寒さでうるんだ目で見るイルミネーションは、
ちよっとぼやけてますます綺麗に見える。
「初心LOVE」通常盤に収録されている、
「Starting Bell」
キラキラで、あたたかくて。聴こえる歌声が、これから迎えるどんな毎日も大丈夫だと思わせてくれる。
なにわ男子「Starting Bell」
作詞:KOUDAI IWATUBOさん
作曲:KOUDAI IWATUBOさん・Kuwahata Fukinoさん・Yuya Yamazakiさん
編曲:生田真心さん
デビューシングルに入ったどの曲も、スタートを切るなにわ男子へ贈られた、それぞれの制作陣からのなにわ男子を思って作られた曲だと感じて、
どの曲もデビュー曲になりうる作品として集結していたのではと思ったりする。
一気に情景を華やかにしていく、イントロから入る英語のコーラスが、たまらなく気分を高めてくれる。
真っ直ぐだけじゃ
だめだって誰か言うけれど
小手先の言葉
目の前に並べたら嘘で
聴こえてくるのは大西流星さんの歌声。
しっかりと響く芯の通った歌声で、華やぐ曲のテンションの中、地に足ついた印象をまず持たせてくれる。
一つ一つ大切に置く言葉が、無鉄砲な楽観視ではなくて、正面から現実も見つめた上での意思なのだと感じさせる。
Your eyes 君が見た君だけの景色
ここでも高橋恭平さんの歌声にワクワクしている自分がいる。
ターンと上に突き抜ける声が耳に心地よく、“だけの”でくる『の』の音、跳ね上げ方が最高にいい。
My eyes 僕に見せて欲しい きっと
「ダイヤモンドスマイル」で、“ほら ワンカラットのeyes”と歌う歌詞を完璧に自分のものにしていた長尾謙杜さんが、ここで“My eyes”と歌うことに胸を熱くせずにはいられない。
咲くように One smile, Two smiles
かき混ぜて
世界を僕ららしく飾ろう
サビの美しさと逞しさの共存する言葉を聴いた時、グループのカラーとしてなんて素敵なプレゼントを受けとった曲なのだろうと感動した。
“咲くように One smile, Two smiles”のフレーズからは、ふわり花ひらく笑顔がひとつふたつと広がる光景を優しく思い描くことができる。
“咲くように”という言葉選びがすごく好きだ。
そしてさらに素敵なのが、“かき混ぜて”とつづくところ。
この歌詞を耳にした時にイメージしたのは、あたたかい飲み物の入ったマグカップと、それをかき混ぜるティースプーン。
大きなことを、大きな器でというよりも、両手で大切に包み込むマグカップのように世界を温める。
それがなにわ男子にとって、“世界を僕ららしく飾ろう”ということに繋がっていくのかなと思う。
You said “大丈夫 君しか出来ない”
西畑大吾さんの歌うパート。これもきっと大切な贈り物。
前列に立ち、センターに立つことも多かった西畑大吾さん。なにわ男子としても、エースの存在。
だけど同時に、自分一人が前に進むことをとても恐れているようにも見えた。
ドキュメンタリー番組「RIDE ON TIME」で映っていた、関西ジャニーズJr.の松竹座でのコンサート演出を考えながらリハーサルをしていた時。
小さな子たちも一緒に前に出したいと、出方の話し合いの際に折れようとしなかったのはいまも印象に残っている。
なにわ男子が前に出てから、視線を集めて間口が広がってこそ、後が続けるんだということを、きっと提案したプロデューサーとしての大倉忠義さんは伝えたかったのだろうと思ったけれど、それでも当時の西畑大吾さんの中には、手放したくない思いがあったのだろうと感じた。
動揺なくどしっと立っているように見えて、慎重さも持ち合わせていて、もしかしたら自分にかけられる期待に不安を感じたこともあるかもしれない。
“大丈夫 君しか出来ない”
その言葉は、西畑大吾さんにぴったりだ。
そしてつづくのは、
I'll be 逸らしはしないよ ずっと
道枝駿佑さんの声で聴こえる、“I'll be”のマイルドさが温もりを生み出している。
その後のサビの、“流れる One star, Two stars”で、星が流れていくような音がボーカルの後ろで鳴っているのもすごくいい。
Ring a bell 鳴らす始まりの音に
この声のせて
歌いたい Dream forever
黄色く輝く二つのベルが、リンドン鳴り響く景色が思い浮かぶ。
“この声のせて”という歌詞が、実際にCDという実物になってここまで届いている。そのうれしさを噛みしめる。
“歌いたい”と歌われることは、きっとなによりの希望だと思う。私はその歌声を聴きたい。
そして、スペシャルに心躍ったフレーズがある。
I'm not alone, also you are not alone
Because the one in my world
“uh-”の美しいハーモニーがバトンを繋ぐなかで進行していく英語詞。
Tommy february6 (トミーフェブラリー)的なワクワクに、たまらない高揚感を覚えた。
何度となく聴いて「MaGic in youR Eyes」から感じてきた、どうしようもなく瞳に飛び込んで、キラキラと世界が瞬いていく空気感に通じるものが、なにわ男子の音として鳴っていることが嬉しかった。
拙くても意訳するなら、
『僕はひとりじゃない、君もひとりじゃないんだ。だって僕の世界で君はたったひとつの存在。』
一文で言い切らずに、“Because”(なぜなら)と説明をしようとしている姿勢に誠実さが表れていて素敵だと思った。
さらにフィールドを“world”だけにせずに“in my world”で、僕の世界の中にしてしまうところもお茶目さがあっていい。
“the one”が、もし私の知るニュアンスでの言葉で、特別な存在を見つけた時の“この人だ!”を表す、ロマンチックな意味を含む方の“the one”だとするなら、尚更このフレーズにときめかずにはいられない。
ユニゾンになった時に、藤原丈一郎さんの声は晴れた青空のように清々しくハーモニーをつくる。
「Starting Bell」は曲全体を通して、特に藤原丈一郎さんと大橋和也さんのハーモニーを満喫できる曲でもあると感じている。
曲のラストにやってくる、
瞬き揺れ合う
その歌声に、あすかなが歩いてきた軌跡を感じる。
このパートを歌っているのが、大橋和也さんひとりなのか、藤原丈一郎さんと二人なのか。正直、溶け合いすぎて判断がつかない。
それでも、このパートが二人で歌っているわけでないとしても。
二人で培ってきたものがこうして歌のなかでも大切に育っているんだと感じることができて、それがすごくうれしかった。
冬に聴けば街の輝きは増して、春夏秋に聴けば心弾む感覚を思い出せる。
マグカップ越しに伝わる温かさは心も温めて、僕も君も“the one”だということを思い出させてくれるはず。
どんな季節の中でも何度も聴きたい曲が、なにわ男子から届いたことは、なによりスペシャルなプレゼントになった。