イントロで一変する曲調、表情豊かなボーカル - PrizmaX「Lonely summer days」

 

泣きそうな時ほど笑ってしまう。

ブロークンハートを歌うメロディーにするには、あまりに美しい。

 

アメリカドラマ「glee」で、どうしようもなく『ウォブラーズ』のアレンジとハーモニーに惹かれてしまう人は、きっとこの曲も好き。

PrizmaX(プリズマックス)

Lonely summer days

作詞:wisyさん

作曲:S.KAYさん

編曲:S.KAYさん

切なくて、チャーミング。悲しいのに微笑んでしまう心情が曲に表れていて、一度聴いて虜になった。

悲しみを喜劇で彩ろうとする健気さは、ミュージカル「雨に唄えば」を思い浮かべた。

 

イントロのしっとりとした入りから、急に指でリズムを刻むスナップ音が聴こえて、曲調が一変するのが最高のギャップ。

なにそれ素敵!とハートを掴まれた。声の温もりが際立って魅力的に響く、ドゥーワップのハーモニーに心躍る。

ドゥーワップと同時に耳に飛び込んだのは、森崎ウィンさんの歌声。

 

消せない思い出は Shining star

君の横顔は Far away

夏の眩しさにも 負けないキミ

見つけたのに Only, lonely summer days

 

何が最高って、発音が素敵な英語に、そよ風のように涼しげな求心力を持つ歌声。

Shining star”ひとつ取っても、耳に心地良く響く。

Only, lonely summer days”は、もう酔いしれるには充分なワンセンテンス。

森崎ウィンさんは情感を声に表す能力を持つ方だとあらためて思う。

彼がひとたび歌えば、物語がはじまる。感覚的に、洋画のようなストーリーを体現する感性が体に浸透しているように見える。

 

 

曲タイトルの「Lonely summer days」を見た時、winterではなくsummerなんだなあと、新鮮な気がして引きつけられた。

MVを再生してみたのは、そのタイトルが目に止まったから。

ヒロインを中心にオムニバス形式のストーリーになっているMV。

映像と一緒に聴くと、なおのことメロディーのかろやかさと、表情の物悲しさにギャップを感じる。

 

ストーリーを作り込み過ぎていなくて、森崎ウィンさんの自然体でありつつ、ミュージカルの空気がある振る舞いがお茶目だった。

自分の胸に手を当てる仕草がこんなに様になるとは、生まれながらのジェントル。

ディズニープリンスを実写で演じられるタイプの役者さんだと思う。いつかディズニープリンスの吹き替えをしてほしい。

照れて乗り気になれない彼女に、踊ろうよと誘う様子にときめかずにいられない。離れて行ってしまう彼女に、つれないなの表情がとてもいい【3:08】を、ぜひYouTubeの公式MVで見てほしい。

 

秋の入り口が近づく、夏の名残りの季節に失った恋心を感じるこの曲。

だからなのか、メロディーから夏のビーチをイメージしたりする。でもどこか、冬にも似合いそうな雰囲気。

 

あの日の微笑みは Shining star

君はもういない My side

砂を払うようにキミのことを

忘れたいよ Only, lonely summer days

 

黒川ティムさんの歌声で、続けて同じリズムで歌詞のストーリーが進んでいく描写がいい。

メインで歌う2人の溶け合うハーモニーと、ネイティヴな発音でありつつ、それぞれに魅力のある英語。

砂を”の『を』の上がり方が、ひるがえる布のように軽やか。“君のことを”の『ことを』で音がふわっと上がる歌声にうっとりする。

 

Fll of my love 愛してる

Ah 想いさえ Oh もう届かない

Fll of my love”と、さらりと歌詞に出てきても馴染む。

密度の濃い愛の言葉も、英語でそっと差し出せる表現の幅にぐっとくる。

細かく英語が入っては日本語に戻る歌詞の構成。

それでも無理なく、流れにゆだねて心地良い音感が続くのは、黒川ティムさんと森崎ウィンさんの歌声が英語も日本語も魅力的に表現しているからだと感じる。

そして、英語と日本語の間に段差を作らずエスコートする素晴らしさ。

 

賑わう砂浜を“Noisy”と言い表してしまう、いじけた心。

Return to me”の語感。

なおさら 独りじゃ秋は寂しいよ”の、“なおさら”に含まれた繊細なビブラートとグルーヴ。

無理だよ 全部君といた夏”の、“無理だよ”が表す切実さ。

 

 

ラストにやってくる清水大樹さんのラップと、歌声のフェイクで層になるハーモニーを耳にすると、PrizmaXだなと感じる。

PrizmaXの曲「カフェオレ」が好きで好きで、ひたすら聴いているのは今も同じで、ここへきてようやく次に好きだ!と直感するPrizmaXの曲と出会えた。

グループとしての活動は幕を閉じているけれど、私は多分まだこうして、遅れながらも彼らの魅力を知っていく。

 

先日見た、歌番組「MUSIC FEAR」では、

作品「ディア・エヴァン・ハンセン」から森崎ウィンさんがカバーで歌った「Waving Thorough A Window」にも胸を打たれた。

ミュージカルを観に行けたことも、その歌声を直に聴けたこともまだないけれど、これだけ惹かれているのだから、いつかちゃんとステージにいる彼に出会うのだと思う。

 

ディズニーチャンネルスターズに夢中で、ハイスクール・ミュージカルが大好きで。

英語を耳コピして音真似をして楽しかったあの頃みたいに、「Lonely summer days」を聴いていると音感で真似てみたくなる。

出来ない指のスナップをしながら、横揺れにリズムをとって楽しむメロディー。

2015年9月30日にリリースされていた「Lonely summer days」遅刻したかもしれないけど、こんなに好きな曲ができた。