はじめのLoveは桃色に染まって - なにわ男子「1st Love」

 

柔らかなピンクやホワイトの小さなハートが舞って、足元からほのかに色づくピンク。

アルバムタイトル「1st Love」(ファーストラブ)にちなんだデザインがとても優しい。

 

なにわ男子にとって初めてのアルバムが、2022年7月13日に発売された。

フラゲ日に抑えきれない気持ちでCDショップに受け取りに行くと、まさに今箱から開封中。

出来るだけ待ってから行ったつもりが、まだ早かったかもしれないすみませんと思いながら、すぐにレジへと運ばれてきたアルバム。

「なにわ男子の受け取りで…」とレジ先でまた言えたことも嬉しかったし、目の前にCDが置かれる嬉しさも一際だった。

 

「初心LOVE」「The Answer」「サチアレ」そして「ダイヤモンドスマイル」

曲の1つ1つにLOVEを表すポーズが隠れていたとは、最後のピースになる「ダイヤモンドスマイル」の瞬間まで気づかなかった。

こっそりと、でも確かに歌の中で散りばめられていた“Love”

タイトル表記としては全てが大文字ではなくて、Lが大文字、あとは小文字なところに、慎ましさを感じて心惹かれた。

 

ラブソングは好きだけど、テーマがそこに絞られた時、どんなアルバムになるのだろうと思った。

あまりに眩しい愛に、途方に暮れたらどうしようなんてことも考えた。

「1st Love」通常盤を1曲目から14曲目まで聴いた今、静かに柔らかい桃色に満ちた気持ちがある。

 

1.「Overture」

まずOvertureがあることに感動する。

アルバムの幕開け。ライブで言うオープニングのあのはじまりが高まる時に響く音楽が用意されていることの嬉しさ。

これまでのライブなのか曲なのか、聴いたことのあるメロディーが隠れている気がした。

高らかに鳴る楽器の音に、これは素敵なものになると確信する。

 

2.「初心LOVE」

初心なきらめきとして聴こえていた曲が、アルバムに加わって凛々しい表情になった。

可愛さもワクワクもそのままに、デビューからの半年間で進んできた道を感じる。

 

3.「Dreamin' Dreamin'」

魔法をかけるように“Dreamin'”の言葉が響く。

道枝駿佑さんの歌い出しで始まる。“解けない魔法”の『ほ』の音が上がってふわっと裏声になるところと、“ここにいるから”の『いるから』で音が下がっていくところが好き。

メンバー2人ずつのハーモニーが堪能できる曲で、ハモりラインの素早い入れ替わりには耳がドキッとする。

見上げれば 果てない空

終わらない旅に出ませんか?

会いたいと 願えば繋がる

と歌う歌詞のところで、

見上げれば”を大橋和也さんが上ハモ、藤原丈一郎さんが主メロにいて、“終わらない旅に出ませんか?”でくるっと入れ替わって大橋和也さんが主メロで藤原丈一郎さんが下ハモになる。

会いたいと 願えば繋がる”はそのままのハーモニーで進んでいく。

聴いていてそれがわかった時、溶け合う二人のハーモニーの理由をすこし理解できた気がして感動だった。

 

4.「サチアレ」

日々に寄り添う温かみ。

大橋和也さんのボーカルを始まりに1人1人のパートの声も柔らかい。

裏打ちで弾むリズムが、これからへのワクワクも連れて来てくれる。

 

5.「月火水木君曜日」

ストリングスの音のゆらぎが心地良い。加わる手拍子。

長尾謙杜さんの歌声が耳に届く。続く道枝駿佑さんの歌声のバトンで、スクールデイズが色鮮やかに景色として広がる。

学校で鳴るベルに合わせたメロディーが聴こえてきた瞬間に感動した。“ドキドキください”の歌詞に合わせて、イントロだけでなく曲中にも入っていて、その後にベルの音も鳴っている。

生活に馴染んでいる音を歌うメロディーに変える楽しさは、関ジャニ∞の「がむしゃら行進曲」に通じると思った。

 

6.「妄想っちゅーDisooooooo!!」

“なんでやねん!”も忘れないユーモア。

君曜日からの繋がりで聴くと楽しい。幸せそうな夢見から、現実に目覚めるようなイントロの音が聴こえる。

上手くいく恋心ばかりじゃない、混沌とした気持ちの時だってあるじゃないと歌うみたいに、カッコのつかないところが好き。

道枝駿佑さんが歌の後ろでデュフデュフ言っている気がするのは、気のせい…?

 

7.「Brand New Heroine」

ふっと息を吸って、道枝駿佑さんで幕開けるロイヤルな世界。

なんでやねん!からの一変する振り幅がすごい。

“ダイヤモンド”の言葉がある歌詞には、「ダイヤモンドスマイル」を作詞した栗原暁さんが作詞しているからこそのプレゼントだと感じる。

“迷わず言うよ”のメロディーに、螺旋階段を降りていくようで実は上がっている音階?と引き込まれていく。

 

8.「ちゅきちゅきハリケーン

作詞を西畑大吾さんが務めている。ちゅきちゅきポーズの発案は大西流星さん。

大西流星さんへの愛が止まらない西畑大吾さん。この歌詞にはきっと壮大な宇宙?アマゾンの奥地?果てしないワールドが広がっているに違いない。

口ずさめるようになるのにきっと時間はかからない。

人によってポーズの形が違ったりして、伝えるのが難しかったこのポーズを的確に伝授する歌詞とダンスの発明がすごい。

 

9.「Welcome to アイラブユー」

エレキギターの効き方がアルバムの流れの中では新鮮に響いて、嵐のエッセンスを曲調として感じた。

すこしロックテイスト。それでも溢れるのはLove。

“言葉にならない”のメロディーが好きだと思った。

 

10.「シンシア」

前の曲からの疾走感を繋いで、大西流星さんの歌声がドアを開ける。

オレンジが溢れる。曲いっぱいに。

“誰か”じゃなくて“君”がいい

思い浮かべる人がいて、“君”と言える熱。

“初めて知った”の音階が切実さも表していて、衝動。募る想い。荒削りでも伝えたい。その感情ひとつひとつが眩しい。

 

11.「Timeless Love」

大橋和也さんの“永遠を超えた物語が 始まったあの日あの瞬間から”ではじまるラブソング。

可憐で儚さがありつつ、凛とした美しさにユリの花を思い浮かべた。

間から藤原丈一郎さんがハモりで入って、それから藤原丈一郎さんのパートになり“逢いたくて 触れたくて”と歌う。“逢いたくて”を愛おしそうに歌った、声の甘さと目をキュッと薄める表情の反則さには言葉が出ない。

YouTubeで公式のレコーティング風景ver.のMVがあるので見てみてほしい。

二人の声のハーモニーがたまらなく好きで、こうして聴けたことへの喜び。

この曲をこれからは無限に聴けることがうれしい。

 

12.「The Answer」

12曲目でやってくるダークな曲調の魅力。

その中にも“ミステリーラブ”のキーワードがあることに、どこからそのつもりだったのだろうと途方もなく思えるほど、アルバムで貫くテーマを感じた。

道枝駿佑さんが演じた、金田一一の姿も同時に思い出す。

藤原丈一郎さんの低音のハモりもいい。切実さを高めていく大橋和也さんのフェイクもいい。

バツッと曲が終わるところに、「The Answer」としての個性があった。

 

13.「Emerald」

エメラルドの宝石言葉は「愛」「希望」

ミディアムテンポの壮大さを感じるバラード。

途中に入るアコースティックギターかフラメンコギターの音が繊細かつ印象的ですごくよかった。

 

14.「ダイヤモンドスマイル」

ここでやってくる。

新収録版を初めに聴いた時、アレンジが壮大になったと感じていたけど、アルバムのこの流れで聴いた時にドンとインパクトがあるのを実感して、確かにバランスが完成されていると思った。

あの頃の輝きにますます磨きをかけて、ついに音源化された「ダイヤモンドスマイル」

高橋恭平さんの歌声の変化に何度でもドキッとする。

大橋和也さんの“甘い運命感じて”の歌い方が保たれていたことも嬉しかった。そこに、“甘い”の前に息に近い小ささで『ん』がついているところが臨場感を増していて好きだ。

 

 

通して聴いた約54分。

あっという間で、Loveに満ちていて、これ以上ないほどのハートを受けとった。

いつからだろう、こんなにハートのモチーフに親しみを感じるようになったのは。

CDの裏側デザインや歌詞カード、舞うハートは控えめな柔らかさを持っていて、あっ可愛いなと自然と近づきたくなる。

通常盤の歌詞カードと一緒に載っている、メンバー写真の美しい遊び心にはどきっとした。

 

どんな時もLoveに満たされていられるわけではないけれど、

だから、距離とか立場とかそういうことが関係なくなる歌で、なにわ男子が届ける目一杯のLoveに嬉しくなったり心強くなったり進んでいけたりするのかなと思う。

その声を聴いている間、ほのかに心が色づく。

なにわ男子の最初のアルバムは、いっぱいのLoveで満ちている。