受け継がれる音楽と衣装とスピリット「関ジュ 夢の関西アイランド2020」

 

“今”から時計を“2020年1月”に巻き戻して、走馬灯のようにその日までの出来事を遡って思い出していく感覚になった。

関ジャニ∞と一緒に進んできた記憶も蘇る、不思議な余韻が見終えたいまは残っている。

 

2020年の年明け、京セラドームで開催された関西ジャニーズJr.大集合のライブ。

追加公演まで決定したライブで、関西ジャニーズJr.初となる京セラドームでありながら、3日間開催された。

応募開始の頃は、ジュニアのファンクラブには入っていて、迷いながらもなにわ男子のツアー時期と美女と野獣クラシックコンサートが近かったことから、そっちに応募しようと、大阪行きは断念してしまった。

あの頃はまだ、なにわ男子は知りつつあるけど関西ジャニーズJr.のことは分からない。行っても曲を知らないからノリきれないかもしれないと思っていた。今、どの曲も耳馴染みのあるものとして聴けていることが楽しい。

なので今回DVDが届いて、ようやく観ることができたライブだった。

 

なにわ男子・Lil かんさい・Aぇ! groupが一緒になって行うライブが、きっとこの先貴重なものだったと語り継がれていくのは当時も思い描くことができて、このライブを今観ることで、それが確かな感覚だったとあらためて思った。

驚くのは、このライブが2020年の関西ジャニーズJr.の始まりで、あの夏に配信ライブとして観た怒涛のライブラッシュの前段階だったこと。

728の日に行われた関ジャニ∞ジャニーズWESTが参加しての大集合ライブに、松竹座での各グループのライブがあったのは、このステージの後なのだということだった。

すでにこれほどのパフォーマンスを観せていたんだという驚きと、ここからさらに磨きをかけてあの日のパフォーマンスになっていたんだという発見もあった。

 

 

観客のいるドームのライブ映像を観る。それさえも久しぶりで、現実を痛感する気がして長らく観られていなかった。

Lil かんさいの「Lil miracle」が1曲目に聴こえて、泣いた。

びっくりした。自分でも。固まっていたものが溶けて、柔かったところには浸透したのだと思う。

Aぇ! groupの「Firebird」でグンッと変わる世界観に、そうそうこれこれ!とグループごとに魅せるカラーに引き込まれていった。

そしてここまで上がったボルテージの中、なにわ男子はどう登場するの?!と思っていたところに、満を辞してのステージ上空からゴンドラ降り!赤の強い衣装!Mステでも着ていたのはこの時の衣装だったのかと一致した。

歌うのは「ダイヤモンドスマイル」

関ジャニ∞の京セラドームライブで、時間をくださいという気迫でステージに立っていたなにわ男子が、自分たちのみんなでつくるステージとしてそこに立っていることに感動した。

振り付けのある「ダイヤモンドスマイル」を、京セラドームの景色を目に焼き付けるように真っ直ぐ見つめて歌い、わずかな時間で爪痕を残そうと全力を尽くした「なにわ Lucky Boy!!」をこのステージで再び歌い踊った構成も素晴らしかった。

 

一人一人、誰が瞬間的にカメラに抜かれても、ジュニアの子たちとしてではなく、個人として認識できる嬉しさがあった。

この子は何が得意で、何が好きなのか。名前もわかる。

それもこれも、夏の強化学習のおかげ。プロデュースや様々な媒体でのアピールがしっかり届いて、記憶になっていることの証だとも思った。

 

グループや曲の垣根を越えたシャッフルコーナーはひたすらに楽しくて、末澤誠也さんのシャウトで幕開けするSMAPの「SHAKE」で笑みを溢さずにいる方が無理だと思った。

藤原丈一郎さんと末澤誠也さんが同じ並びにいることで何となく察知するFunkyな空気。古謝那伊留さん、今江大地さんがいると分かってこれはそうだと目が離せない。歌っているのが「SHAKE」なのがぴったりすぎて、奇跡のステージだった。

横並びで踊る際に、藤原丈一郎さんと末澤誠也さんを隣で並ぶようにしているところに、演出が流石…と息を飲む。

そして小島健さん、當間琉巧さんがいることで、演出過多にならずユニットとして楽しいものになっているのが素敵だと思った。

「もう君以外愛せない」で、大橋和也さんと末澤誠也さんにボーカルで魅せるセットリストを作ったことにも、行き届いている…!!と慄いた。

どこまでがどんな意図で、誰のアイデアによって生み出されているのか正確に知ることはないけれど、様々な面でその都度、“あの時ああしていたかった”と後ろ髪を引かれるような忘れ物を残して行くことが無いよう、ひとつずつを果たして可能な限り納得を持って進めるよう考えている気がした。

 

「Brother」で、西畑大吾さんと正門良規さんの仲良しコンビなこと、草間リチャード敬太さんと藤原丈一郎さんの二人。組み合わせの意味がわかるのも、今までの時間をかけて吸収してきたものがあるからだなあと思った。

伊藤翔真さんと伊藤篤志さんの登場で、まごう事なきBrother…!と、サプライズに満ち満ちた演出にノックアウトだった。

伊藤兄弟と呼ばれて、実際に兄弟で所属していた二人のステージがしっかりDVDに記録されてよかった。現在は所属していない伊藤翔真さんだけど、このライブを通して姿を追いかけることができた。

 

 

そしてやってきた「torn」

関ジャニ∞大倉忠義さんと錦戸亮さんで歌ったユニット曲。

ユニットシャッフルを行ったライブ「十祭」で、横山裕さんと村上信五さんで披露されたことも伝説の一つとなった。私がライブで観たのはそれよりもっと後のことで、大倉さんと錦戸さんの憂いを全身に纏った息を飲むパフォーマンスだった。

それを今回、道枝駿佑さんと高橋恭平さんで披露。

どうしてか、ここで決壊して涙が止まらなかった。どうしようもなく生々しく京セラドームで吸った関ジャニ∞のライブの空気が蘇ってきて、飲み込まれる感覚だった。うわあ好きだった。好きだったなと蓋が開いた感じがして、“関ジャニ∞のライブ”の空気がまだ確かに自分の体の中にあると知った。

大倉さんと錦戸さんの「torn」は、想い人を力無く諦めようとするニュアンスを強く感じて、道枝さんと高橋さんの「torn」は悲しむ前に追いかけて行きそうなニュアンスを感じた。

似ていた、という事とも違う気がするのだけど、共鳴するものがあった。

 

道枝駿佑さんが「koi-wazurai」「Monster」でパフォーマンスするのを観ていて、ロミオ役がくるわけだと再・再納得だった。

舞台「Romeo and Juliet -ロミオとジュリエット」が上演されたのは2021年。今年のことで、振り返ればということだけど、「Monster」でスッとセンターに立った瞬間の気品には、あどけなさがありながらもロミオの予感が漂っていた。

 

ジャニーズWESTプリンシパルの君へ」が、このライブの時に歌われていて、Lil かんさいはそれを経て728の日にジャニーズWESTとのコラボを果たしていたと、ようやく繋がった。

「バンバン‼︎」を聴くとグッと胸にくるのも、夏の思い出があるからだと思う。

「Can't stop」の群舞の気迫はもちろん、徹底的に踊って駆け抜けてライブ終盤で「Game of Love」をガッシガッシ踊るところは圧巻だった。エネルギーが凄い。観てるこちらさえ痩せたかもしれないと思うくらいに、熱い。

映像のカットごとの、ここがいい!は文章でまとめようとすると永遠に続くので、箇条書きにしていく。

  • 「Lil miracle」で“もう一回 もう一回”の歌詞、中央3人が開いていた脚を少しジャンプしてトントンっと踵を寄せるところ
  • Firebird」間奏で完璧に音に合わせてカッカッと首を動かす、草間リチャード敬太さん
  • 「ダイヤモンドスマイル」途中で階段を降りる時に、お互いにさらっと顔を見合わせる大橋和也さんと藤原丈一郎さんの空気感
  • その後ろをシンメトリーな道枝駿佑さん高橋恭平さん
  • 「関西アイランド」正門良規さんの振り返りからの大橋和也さんの「ワー!!!」
  • 「キミアトラクション」映る瞬間に油断はない大西流星さん。大西風雅さんと近づいて頬をぷにぷに
  • 黒髪さらっとヘアの大西風雅さん、とても似合っていた
  • 「明日に向かって」トロッコに乗りながら指差しをする末澤誠也さん
  • Dear WOMAN」での道枝駿佑さんのニコッと笑顔
  • 同じく「Dear WOMAN」後、暗転寸前にちゅっと口元に指を当てて、指ハートで差し出す長尾謙杜さん

 

なにわ男子が尊敬を込めて歌う、SMAPの曲にやっぱり心を掴まれる。

「Can't Stop!! -LOVING-」を歌っていたとは知らなくて、大変に良いと思います…と何かしらのボタンを連打したい気持ちになった。

曲中に登場して、ハイウエストなぴたっとパンツにかなり短めジャケットを着こなせているLil かんさいもすごい。

さらに「太陽がいっぱい」から「Dear WOMAN」の流れ。じんわり心強いーと噛み締めた。

言いかけた言葉 無理に飲み込むくせ

いつから きみは覚えたの 

太陽がいっぱい」で浮かび上がって胸に届いて、そう歌っていたんだと改めて受けとった。

この時に、なにわ男子が着ていたジーンズ生地の衣装。

腰元でゆらめく布やチュールの美しさが素敵で、大橋和也さんの着ている水色と布の重なり具合、長尾謙杜さんの青と白を組み合わせたバランスと金粉のようにキラキラが散りばめられたデザインが特に好きだった。

 

 

今回のライブをDVDで観ていて、心臓が跳ねて驚きつづけたのは、衣装。

関ジャニ∞がライブで着てきた衣装が、オールスターですか!と言うほど次々出てきた。

映像として観ていたものもあれば、自分がライブに行くようになってからの衣装も数多くあって、「今」を歌っていた時に着ていたアメリカ国旗衣装をなにわ男子が着ていて、あの衣装は思い入れもインパクトも合わせて強烈に覚えていた。「Black of Night」の衣装をAぇ! groupが着ていたり、「なぐりガキBEAT」の衣装、JUKE BOXでのメンバーカラー衣装、関ジャニズムの蛍光千鳥格子な衣装まで。

この心境を形に変えるのは難しい。懐かしく、恋しくて、大好きだったことが身に染みる。

いつまでも懐かしむのは今の彼らのやる気を削いでしまうことだろうかと怖くて、今以外は見ないようにしていたのが正直な気持ちだった。

だから、衣装というかたち、曲というかたち、そして根っこに流れる系譜と言えるような受け継がれていくものに触れて、全く同じ形を目にすることはないとしてもここに“ある”のだと感じて、嬉しく。悲しく。あの時の好きは好きのままだと実感した。

 

「イッツマイソウル」が聴こえれば勝手に体が動く。あれは踊る。

「がむしゃら行進曲」は、もう関西ジャニーズJr.へのメッセージじゃないかと聴いていて胸が熱くなった。

 

関ジュ 夢の関西アイランド2020 in 京セラドーム大阪 〜遊びにおいでや!満足100%〜

このステージから、それぞれに歩いた道が今日までつづいている。

「知ってるワイフ」「メンズ校」「夢中さ、きみに。」「俺の家の話」など様々なドラマや、「461個のおべんとう」などの映画への出演があり、関西ジャニーズJr.でのオムニバスドラマ「年下彼氏」もあった。

冠番組も、なにわ男子、Lil かんさい、Aぇ! groupそれぞれに決まった。

ライブと舞台に関しては、一変した状況から開催できるのか見送られるのか、確約されないことに向かって取り組み続けて気持ちのコントロールも難しいなか、今できることの最善を重ねている。

 

あの時も輝き、今ますます磨いて、磨いて、輝くための積み重ねを弛まず続けている彼らのゆく先。

1年半前に魅せてくれたステージが、今こうして届いて心躍る時間をくれたように、時間をかけてでも届くものがあると思っている。

「空言のオーケストラ」にある、“これが僕らの確かな足音”は聞こえていて、足跡だってちゃんと見えてる。あの日のライブを確かに今、受け取った。