トライアングルで魅せる。藤原丈一郎さん、西畑大吾さん、大橋和也さんで踊る「夜の影」

 

3人であることをダンスに活かした構成に引き込まれる。

トライアングルで視線は混じり合わないのに、3人であることで成立している。

 

なにわ男子の藤原丈一郎さん、西畑大吾さん、大橋和也さんの3人で、カバーパフォーマンスをした「夜の影

2019年に行われたライブツアー「なにわ男子 First Live Tour 〜なにわと一緒に#アオハルしよ?〜」でも披露していて、NHK「ザ少年倶楽部」でも放送された。

西畑大吾さんが年長組3人でパフォーマンスすることになった時に「夜の影」を選んだ。

今回振り付けと構成をしたのは、大橋和也さん。

 

嵐のユニット曲「夜の影」

作詞:Funk Uchinoさん

作曲:MLCさん・Soma Gendaさん

大野智さん、二宮和也さん、松本潤さんの3人でパフォーマンスをした曲。

振り付けは大野智さん。

 

ビートに細かく乗りつつ、なめらかな動きの魅力を合わせて、抜け感の美しさがあるダンス。

“Midnight secret”で人差し指を唇に当てて、頷きながら顔を向ける動き。そして“Oh girl”の動きが特に好きだった。

“沈黙消した”で、口元から横へと伸ばした腕の動きで、さり気なくタバコの火を消したような仕草。

“ネオンのライトが”でリズムに乗るグルーヴ感が見えることで、決められた動きだけではないその場に生まれる心地良いリズムがダンスに表れる気がする。

“溶けてく 二つのシルエット”の、裏手で下ろして見せた2のサインを、もう片方の手で煙に巻いて消していくような情景が見えるところがいい。

2のサインを下ろしていくところが、本家の嵐の振り付けを含んでいるふうに見えて、元のダンスもよく見ていたのではと思った。

 

3人同時に背中合わせになって、そっと座り込む動きのスムーズさ。

筋力を使わないと、おそらくあんなにゆっくりと降りられない。

片膝を立てて、片足を伸ばす姿勢からは紳士さが見えて、そこからのぐわんっと回ってセンターが入れ替わる回転の振り付け。

両脚を開いて膝を曲げている姿勢の変化ひとつで、ワイルドさに空気が変わる。

 

ダンスを作る時に、メロディーで作るか、リズムで作るか、歌詞のメッセージで作るかを考える印象がある。

どれか1つで完成するわけではないからこそ、比重やバランスはダンサーさんによって様々ある。

私個人の好みは、リズムにハマりつつ、歌詞の言葉を粋にダンスに取り入れているものが好きで、ジャズダンスやテーマパークダンスと呼ばれるバレエ要素のあるものが好き。

ゆえにs**t kingzが魅せるダンス、そしてNissyが魅せるダンスに心惹かれる。

 

今回の大橋和也さんの振り付けを意識して見ていて、腕や脚のしなやかさや、お腹の奥の方にどしっと重心を置いてぶらさない感じがあるなと思った。

さらに、大橋和也さんの踊り方には足の滑らせるように重心を動かすところや、ビートで体を弾ませる時の音の掴み方がNissyの系統と重なる気がして、好きだなぁと再度噛み締めた。

 

曲調や歌詞に集中して、大人に、セクシーにとなると、それらしい動きは完成されていってしまう気がするけれど、

嵐が観せた、ライブ「untitled」でのパフォーマンスが、ストリートでダンスバトルをしているような雰囲気の中でのダンスだったことや、その時のカジュアルな衣装も含めて、

引き継ぐ部分と構築する部分のバランスを、今回のパフォーマンスから感じた。

大橋和也さんのなかでの曲の解釈や、3人でどう魅せるかを考えて作り込んだ「夜の影」の、香らせるところと、淡々と表すことで際立つ気だるげな雰囲気の塩梅が素敵だった。

 

ラストで、畳み掛けて緻密に音取りするダンスの中に、微かに鳴ったシャランという音。

その微かな音を、聞き逃すことなくコイントスの音として振りに起こしたセンスに脱帽した。

少し前にある、3人で背を向けるタイミングで似た音は1度鳴っていて、そこは置いておいてラストで掴む音のかっこよさ。

 

三者三様のコイントス。高めの位置でキャッチする大橋和也さんと西畑大吾さん。手元に落ちてきた動線を見つめて手のひらに握る藤原丈一郎さん。

後ろ二人が高い位置で揃えていて、センターで低めの位置にするのは、左右対称とバランスで見るトライアングルの配置の美しさがここでも活きているのだろうと思う。

個人的なイメージでは、コイントスは希望のない時ほどするものだと思っていて、望みの薄いなか託す表か裏かわからない願いの横顔を見た瞬間に、ストーリーがぐっと増した。

 

3人で魅せるダンス。

三角の魅力が、投げられたコインのようにキラッと輝くパフォーマンスだった。