ブリリアントカットで光をあつめて。 なにわ男子 First Arena Tour 2021 【後編】

 

映像パートへと切り替わって、画面越しになにわ男子とキャンプに来ているシチュエーション。

カプレーゼを食べさせたい大西流星さん。

次々と、あーんをさせたいメンバー。最後に来た大橋和也さんに手を差し伸べられてついて行ったかと思ったら、すぐ隣にあるプールにぶん投げられて水浸しになるまさかのオチ。先にプールにいたメンバーの心配顔と、1人で助かってプールサイドから「ごめーん」と手を合わせてペコペコしている大橋和也さん。ひどい、けど可愛いからいい。

映像がカラフルで綺麗で、長さも丁度良かった。 

 

プールサイドの映像の後は、じゃーんと浴衣に着替えて見せるなにわ男子。おいでおいでからの暗転になり聴こえてきたのは、しゅわしゅわとソーダのはじける音。

Soda Pop Love

ソーダの泡のようにシャボン玉が沢山浮かぶなか、中央の円形ステージからなにわ男子が登場。それはずるいってーと笑みが溢れてしまう。

しかも浴衣に着替えて、背中の帯には自分の団扇。浴衣のデザインが、バンダナちっくなペイズリー柄の生地をメンバカラーすべて合わせたデザイン。西畑大吾さんには“DAIGO”とワッペンがついていたりして、揃いでありながら個性も加えられていた。

浴衣で踊ることも考えられたデザインで、裾に少しスリットが入っていたり、浴衣下に柄のついたパンツを合わせているのも素敵だった。

 

 

デビューしてからのライブを観に行けたらいいかなと思っていたのが、Jr.であるうちのライブが観たい!に変わったのは、オリジナル曲が多くはないからこその先輩の曲をカバーでパフォーマンスする魅力に気づいたからだった。

この曲を歌っているなにわ男子が観たい…!を、これまでのライブでも次々叶えてくれた。抜群な選曲と、セルフプロデュースのセンスも感じることのできるカバーに心惹かれた。

今回サプライズだと感じたのは、Mr.KINGOh!サマーKING」の選曲。

King & Princeとして活躍する平野紫耀さんと永瀬廉さんは、かつて関西ジャニーズJr.として同じく肩を並べていた頃があった。その縁を思うと、Mr.KINGの「Oh!サマーKING」を今、このタイミングで歌えたことが、特別であることは十分に伝わった。

 

Kis-My-Ft2Sha la la☆Summer Time」も、夏がはじけてキラキラと水しぶきが上がるような涼しさが眩しかった。

“夏生まれが5人もいまして”の歌詞の語感が好きだな!と思っていたら、実際のなにわ男子メンバーの誕生日に合わせて大西流星さんが指を4にしながら“夏生まれが4人もいまして”と歌詞を変化させていた、ジャニーズWESTOle Ole Carnival!」の選曲も楽しい。

 

さらに夏を感じさせた、 

オモイダマ」から「夏疾風」で「夢わたし

あらためて、関ジャニ∞の「オモイダマ」から嵐の「夏疾風」の存在感。なにわ男子の「夢わたし」がそこに連なるんだと実感することができた。

このセットリストをできるのは、Jr.としてのライブだったからかもしれない。

Jr.でなくてもカバー企画は楽しいからしていこう?と思ったりするけれど、ファンクラブに入って、そのグループのライブを観に来ていることを考えると、歌いきれないほどオリジナル曲があることは嬉しいことかもしれないと思った。

配信ライブでもしていた、「夏疾風」の“聞こえる声”でジェスチャーを合わせる藤原丈一郎さんと道枝駿佑さんは健在で、2人で照れ笑いしている様子も微笑ましかった。

着ていた衣装が、ユニフォーム風のデザインではなくて、野球ボールのあの赤いステッチをあんなに素敵にデザインできるのかと感動した。

 

 

あまり事前リサーチをせずにいて、今回ツアーについている「Lil かんさい」の登場に、なにわ男子のライブに来ていながらにして、あんなにしっかりLil かんさいを観られるなんて、いいんですか!?と感動しきりだった。

踊ってる!メンバー紹介がある!さらに「Lil miracle」を聴けるなんて。

いつか聴きたい。が思わぬ形で実現して、夢中で見つめて記憶に焼きつけた。

大阪公演と愛知公演での披露曲が「Tell me Tell me‼︎」に変わっていたと知って、「Lil miracle」は初めてLil かんさいのパフォーマンスを観る人たちが多い場所で披露。すでに松竹座やテレビなどで観る機会のある関西圏では「Tell me Tell me‼︎」で新鮮に楽しめる工夫がされていたのかもしれないと思った。

 


宝石ロゴのプリントされたフラッグを持つ関西ジャニーズJr.にもワクワクした。

なにわ男子のライブに来ていて、メインがなにわ男子であることに変わりないけど、関西ジャニーズJr.の空気を濃く感じられたのは、東京公演でも関西ジャニーズJr.を呼んでキャスティングしていて、去年の関西ジャニーズの配信ライブで知った視点があったからだと思う。

単独でのライブも成立させられるLil かんさいがいて、さらにまだグループは組んでいない関西ジャニーズJr.の子たちもいる。

ホームの温かさがありつつ、切磋琢磨の気概が表れたステージ。

名前が分からないながらも、目が離せなかった子たちがいて、目が足りない!とキョロキョロしっぱなしだった。

 

ジャニーズソングで畳み掛けるゾーンでは、

一曲目から直球ストレートの「シンデレラガール

スクリーンにキラキラのロイヤルな背景を背負って、この曲の登場でパールにツイード衣装で来るのは、完璧。

見たいなー見られないのかなーと思っていたところへのサプライズ。ステージ上に見ても美しい衣装だった。センターに立つ道枝駿佑さんのハットにロングジャケットの似合い具合。ロングジャケットを羽織ってもなお、脚は長い。

時折振り付けに合わせた形でハットの後ろに手を当てる動きが王族のそれだった。

岸優太さんの歌うパートを大橋和也さんが歌うところに、自分にとっての好きの傾向がもろバレな感じがして恥ずかしささえある。芯の通った歌声が素晴らしかった。スタッカートな歌い方をする部分も忠実に歌っていて、それも良かった。

ラストの決めポーズは、マイクを下ろすスピードと角度も揃えてしっかり再現していた。

 

そして「シンデレラガール」からの、

ジャニーズWESTBig Shot‼︎

 

Go Go Jump!! 掴めよVictory

このMusic 君へ届けYell

ステージの階段上段に横一列にならび、エスコートから鼓舞へと変わる。グングンと上がっていく高揚感が最高だった。

見ていて胸が熱くなるのがわかった。

熱気というのは、見せようとするのも作ろうとするのも難しいものだと思っていて、それでも全身から気迫が溢れている、足を一歩前に踏み込んだ前傾姿勢のパフォーマンスに、眺めるではなく引き込まれる感覚になった。

情熱は君の鼓動がくれた答えだ

信じた自分 見えたなら

それだけで未来は きっとGREATだろ

がらっと目の色を変えた、なにわ男子の表情がさらに心を熱くさせる。

曲の持つパッションはもちろん、後ろの映像も曲ごとに凝っていた。

映像から伝わる勢いが凄くて、赤の文字が目立つことで視覚的にもテンションが上がっていく演出がとても良かった。

 

そしてユニットに分かれて、大西流星さんと長尾謙杜さんで、SMAPJoy!!

イエローとオレンジのセーラーで水兵さんっぽさがあるデザインの衣装が、画面越しに見ていた好きな衣装だったこともあって、なんて可愛い2人!!と思った。

Jr.の子たちがスーツや消防士などの様々な職種の衣装で登場して、本家のパフォーマンスと同時に思い出していたのはTAKATU KINGのライブ演出だった。


少年隊の「君だけに」を、大橋和也さん藤原丈一郎さん西畑大吾さんでパフォーマンスしたのは、西畑大吾さんの考案だったそうで…訂正しましたすみません。

しっとりと、積み重ねてきた時間をパフォーマンスが物語る。最高だった。

「君だけに」そのものが大好きな曲で、“星空を ああ海が風”の歌詞は特に胸に刺さる。渋谷すばるさん、横山裕さん、村上信五さんの3人で披露した忘れ得ぬリサイタルの記憶が蘇った。

西畑大吾さんをセンターに、向かって右に藤原丈一郎さん、左に大橋和也さん。3人揃っての手元がスクリーンに大きく映って、それから指パッチンでクロスする藤原丈一郎さんと大橋和也さんの腕の動線が美しかった。

“My sweet heart”からの追いかけて歌うパートを大橋和也さんに任命した方に表彰状を差し上げたい。振り付けも、止めの箇所も、ジャケットのひるがえりから指先まで。バレエの所作が体に馴染んだ大橋和也さんのダンスに見惚れた。

 

道枝駿佑さんと高橋恭平さんで披露したのは、KinKi Kidsの「欲望のレイン

年下組に位置する2人であるとしても、これほどにシックに大人びて魅せられることに驚きだった。以前に2人で「torn」を披露した時からもっと、表現力が深くなっている。

 

さらに、イントロでおお…となった、嵐の「Truth

“迫る真実”のパートを担う大橋和也さんに鳥肌だった。鬼気迫る表情と、氷の棘のように突き刺す歌声。

前回歌ったという事もあるかもしれないけど、「Monster」ではなく「Truth」できたところに痺れた。

スクリーンの映像に白い百合の花が映っていて、ドラマの世界観に一気に引き込まれた。その横にフェードインするメンバーの表情が憂いに濡れていて、悲しみが深くなる。

ガッとダンスで魅せる曲をライブで観る時、一歩落ち着いて観てしまうことが多かったけれど、今回の「Truth」や「Shall we…?」でのダンスは、群舞だ…と見入っていく気迫があって、食い入るように見つめて動けなかった。

 

ドキッとしたのは、Sexy Zoneの「RUN

この曲を歌うのか…と上がる心拍数。どの瞬間も緩みのない真剣な表情に、また見入るばかりだった。

「RUN」を聴くと、迷いを見抜かれているような気持ちになる。それを目の前でなにわ男子が歌う。直に言葉を投げられている感覚になった。

 

 

2Faced」では、スクリーンに1人が2分割で鏡合わせのように映る演出。

反転していて、まさに二面性。

大橋和也さんが映った時に、目線を斜め左に落として、鏡写しの大橋和也さん同士が目を合わせているようで可憐だった。その魅せ方に感動した。

個人も観たい。でも全体の踊りとして見応えがあって、自分の視点がワンカメでは足りない。


アホ新世界」で、これは去年の夏に何度も聴いて勉強したやつーと腕が鳴った。“なにわ かんさい Aぇ!ところ”ができて嬉しい。

関西アイランド」もそうで、Jr.の子たちのライブはジャニーズ全体に詳しくなくてはセットリストに置いてきぼりになってしまうのではと思っていたけど、手持ち無沙汰な感覚になることなく、終始楽しかった。

関西ジャニーズについて重ねてきた記憶のおかげで、これ!お馴染みの!と反応することができた。

 

ラストは「Time View -果てなく続く道-

大橋和也さんのソロパートの歌詞に合わせて、大橋さんを見つめているメンバーが横一列に映って、ほほえんでいて。

カメラの角度も、何もかもが素晴らしい瞬間だった。

終盤の曲で、両サイドに開いたダイヤモンドのセット。一瞬、七色の宝石のように光るシーンがあった。

「Time View -果てなく続く道-」でのことだった気がするのだけど、本当にわずかな間のライティングで、あの瞬間にダイヤモンドに七色が光っていた。さらに上からはキラキラと降るテープ。

 

 

夏を感じるライブだった。

振り返って思う。ただそう言えば、水を使う演出が無かったと考えた時にハッとした。

人の肌に触れるものだから?水しぶきや噴水、銀テープどーんもしたかっただろうけど、可能な選択肢からの演出。

その制限に気づかないほど、しっかりとした演出のライブだった。

 

そして忘れることができないのが、星空を魅せるセット。

暗転前は気づきもしなかった、ステージにあるセットから、さらに壁を伝うように横へと広がる一粒が小さな照明のカーテン。

星空を見た。満天に広がる星のなかで歌う7人の姿は、眩しいほどに確かだった。

曲に合わせてその星たちが現れる時に、何度も胸がいっぱいになった。今の状況下で、空が暗くなった時間に外にいることも、空を見上げることもなくなって、いくつかの星さえ見る機会はなくなっていた。だから、広い空がそこにあることに込み上げる思いがあった。

星空のつづきを彩るように、ペンライトの明かりがカラフルに灯っているのを見た。

偏りがあっても不思議ではないのに、色が散らばり、見事にカラフルだった。照明でつくるメンバーカラーの色合いと言い、ペンライトの色と言い、バキッと原色!ではなくて、ぽわっと灯る目に優しい発色なのが本当に素晴らしい。

それが似合うなにわ男子も、思い描く色の再現を追求した演出スタッフさんたちの努力も。

 

 

本編ラスト、閉じていくゲートへと向って黒くシルエットになったなにわ男子。

あまりに綺麗に浮かび上がる影に、息を飲んだ。

オープニングでも、空中にいてこちらを向くなにわ男子の正面から大きく丸く照明が当たって、後ろにシルエットができる場面があって、その時の影はうっすらと淡い色で。この違いもとても良かった。

閉まるギリギリで、左端の大橋和也さんが高橋恭平さんの肩に手を添えて微笑みかけていて、横顔が優しくて美しかった。

 

アンコールが「ダイヤモンドスマイル」ではなく「Soda Pop Love」だったところにも、今回のライブテーマは夏であることを表していると感じて、

もう一度聴きたい…!が満たされた瞬間だった。

本日のハイライトをどうぞという感じもしたので、例えるならレコード大賞の大賞受賞者がラストにもう一度歌うあれだと思った。

最後の最後に歌った、ジャニーズWEST「バンバンッ!」で夏の思い出は最高潮に。水鉄砲だれかください!と言いたくなった。

 

夏を楽しもう!と言葉で表すわけではなく、曲と演出で胸の内から込み上げてくる夏休みへのワクワクみたいな感覚が、空間全体に満ちていた。

夏の学校生活、甲子園などを思い起こす映像が合間にある以外、ライブそのものにストーリーや意図が過多に乗せられていない良さを感じて、

ストーリーテラーを置かずに、曲そのものでストーリーを進行していく上手さがあった。

 

足し引きのバランスが取られた構成への感動もあり、ライブ全体のなにわ男子としての魅せ方も、ストーリー性を上乗せしていないバランス感覚の良さがあった。

それはもしかすると、デビューの決まった彼らのライブということになった時、自然と増し加わる思いを加味して、あるがままステージに立つだけで今回のライブにしっかりと軸ができると考えられたのかもしれない。

あくまでも、事前に知っていた一部スタッフさんとプロデューサーにのみ考えられることだけれど。

 

今年、「夏休みは何する予定?」と何気なく聞かれた時に、答えられるものが当たり前のように何も無かった。

どこに行く予定も、なにかを出来るという考えもなく、スケジュール帳のなか仕事以外に唯一あったのが今回のライブだった。

海も見ない。花火もお祭りも。今年も浴衣は着られない。

だけど、ライブの時間のなかで、なにわ男子は夏の景色と思い出をこれでもかと味わせてくれた。バーベキューにプール、浴衣で過ごす夏の夜。しゅわしゅわ弾けるサイダーと、甲子園球場の日差し。

どれもこれも、なにわ男子のくれた思い出が、空白のまま閉じるはずだった夏のフォトアルバムに、何枚もの写真を貼っていってくれた感覚が胸の中には残った。