貌させたかのようで、物理的にも心理的にも、距離の近いものだった。
ダンスもあり、アコースティックもバンドもあり、コントコーナーや映像の時間を今回は控えめにしたことで、その分曲数を増やし、十五祭の東京公演最終日で披露したセットリストは46曲。アンコールで14曲のメドレーをすること自体、驚く。
「Tokyoholic」から「勝手に仕上がれ」で会場のボルテージは最高潮になり、アリーナから見た景色は拳を突き上げている人、ペンライトを挙げる人、両手を掲げてノリノリな人、様々だった。
観ている自分ですら会場が盛り上がるツボが肌で伝わって、ステージからこの全体の熱の渦を見ている関ジャニ∞はもっとすごい景色を見ているのだろうと思った。
東京ドームで、東京のど真ん中で「Tokyoholic」を歌う関ジャニ∞。“Hey!”を全力でさけんで、もう明日の喉はどうなってもいいやと“K!A!N!J!A! N!I!E!I!G!H!T!”をコールして、“ニーニニニー”でピースサインを作りながらペンライトを振る。楽しすぎる。
今回のライブでキーワードのように感じたのは、光の乱反射。
「Crystal」の演出はもちろん、ミラーボールが反射させる光がドームの天井に散らばる様子、レーザー、小さくて四角い舞っているテープが照明によって赤くなったり青くなったりする景色。
ライブの間、トロッコに乗っている背中を見つめていた。思うよりも小さく、でも大きい。
高く上がるクレーンや、トロッコに乗っている背中の向こうに、ペンライトの光が無数にあって、その数だけ人がいて。眩しいライトに見えなくなりそうなその背中が。すごい空間でステージに立ち続けて、挑みつづけている人だと、尊敬する思いが止めどなく溢れた。
アンコールに歌ったのは「ひとつのうた」
ファンが“la la la la la…”と歌うフレーズがある、穏やかで優しいこの曲。いつかライブで観られたらと願っていた曲だった。
キラキラ輝く 夢を抱き 旅してる
移ろい行く景色 全ての色を 愛しく思う
“全ての色を愛しく思う” そう歌うのを聴いた時、そういうことなんだと思った。
十五祭で魅せたかったもの、今ここで振り返ったことの意味が。
いつまでも肩を並べて
君と歩く泣いて笑って
惹かれたのは ここにある熱いモノが似ているから きっとそうだろう?
大サビの最後の行を歌ったのは村上信五さんだった。
安田章大さんがぴょんぴょんと動き回っていて、楽しそうで。本当によかった。安田さんが向こうの花道を全力疾走するのを見た大倉さんが、競争しようと走り出すものの、あまりに安田さんが速かったからかわりと早めに諦める様子も可愛かった。
終盤の映像のなかで、“最低で最弱の時もあります。でもそれも含めて僕は最強なんだと思います。”と話した大倉さんの言葉は深く残っていて、“最高で最強の関ジャニ∞”でい続けてくれることだけを私は愛しているわけじゃないなと実感した。にこーっと笑う大倉さんが素晴らしく可愛かった。
どの曲でだったか、普段はない安田さんより高い高音のハモりをアレンジで入れていた錦戸亮さん。どの曲でも、声の出し方にためらいが無くなって、ガツンと声を投げるようになった気がした。村上さんの決めポーズに笑う錦戸さんの笑顔が無邪気で、グッときた。
序盤のはしゃぎようから、最後まで体力が保つのだろうかと心配だった村上信五さんは、最後の最後までフルスロットルで、アンコールからはグッズのイッツマイバッグを謎にリュックのように背負い、ペンライトを取り出して、聖火ランナーのトーチのように持って走る。おおはしゃぎだった。
楽しみながら、ひとつひとつ大切に客席を見ていた横山裕さん。「大阪ロマネスク」の時に、歌っていないパートでもリズムをとる姿が印象に残っている。アンコールで出てきて、挨拶をして「じゃあ!」と帰ろうとするのを“えー!”とドーム全体がリアクション。わかってるねーと笑う横山さん。明日のことを気にしてしまうから、「明日のこと気にすんなよ!」は我慢を解放してくれる言葉だった。
穏やかな笑顔を見せてくれた丸山隆平さん。「ちょーんちょんって感じ」でノリにのったかと思ったらMCでメンバーの良くなったところを丸山さんが言う流れになり、安田さんを褒めたら「うるさいだまれ」と鋭さスイッチの入った安田さんに一刀両断されたりもして。「Street Blues」を歌うシックな表情。ベースを弾く動きは、見せ方を考えてというよりも身体が自然と動いているネックさばき。真顔変顔、いろんな表情を見られた。
十祭があって、十五祭。
たった5年の間にこんなにも。
ライブDVDで見ていた十祭。関ジャニ∞を知りたい!と思ったのがその頃で、次の周年を待とうと決めていた。そしてついに迎えたこの時。十五祭のライブの場に、5年経った今でも関ジャニ∞を好きな自分としていられたことが嬉しかった。
ダブルアンコールは「無限大」
わかってますとも!と言わんばかりにファンみんなで担当する歌い出しのパート。“関ジャニ∞”を全身で浴びるライブが十五祭だった。
公演全てが終わり、暗くなったはずのスクリーンに突如
【15:00】と開演前のように映し出された数字。【15】だけが画面に残り、【15→16】のあとで【to be continued】
と映された文字。会場全体のどよめきが凄かった。
15年目から、16年目の始まりを告げた関ジャニ∞のこれから。こんなに楽しい!!を体感できる場所はここにしかない。十五祭という思い出が、人生のなかにまたひとつ増えたように、人生年表=関ジャニ∞の活動年表になりはじめていることに気がつく。
それなら、また会いたい!を原動力に、今を歩こうと決めた。