爽やかな風と、眩しい太陽。「おいで、Sunshine!」

 

照らす日差しに波打ち際。

思わず目を細めるほどの太陽と、涼しさをつれてくる海のブルーが、もう来ないはずの夏休みを呼び起こしてくれる。

 

いで、Sunshine!

HiHi Jets & 美 少年

作詞:高木誠司さん 作曲:Dr.Dalmatianさん

 

ジャニーズJr.のなかで組まれているグループ「HiHi Jets(ハイハイジェッツ)」と「美 少年(び しょうねん)」が歌う曲。

テレビ朝日の夏祭り公式テーマソングにもなっている。この曲をMステで見て以来、リピートが止まらない。作詞の方と作曲の方がどちらも関ジャニ∞「罪と夏」の作詞作曲と同じ方だと知って、ますますこの曲に関心が湧いた。

 

 Ah・・頬、南風 吹く方へと影、駆けていく 色っぽいね

歌の始まりから、語感の心地よさが止まらない。 

タンタンタンッと階段を駆け上がっていくように、“(ほほ)”、“南”、“吹く方へと”とアクセントをつける箇所がピタリとメロディーを掴んで、音のパズルがきっちりハマっていく心地よさがくせになる。

 

 

Mステでの演出も素晴らしく曲の魅力を引き出していて、印象的だったのはメンバーを二人ずつで写すカット割り。

視覚的に大人数でいられると個々の顔が認識しずらく、全体のイメージだけが記憶に残ることがあるけど、ペアで並ぶと、どちらを目で追う?と自然と選択を迫られる錯覚になって、ときめきを煽られる。

なのでこの曲、終始シンメの嵐。

それぞれに個性を持つ一人と一人がシンメトリーに立つ見せ方や関係性のことを大まかに言うと「シンメ」と呼ぶ。しかも衣装は赤と青。KinKi Kidsじゃない?!と衣装の色だけで胸が熱くなる。

見ていてぱっと惹きつけられたのは、作間龍斗(さくま りゅうと)さんと、金指一世(かなさし いっせい)さんだった。

 

さらに、ローラースケート組と徒歩組のタッグにも心躍る。ローラースケートを履いているのが「HiHi Jets

HiHi Jets」は、ローラースケートでのパフォーマンスを得意としているグループ。どちらかが、ということではなくて、このふたつの魅せ方が共存しているステージにぐっとくる。

移動のスピード、高さや距離感が違う状況で、一緒にパフォーマンスをすることで、緊張感がそこに生まれる。協力しなくてはベストな魅せ方を互いにできないからこそ、息を合わせるその空気感が魅力に変わる。

 

「おいで、Sunshine!」に惹かれる理由は他にも。

曲全体の声の重なり方が、往年の歌謡曲のようで、光GENJIの「パラダイス銀河」のハーモニーを彷彿とさせた。それは印象をローラースケートに引っ張られているからではなくて、有名な“ようこそここへ”というフレーズの声のバランスに近いものを感じたから。

何人もの声が重なっているのに、爽やかで、まとまりがある。

「おいで、Sunshine!」そのものに、いくつものオマージュ要素を感じて、ジャニーズの先輩グループが歩んだ道筋が見える感慨深さと楽しさがあった。

クジラ描く ブルーの放物線”の辺りの、しっかりとした低音の重なりは、声の色合いがぐんと増す気がしてすごくいい。

いつか誰かとじゃなく この夏に夢を見るのさ!

特にこの部分の歌詞を歌っていた、橋本涼(はしもと りょう)さんと那須雄登(なす ゆうと)さんの声の相性がとても好きだった。

 

 

Mステのステージで驚いたのは、それぞれがカメラに抜かれた時の動きが無駄なく完璧で、自分が映る数秒に全力を注いでいることだった。それも、自分を良く見せたい一心というよりも、曲のクオリティーを上げていくために磨きをかけた印象で、カメラ前での動きに迷いがない。

炎天下、クラッと来るサマー”の歌詞の直前に、橋本涼さんがカメラ前を横切りながら、手で波を表してウェーブを描く動きがある。そのタイミングと、高さ角度のジャスト感。綺麗で見事なウェーブが素晴らしかった。

二回目にやってくる“炎天下”の動きも、お互いに背中を寄せてクラップする手の動きがしなやか。

夏はここへ恋”の部分でカメラに抜かれた藤井直樹(ふじい なおき)さんの一挙手一投足の完璧さには、ぐうの音も出ない。

 

 

おいで、Sunshine!恋をしようぜ!

期待しちゃうな プリーズ・ビックウェーブ

Baby Baby 波風越えて

 

サビのキラキラ感が最強。

おいで、”からの“恋をしようぜ!”のエネルギー。若さドーン!と波動拳を受けた気分。しかもここでの振り付けが最高にいい。“ビックウェーブ”に合わせて両腕を使ってウェーブを描いて、ハートサイン。

Baby Baby”で手を使って作るハートマーク。アイドルのハンドサインとしてはベタなはずなのに、それが新鮮に感じられる。すべての指を揃えて作るハートではなくて、人差し指と親指で形作ってあとの指はそのままなところもポイントかもしれない。シンプルなハートではなく装飾がついたように見えて可愛い。

 

ローラースケートを履いていて、曲中にしゃがむ動きがあるにも関わらず、衣装には長い布地のヒラヒラがついていて、なんて難易度が高いんだ…とはらはらしながら見守った。

中央にいた、猪狩蒼弥(いがり そうや)さんに注目して見ていると、その気配りがわかる。あのまま立てば布地を踏んで破けてしまう恐れのある体制から、一度ポーズを取り直して踏まずに立ち上がった身のこなし。

動き優先を考えれば、布取ってあげてーと思うけど、どちらのグループもシンメトリーに同じデザインの衣装を着ていることの良さはわかる。

 

転調してから、大サビに入ったところでの“Baby Baby”で横移動になる赤の衣装の「美 少年」の子たちも、さらっとこなしているように見えるけどすごい。

おそらく「おいで、Sunshine!」のフォーメーションはとてつもない忙しさのはずで、しかもバディを組んでいる片方はローラースケートを履いたまま。止まるためのブレーキは自分の足の感覚と角度のさじ加減のみなのに。

カメラへ向けた表情だけではなく、スムーズにパフォーマンスを行うための彼ら自身の試行錯誤が素敵だと思った。

 

曲のセンターと思われる、髙橋優斗(たかはし ゆうと)さんの緊張が伝わる表情に、頑張って…!と思いながら見ていた。でも曲が始まればはっきりとした存在感で、物静かそうに見えてただならぬ魅力をそのうしろに秘めていそう。

ワンカットも無駄にしない、それぞれの努力。

曲ラストの決め前、一瞬の間センター位置にくる井上瑞稀(いのうえ みずき)さん。わずか一瞬で、すべての人の心を掴んでしまおうという気合いが伝わる。逃さないウインクが素晴らしかった。

 

 

夏の歌に感じるあの胸の高鳴りは何なのだろう。

歌詞?衣装?コード進行?

共通していると思うのは、なんだか楽しそうだということ。“楽しそう”を演出するのは、意識すればするほどぎこちなくなりそうなもの。ジャニーズとして作り観せるステージは、どのグループもそれが上手い。

「おいで、Sunshine!」を披露したのは、まだデビュー前の「HiHi Jets」と「美 少年

HiHi Jets」のメンバーは、橋本涼(はしもと りょう)さん、井上瑞稀(いのうえ みずき)さん、猪狩蒼弥(いがり そうや)さん、髙橋優斗(たかはし ゆうと)さん、作間龍斗(さくま りゅうと)さん。

「美 少年」のメンバーは、藤井直樹(ふじい なおき)さん、那須雄登(なす ゆうと)さん、浮所飛貴(うきしょ ひだか)さん、岩崎大昇(いわさき たいしょう)さん、佐藤龍我(さとう りゅうが)さん、金指一世(かなさし いっせい)さん。

驚くのはパフォーマンスの完成度。デビュー前なんてことはもはやクオリティーに関係なくなっているジャニーズJr.

 

先日開催されたJr.主役の東京ドームライブでは、いくつもの発表があった。

音楽の日で、「ひらりと桜」の圧巻のパフォーマンスが記憶に深い「Snow Man」は、エイベックスからメジャーデビューが決定。「SixTONES」はソニーミュージックからのメジャーデビューが決定した。

Snow Man」は、関西ジャニーズJr.から東京へと道を進むことを決めた、向井康二さんが加入したグループでもあり、メンバーが加わるという変化に互いに苦しむこともあったはずだけど、まずこの一歩を掴めて本当によかったと心が熱くなった。

今か今かと待ちながら見つめている「なにわ男子」も、なんと全国ツアーが発表された。

 

CDが出てない?えっそうなの?と思うくらい、好きになる曲がジャニーズJr.の歌う曲から増えている。

ジャニーズJr.の公式YouTubeが出来たので、今回紹介した曲はそこで見ることができる。それでもやっぱり、いつか必ず音源化してくれますようにと願いたい。

 

暑すぎるって!とさけびたくなるこの夏に、爽やかな風を吹かせる「おいで、Sunshine!」

溶けて消えたりはしないその輝きに、ぜひふれてみてほしい。