喫茶ロマン。恋焦がれた喫茶店

 

恋焦がれた喫茶店

映画「ばしゃ馬さんとビッグマウス」を観てから、いつか行くんだとずっと思い続けて、気づけば喫茶店そのものが好きになった。

映画で知って以降も、CMやドラマ、いろんな撮影で使われているのを見るたびに、ここ!行きたい所!と熱量だけが重なった。

 

だからこそ、ファッション誌「CLASSY」に掲載された、なにわ男子 大橋和也さんのページを開いた時は、ハッ!と口を手で抑えた。

このお店…!憧れの喫茶店の席に、大橋さんが座っている…ナポリタン美味しそう…

あの空間に馴染んでいる姿。好きと好きの夢の共演に、私はこのページを家宝にすると決めた。

 

この状況下になって恐れていたのは、間に合わないことだった。

近所のお店でさえ、容赦なく閉店してしまう。

まだ間に合うだろうか。朝ごはんもお昼も食べずに出てきた都心で、食べるならナポリタンにしたいと決めていた。

怯えながら調べた店舗情報。“営業中”の文字を見て、これ以上ないほど嬉しかった。

間に合う。今日訪ねる自分は小さな存在かもしれないけど、ナポリタンを食べることでお店がこれからもそこにあってくれる何かになるなら、ちゃんとお客さんになりたいと、念願叶ってロマンを訪ねた。

 

工事中の外壁に不安を感じつつも、Googleマップの言う通りにセブンイレブンを越えて左に曲がると、何度も写真で見てきた、“喫茶 ロマン”の文字がそこにあった。

 

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階段を上がって、右手に入っていくと「いらっしゃいませ」と迎えてくれた店員さん。

いつもならどんな席でも座るのだけど、今日だけは。おずおずと話しかけて、「あの、関ジャニ∞の安田さんのを観て…」と話すと、すぐにわかってくださって、タイミングよく空いていたその席へと案内してくれた…

まさに撮影で座っていた席。

座れたらと思っていたけど、座れると思っていなくて。い、いいんですか…という気持ちで席につく。

すると席には、大橋和也さんへのメッセージ用ノートが。もしかしてと思ったら、安田章大さんが撮影で座った席と、大橋和也さんが撮影で座った席は向かい合わせで同じボックス席だった。

大橋和也さんは後方の席でも撮影をしていたので、2席あった。ただ私にとっては、この席が夢の席。2人のロケ地をいっぺんに経験するというまさかの展開は完全にサプライズ。

 

なんってことだ…ミラクルすぎる…座るの恐れ多い…

お腹は空いているけど、ナポリタンが喉を通るか…

安田章大さんへのメッセージノートは、もう4冊以上になるほど重なっていて、お店の方が親切にそのノートを持ってきてくれた。

代わりに大橋和也さんのノートを下げようとしてくれたところを、どちらもなので…と照れながら伝えて、どちらも書かせてもらった。

 

オーダーは、ナポリタンとクリームソーダ

安田章大さん寄りなら、オレンジジュース。

大橋和也さん寄りなら、ナポリタンとレモンスカッシュ、パフェの3点セットだったと思う。

茶店を楽しみたい気持ちと、ロケ地としても味わいたい気持ちとのせめぎ合い。

 

ノートをそろそろ書き終えるタイミングで、ナポリタンとクリームソーダがやってきた。

何度も何度も映画の中で観た席で、角の丸い窓を横に。雰囲気のある花柄のガラス窓を横目に、本当に来られたんだ…と感動しながら、粉チーズをかけてナポリタンを食べる。

ケチャップの酸味がちゃんと味わえるナポリタン。パスタもしっかり太め。玉ねぎ、ピーマン、ハム。ケチャップと玉ねぎの甘味に、ピーマンのバランスが良かった。

 

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デザートとして飲むクリームソーダ

グラスからして可愛い。なみなみに注いでくれているのも嬉しい。

アイスが溶けないものなら、いつまででもクリームソーダ越しの窓の景色を眺めていたかった。

 

誰かと来ていたら、ここにいる自分を記念に撮ってもらえるのだけど、今回はそれが難しいからじんわりうれしさを噛み締めた。

座っていた席が右だったか左だったか記憶が定かではなくて、安田章大さんの演じた役は左に麻生久美子さんを押して右に座った気がするけど、大橋和也さんはどっちだったか…

頭の中だけで考えて、左に座っている今、右に座り直すのもなんか…といらない自意識で葛藤する。んーと考えた末に、ちょっっと右に動いてみた。

帰ってきてから確認したら、大橋和也さんは向かいの席に座っていた。

そうなると、ナポリタンシチュエーションで向かい合わせみたいになっていたんだなーと、良いように考えることにした。

 

座った席から見る、目の前の景色は恋焦がれたあの空間で。

馬淵さんと天童くんが見た景色もこうだったんだなあ…

何のために書くのか、才能ってなんなのか、才能ってものがないならじゃあいつまで続けることを選ぶのか。

2人が向き合ってきた時間を思い返して、私もほんの少しだけそこに重なった気がした。

 

 

ひと席ごとに天井から降りている照明も魅力的で、傘から見える丸い電球のオレンジみがかった明かりは落ち着く。

お店の中にある本棚には、漫画がぎっしり並んでいて、ここで本を読むのもいいなーと、早速また来る理由を探したくなっていた。

想像よりもお店の中は奥行きがあって、座席数もある。お食事も楽しめる喫茶店なんだとメニューの多さからも思った。

もう少しゆっくりしたい気もするけど、同じお目当ての方がいらっしゃっていたのもあって、クリームソーダを飲み終わったら行こうと、1分ずつを大切にすごした。

 

お店を出て、階段下の“喫茶 ロマン”の看板を撮ろうと一眼レフを持っていたら、そばにいたおじちゃんから「すごいカメラ持ってるなあ、今みんなスマホやのに」と声をかけられて、「写真好きなんです」と何気ないおしゃべりをした。

なんだかそれが、大阪の中崎町にいた頃の通りすがりでもおしゃべりを始められる距離感に似た懐かしさで、うれしくなった。

重そうな買い物袋を運んでいたおじちゃん。大丈夫かなと階段を上る先を見ていたら、喫茶ロマンに入って行った。お店の方だったのかもしれない。

 

ようやく喫茶ロマンに来られたうれしさ。

「ばしゃ馬さんとビッグマウス」の世界観に入れた感動。安田章大さん、大橋和也さんのいた空間でもあるんだと感慨深い。

後から、増田貴久さんも撮影に来ていて、飲んでいたのはクリームソーダだったと知って、偶然の一致!とますますうれしかった。

念願叶ったひと時は、あっという間でも、思い出にずっと残る時間になった。

 

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