孫、そしてファンなのかもしれないひとりとして、おばあちゃんに連れて行ってもらった、演歌歌手の辰巳ゆうとさんのイベント。
そこで予約をしたCDが、しっかりとフラゲ日に配送されて届いた。
かつて演歌レーベルにいた関ジャニ∞を好きでい続けているものの、テイチクさんではないパターンの売り出し方は全く知らずで、
ビクターさんの演歌歌手の方のリリースパターンを初めて学習している。
A面というのか、リード曲は「星くずセレナーデ」そのままに、前期でA.B.C盤とカップリングの違うCDが3枚リリースされた。
そして私が予約したのは、D.E.F盤。
そう、D.E.Fがある。驚いた。CDそのものがツアーしていくかのように、長期でリード曲をアピールする点では合理的なのかもしれないとは思った。
ついにきたと感慨深さを感じつつ開封すると、ひとつひとつに優しさとアイデアを感じる。
まず、歌詞カード。元の文字も大きめにデザインされていて、別紙でもう少し大きめの文字パターンが挟んであった。そして譜面までついている。
年代広く歌詞が読めるようにという優しさと、譜面はもしかすると合唱や演奏会に使えるようにということなのかもしれない。
ジャケ写と別のカットの写真が、CDケース裏面と歌詞カードの裏にそれぞれ写っているところに遊び心もある。
個人的な好みは、CDケース裏面はEのあえて目線を向けていない微笑み横顔。歌詞カード裏はDの表とギャップのある表情が良い。
ダウンロード購入もできるけれど、CDで音を届けるひとの作品だなあと手に持って重みを感じた。
CDそのものへの感想はここまでにして、ようやくフル音源で聴けた「星くずセレナーデ」への思いの丈を綴りたい。
NHK「うたコン」で耳にして以来、どうしてこんなに焦がれる魅力があるのか、向き合ってみたい。
辰巳ゆうと「星くずセレナーデ」
作詩:深海弦悟さん
作曲:Scott Taylorさん
編曲:Michael Howard Jr.さん
イントロはTHE歌謡曲の迫力と音運び。
「異邦人」に通じる、イントロインパクトの方程式が忍んでいる気がする。
そこから一変して、辰巳ゆうとさんの爽やかな声色が景色を広くする。
サビ始まりで心を掴んでから、Aメロに入る前のサックスが1小節あることでムーディーさも加わり、哀愁にはしっかり演歌の礎。
1曲の中で、数曲分の多面的な魅力が味わえるのが「星くずセレナーデ」だと思っている。
ストリングスの広がりが夜空の星々を見事に表す。
天の川が、辰巳ゆうとさんの歌声の周りで瞬いている様子をイメージする。
サックスが効いて魅せる渋さと歌謡のムードは、辰巳ゆうとさんがこれから先歌っていっても、段々と良い飴色に変わる革物のように馴染んでいくはず。
1番の歌詞での
好きだとだけ 言ってかまわないかい
直球でありながら、好きだと言うことだけにさえ尋ねている控えめな切なさがある。
ひとりきりで どんな夜空を いま見てるの
と聞く時点で、一緒には見上げられていないことがわかる。
そこから“心にだけ 触れたままで”とつづく切なさと艶っぽさ。MVでは悲しげな表情も含めて、その声に届かなさが表れていて、辰巳ゆうとさんの表現力を感じる。
この恋はまだ終わらせない
の一言でドキッとさせる一面もある。
優しく見守りつつ、想いの強さは揺るぎない。
2番ではさらに物語が広がって、
もしも他に 思う誰かがいまいるなら
で、振り向いてもらえているわけでもない情景が伝わる。
だけど諦めるのでも無理に振り向かせようとするのでもなく、気長にそばに居ることを選ぼうとする主人公のおおらかさに惹かれる。
歌声にひたすらに聴き入ることの良さもありつつ、
指先まで美しく丁寧に表す所作が印象的な、リリース後についた振り付けにも好きなポイントがある。
“灯る”で、足元でステップを踏んで踵を立ててポーズを取るのを見て、可愛い!ミッキーだ!とテンション上がってしまったのは内緒にしたい。
歌番組では全身が映ることがあまり無く、イベントに行ってはじめて気づいたから尚のこと嬉しかった。
素晴らしいメロディー。思いを馳せたくなる歌詞。
耳から惹きつけ、その微笑みと歌声でしっかりと心を掴む辰巳ゆうとさん。
星というコンセプトがマッチして、シックで紳士さな雰囲気と同時に、華やかさもあるジャケット衣装。
見事なバランスと相性で完成された1曲だと感じる。
歌声の安定感…!!とイベントで驚かされたあの時から、もう次はいつ聴けるのだろうと思い馳せている。
おばあちゃんのため覚えた「星くずセレナーデ」はカラオケで何度も歌い、「海が泣いてる」も耳にするうちに口ずさめるようになってきた。
しかし歌ってみて尚更、比較的音域の届くサビと、サビ前の低音の難しさから、爽やかに歌って見えて決して簡単ではないことが分かる。
6曲にもなるカップリング曲。
まさかの横文字タイトル「On the rocks」からはワイルドさを表現する新たな表現と、語尾を伸ばせないところでいかに哀愁を魅せるかの挑戦を感じつつ、
曲調の“ロック”と思っていたら、タイトルを改めて見て、バーでグラスに丸い氷ひとつの“オンザロック”とも掛かってるのかとハッとして楽しかった。
「戻ってきてもいいんだよ」は情感たっぷり。
受けとめる側視点と、焦がれる側視点が特にD.E.Fでは歌詞に共通しているところに惹かれた。
Cの「心のランプ」と、Eに収録されている「まなざしの訳」が今は好き。穏やかさに惹かれる傾向がある。
ソロコンサートに行きたい。そう思っていたら、年内にあるとの発表を見た。
「星くずセレナーデ」がリード曲である期間のコンサートに、ぜひ行きたい。行くのだろうと思う。