ジャニーズWESTのアルバムはよく聴いていても、松竹座にいた頃の長い年月を私は知らない。
デビュー以来、6年ぶりに、この場所に帰ってくることの感慨深さは受け取れても、彼らの歩んだ歴史に重ねて見つめることはできないけれど、楽しめるだろうか?
そんな心配はいらなかった。
ドリームアイランドを見て、これはジャニーズWESTの松竹座 単独公演も見るっきゃない!とチケットを購入した。
ファンクラブ価格ではなくて手数料もかかると安い出費ではないけれど、あのジャニーズドリームアイランドで、ここから先のステージもしっかりとした見応えがあることを保証された気がした。
2020年 8月1日、土曜日
松竹座
18:00 開演
オープニング映像が最っ高だった。
目の前に広がる景色は、地下鉄なんば駅。改札を通って、14番出口から地上へと上がり歩いていくと、曲がった先の右手に建つのは松竹座。
看板には“Johnny's DREAM IsLAND”のポスター
入り口のスタッフさんにチケットをもぎってもらい、行く先々のスタッフさんに案内されてエスカレーターに乗り、左へ曲がると、開いた扉は劇場への入り口。
座席、カーペット、幕、二階席、天井。赤が印象的に視界いっぱいになる。客席には星型のペンライトがひとつずつ。そしてメッセージ入りのうちわも。
開演のブザー音が鳴って、ライブスタート
最初の曲は「for now and forever」
ドローンが客席を飛び回る。
初めて見るジャニーズWESTのライブが、松竹座 単独公演だなんてある意味スペシャルなことなんじゃないかと、この時点で思い始めていた。
つづく「Summer Dreamer」は好きな曲で、桐山照史さんの歌う“駆け抜けてゆくNight & day 泣いてないで”の語感を聴けて嬉しかった。
アルバムで聴いた時、夏が似合う楽しい曲だなあと何度か繰り返し聴いていると段々とわかってくる仕掛けが楽しくて。
がっつりメンバー紹介ソングもいいけれど、この曲のメンバーの名前が忍ばせてあって、英詞にも空耳をふんだんに盛り込んでいる遊び心が好きだと思った。
「ズンドコ パラダイス」での画面越しのハイタッチ演出。思わず手を伸ばしたくなる不思議。
メンバー自身が、カメラの先に見ている人がいるんだと全力で向き合っていると伝わるから、たとえ画面越しの相手に見えない環境であっても、こちら側も全力で応えたくなる。
ジャニーズWESTのみでパフォーマンスするのかなと思っていたら、続々と登場するJr.の子たち。数日ぶりの再会を果たしている気分だった。それもこれも、ドリームアイランドでJr.の子たちの顔を注視していたからで、あの時の子だとわかる感動。
「君の罠だけ幻でも構わない」低音がずっしり心地よく響くのは、藤井流星さんの歌声だろうかと耳を澄ましながら聴いた。
限られた1時間30分という時間。歌番組のパフォーマンス時間よりはたっぷりだけど、普段のライブに比べると短く、セットリストを作るのにも試行錯誤しただろうなと想像できる。
グループの曲を歌ってもあっという間に過ぎるはずの時間を、まさかユニット曲に割くとは。とことんファンへのサプライズに満ちたセットリストだと感じた。
濱田崇裕さんのソロ「夢色クロニクル」イントロから好きな予感がした。歌謡曲テイストに濱田崇裕さんの歌声は合う。
中間淳太さんと桐山照史さんのユニット曲「V.I.P」二人がコンビでいることに賑わう気持ちが、ほんのりわかった気がした。
「BIG GAME」
桐山照史さんの「いくぞー!!」が、これまで見たことがなかった荒々しさで驚いた。
あれ、なんでカメラに二人背を向けてるの?そういう振り付け?と見ていたら、桐山照史さんと神山智洋さんが二人同時に迫り上がったステージから後ろにバク転…!!
だから少し前のタイミングで神山智洋さんは衣装のジャケットを脱いだのか…!と合致した。アクシデントを起こすわけにはいかない演出で、確実に飛ぶための準備をした神山さんの動作に、仕事人の表情を感じてドキッとした。
「中間ん家物語」
曲ではない。まさかの、がっつりコント。
ジャニーズWESTがこんなにがっつりセットを組んで、新喜劇なコントをしてたとは知らなかった。流れた過去の映像では、階段が滑り台になるセットまでしっかり再現していた。
本人たちも感慨深げで、松竹座で披露して以来、およそ6年ぶりと話していた。
レンジャー設定のコントは関ジャニ∞で見ていても、ファミリー設定のコントは初めてで、中間淳太さんがオカン、桐山照史さんはお爺ちゃん、藤井流星さんはチャラ刑事、神山智洋さんはお姉ちゃん。
アホの兄弟、とても好きだ。濱田崇裕さんと重岡大毅さんの兄弟役。良い。そして赤ちゃんから見事成長している、のんちゃんこと小瀧望さん。年長さんになった。
中間淳太さん演じるオカンが、タライの衝撃で座り込んだ拍子に後ろの障子を破いたのに合わせて、自分も破いたろと思ったらそこだけちゃんと木だったから「痛っ」とダメージをくらう重岡大毅さん。笑いを堪えきれないメンバー。
「なんでこっちは壁でこっちは木ぃなん?!」と不服そうなのが面白すぎた。
コント衣装のままでの「ええじゃないか」ポーズは非常にシュールだった。
トップバッターではなく、序盤でもなく、中盤のここで「ええじゃないか」を持ってくるのか!上手い…!!という感動もあった。
グループの名刺として強い曲であるからこそ、今回はそこを外したセットリストにする可能性もあると思っていた。だけど初めてジャニーズWESTのライブに触れる人にとっては、聴けるのを待っている気持ちがあるのも確か。その悩ましいポイントを、どう魅せていくのか気になっていた。
歌わない、は選ばず、コントの空気からそのまま「ええじゃないか」に突入。段々とライブの空気へと戻していくという、見事なグラデーションの作り方だった。
メドレーに入り、「好きやねん、大阪」「ジェットコースター・ロマンス」「Happy Happy Lacky You」
前半に初めて聴く曲も続いて、このまま続くとすると初めて尽くしになるなあと思い始めたころ。思いっきり聴き馴染みのあるイントロに、わあ!とテンションが上がる。「好きやねん、大阪」をスタンドマイクで歌ってくれるところが素晴らしかった。
KinKi Kidsの「ジェットコースター・ロマンス」でさらに関西の風を感じて、「Happy Happy Lacky You」で関西ジャニーズJr.としてなにわ男子も歌っていた曲だ!と点と点が線になる。
「浪速一等賞!」で、客席にペンライトと共に置かれたうちわを手に持ち、可能な限りどんどん応えていくのも、見ていて楽しかった。
うちわを募集していることを知らなくて、これ本当にファンのみなさんが作ったうちわなのか!行けなくてもうちわが代わりにそこにあるのは嬉しいよね…!とわくわくした。
そして、MCの時間に。
このライブのため、うちわが9,000枚届いた話、見覚えのあるうちわもある話。
ドリームアイランドでのエピソードも聞くことができて、序盤の水が噴き出すウォーターキャノンの演出は本来向こう側に飛んでいくはずが、風によって全部戻ってきたことや、始めこそ避けようとしたものの、ズバーン!と大量に降ってきてからはむしろ受けにいった話。
チームイエローの「ペットショップラブモーション」は主に長尾謙杜さんと岡﨑彪太郎さんのセレクトであること。
チームブルーが歌った「Dye D?」のアレンジは、安田章大さんが5人バージョンを作るわと言ってから、2日くらいで制作してくれたこと。
まだドリームアイランドの余韻が続いているなかで、ほやほやなエピソードを聞けて嬉しかった。
MCの時間が終わると、気づけばステージの後ろの方、中央にキーボードが置かれている。
両サイドには、腰掛けるタイプの高めの椅子。
重岡大毅さんが作詞作曲をした「間違っちゃいない。」を、重岡大毅さんの演奏で。
元々は重岡大毅さん、神山智洋さん、濱田崇裕さん3人のユニットで歌っていたこの曲。シングル「証拠」のリリースに合わせてスペシャルスタジオレコーディングとして、メンバー全員で歌うバージョンが収録された。メンバーの顔を見ながらうれしそうに弾く重岡さんの表情が印象的で、まさかライブで見られるとは思わなかった。
緊張しつつも、一音一音丁寧に弾く指先。
優しく弾むような音色がダイレクトに聴こえて、今回のライブをヘッドホンで聴いていてよかったと噛み締めた瞬間だった。
メンバーが腰掛けるのは高さのある椅子なのだけど、小瀧望さんの脚の長さがそれを優に超えていて、キーボード用に高くしてある台に足を乗っけてみたり、想い溢れて立ち上がったり、ひとつひとつの動作が愛くるしかった。
歌が終わり、次の曲にいきますか…?の流れで、ハッピーバースデーのメロディーを弾き始める重岡大毅さん。
24歳になる小瀧望さんへのサプライズ。バースデーケーキの上にのったイラストが、ムッキムキの小瀧望さんイラストで、ケーキの個性がすごい。
ハッピーバースデーのメロディーを少しつまずいてしまったことが悔しかったのか、小瀧さんの腕をがしっと掴んだ重岡さんが「なぁ、ハッピーバースデー後でちゃんと弾くからもう一回だけ弾かして!」と必死なのが可愛かった。
つづいては、関西ジャニーズJr.で「TAKE ME HIGER」「明日に向かって」
「TAKE ME HIGER」のパフォーマンスの安定感がすごかった。「明日に向かって」は、カウントダウンの夢のコラボで見たやつだ…!と、習った問題がテストに出てきた気分になった。
ここからは挑発的なテンションと気怠さの色っぽさが見える選曲。
「W trouble」がすごく耳に残っている。
ドローンの動きが攻めに攻めていて、メンバーの後ろのそこ飛ぶ?メンバーとメンバーの間を縫ってその高低差大丈夫!?とドキドキしつつ、映像としてはドローンだから撮れる躍動感。
おそらくステージ前の着陸までもうあとちょっとのところでクラッシュしてしまったのだけど、スイッチングですぐ別カメラへと切り替わり、ドローンも誰かにぶつかる事なく大きな音も入らずに役割を全うした。
ブラックスーツにシャツを合わせて、さらに続く「You ain't mine」の流れに、クラブ感が漂ってムードに酔いしれる時間。
“で君はどうしたい?”で視線を向けながら白い霧のなかに消えていく神山さんの姿。ぼやけるピント。完璧な世界観だった。
「サヨナラなんかじゃ終わらせないから」
濱田崇裕さんの弾くアコースティックギターではじまり、それぞれ前に置かれた鏡に映る自分と向き合って歌う。
円形に囲われて、赤の幕で閉じた空間の中、メンバーが向かい合って歌う。
フィナーレにくる「Big Shot!!」の盛り上がり。
Jr.の子たちが銀のバルーンスティックを振って、熱気高まるパフォーマンスに、バレーのコートで歌うジャニーズWESTの姿が蘇った。
そしてラストは「証拠」
歌っていた時の重岡大毅さんの表情に釘づけだった。
本編はここまで。
メンバーがはけたまま、自分たちのオリジナルキャラクターに吹き替え風でおしゃべりしているのが可愛かった。
再登場して、アンコールは「ロマンティック」
最後の挨拶をと、濱田崇裕さんがセンターに立ち、「よーおっ」パンッの一本締め。
みんなでしたら一番大きな(音の)パンッになるなと話しているなか、「大っきいパンやな」といたずらっぽく笑う重岡大毅さん。それパン違いやって誰か言ってあげてーと思いながら見ていた。
そう言えばコントコーナーの時に、お姉ちゃんこと神山智洋さんから「24時間テレビで井ノ原さんにツッコミしてと言われて、でもツッコミの仕方わからへんから、淳太に“どうやってツッコむんって真剣に相談してました」と暴露されていたことを思い出す。
ライブの締め、ジャニーズWESTは一本締めなのか!渋くて潔いところがいい!と新たな文化に触れた。
降りていく緞帳に、しゃがんだりしながら最後まで手を振るジャニーズWEST。
初めて触れたジャニーズWESTのライブは、エネルギーと、ワクワクからくる笑い顔に満ちた空間だった。