「浪花いろは節」や「大阪レイニーブルース」「イッツマイソウル」
開演前に流れるインストを聴いていて、ああ関ジャニ∞だ。この空気感が好きなんだとしっくりくる感覚。
これまでから今日まで、関ジャニ∞が歩んできた音楽が好きだ。
関ジャニ∞が大阪・松竹座から生配信するライブ。
画面越しなんて関係なく、いつものライブと同じように緊張してくる自分の体がおもしろい。
家でこうなら、ライブ会場にいる開演前の自分は、どれほどの胸の高鳴りに耐えていたんだと、過去の自分を尊敬しそうになる。
だって実際のライブでは、その場に居て、開演時間になれば本人たちが出てくる。出てくる?!
ご本人登場が確約されている空間。考えただけで心拍数が落ち着きを無くす。
2020年8月8日、土曜日
松竹座
18:00 開演
オープニングは事前の映像ではなく、まさかの生中継スタイル。
ジャニー喜多川さんの名前が書かれた楽屋案内から始まり、松竹座の楽屋の廊下から関ジャニ∞のメンバーが、横山裕さん、安田章大さん、丸山隆平さん、村上信五さんの順でフレームイン。
壁に飾られていたバルーンを見た安田章大さんが「八祭」の時に使っていたバルーンだと言っていて、そのゴールドのEIGHTの文字を背景に、メンバーで自撮り。
腕をめいっぱい伸ばすも上手く撮れない安田さん、村上さんにバトンタッチ。容赦ない連写。
八祭の時に使ってたバルーンと聞いて、すぐにはピンと来なかったけど、あれか!中継で廊下を歩くメンバーが思い思いにカメラアピールをしていく時の、背景の壁に貼られていたあれか?!と後々繋がった。
「ANOTER」(アナザー)のポスターを前に、一人一人の名前を挙げていく丸山隆平さん。
どうするんだろうなんて危惧は要らなかった。内博貴さん、渋谷すばるさん、錦戸亮さんのことを自然と話して、その時間があったことで、どの時の関ジャニ∞も引き連れて今ここだと、松竹座の舞台に立ち帰ることができた。
見ている側の気持ちも、同じように。
エレベーターに乗り込むメンバーを映すカメラさん。
降りてくる先にスタンバイしている別のカメラさん。
横山裕さんは、頑なに大倉さんの顔うちわで隠しているから、何かある…?と察知しかけた瞬間、バッと外すと横山さんの髪色が!茶寄りの金髪!!
カメラさんがメンバーの背を映し続けて、そのまま気づけばステージに。
村上さんはカメラの前にぐいっと出て「私だ」と言うのが本日のマイブームな様子。
迫り上がったステージに、並んだスタンドマイク。とくれば歌うのは、
お馴染みの太陽マークもしっかりセッティングされていて、センターマイクは大倉忠義さんのため、ちゃんと置いてある。
あらためて考えると、1曲目がこの曲だった嬉しさがじわじわ込み上げてくる。
そして続くのは「TAKOYAKI in my heart」
はちゃめちゃ楽しくて好きな曲だけど、聴けると思っていなかった。メンバーごとの個人パートがあるから、もう聴けない曲の一つかなぁなんて思っていた自分の肩を掴んで大きめに揺さぶりたい。
見事な繋ぎ方で、現在のメンバーのパートをリレー方式にして、自然な構成で聴くことができた。7人の時は7人の時の。5人の時は5人の時の曲の表現方法を作り上げているのだと感じた。
「友よ」リリース前のバーベキューで安田さんが話していた、タブーを作らない、歌えなくなる曲を作らないようにしたいという思いが、確かに形になっていくのだと感じ取れて嬉しかった。
安田さんの上ハモが輝いていた。
さらにまだまだ「モンじゃい・ビート」
「エイトー!いっぱーつ!」で始まるこの曲。ここまでの3曲とも、ライブでは終盤もしくはアンコールにメドレーでくることの多い選曲で、それを松竹座ではトップに。オープニングとしてしっかり聴けて、松竹座の空間にぴったりきているのが素晴らしいセットリストだった。
歌詞の出し方が、フォントや動きも含めて躍動感いっぱいで、字幕があることで歌を楽しめる方にもとびきりの演出になっていると感じた。
横山さんと村上さんのカメラ目線が抜群の威力を放ったと思えば、丸山さんと安田さんの絵力の強さもすごい。
腹チラしようとする村上さん、丸山さんの頭なでてからの顎クイキッス、安田さんの本気キッスに、大倉さんのぬいぐるみに華麗にキッスする横山さんと、見どころが渋滞。
丸山さんのキッスのタイミングで勢いよく聞こえる横山さんの「どや!」の声が楽しい。
泣くな男じゃないか 嗚呼 なんぼのもんじゃい
「もんじゃーい!」で返すのが楽しい。
不思議なことに、“男じゃないか”と言われることがしっくりくる。勇ましくいたい時の気分は、“男じゃないか”と発破を掛けられるほうが丁度いい。
そして“なんぼのもんじゃい”という心意気が好きすぎて、心の中に掲げるモットーになっている。
今回は安田さんが“男じゃないか”の後に「エイターもな!」と言ってくれたのがグッときた。
チラッと映った2階客席には、ずらっと並ぶ村上さんのうちわ。
この日のために写真も撮り直したという力の入れよう。ペンライトも一面紫になって、YouTubeで配信された「Johnny's Happy LIVE with YOU」での伏線が回収された。
関ジャニ∞が着ているのは、16年ものの半被衣装。
後輩たち、かっこいい衣装はすぐ持ってくのにこの衣装だけは残っとんのよと、ぼやく横山さんが可愛い。裏地がないねんと、衣装の裏を見せてくれる村上さん。確かに表面のペイントがうっすら裏写りしていた。
それぞれ背中部分に絵や大きく描かれていて、横山さんは「招き猫」村上さんは「波」丸山さんは「花火」安田さんは「梅」
やっぱり和を着こなす関ジャニ∞、かっこいい。
つづいての曲は、メドレーと言いつつ、しっかり歌う。
ファンから熱望されていた「マーメイド」
イントロで気付けず、なんか水の中っぽいな。マーメイド?!と気づいた時の興奮。ドームでのライブで、上下する階段セットを使った演出が印象的だった「マーメイド」
ダンスソングとして見ていたけど、関ジャニ∞が歌うマーメイドソングとして歌詞も魅力的なことに気づいた。“マーメイド”の語感に揃えて、“けど”の語尾を“けいど”と引っ張る歌い方にするところがいい。
“ララライラ…”と忙しなく上下するハモりの美しさと、加速するパートと減速してゆったりとなるパートのさじ加減が、揺らぐ水そのもの。
「Do you agree?」
この曲で、“Do you agree?”とドラムを叩きながらニヤリ笑う大倉さんが大好きだ。
「Eden」
探し求めることがテーマになっている気がした「Do you agree?」と「Eden」の並び。
「Butterfly I Loved」
横山さんの発案で急遽セットリストに入れたという、大倉忠義さんのソロ曲。
ソロメドレーのセットリストがあったライブ「関ジャニズム」での、大倉さんの「Butterfly I Loved」が記憶に残っている。DVDでの視聴だったけれど、歌の世界観で悶えて儚く壊れそうな表現力に息を飲んだ。
4人が大倉さんの思いを強く引き連れて歌う姿は、いなくてもそこにいるみたいで、この曲が持つ強烈なまでの大倉さんのイメージを宿していることを再認識した。
ここで一旦映像へと切り替わり、
関ジャニ∞にとっての松竹座での歴史を振り返る映像。ナレーションは安田さん。
2002年 「X'mas パーティー」
2003年 「サマースペシャル DOUTON BOYS」
2004年 「サマースペシャル サマーストーム」(Cool magic cityを歌い出したのはこの頃から)
「X'mas パーティー」(なにわいろは節でデビュー)
2005年 「サマースペシャル Magical Summer」
「X'mas パーティー」
2006年 「サマースペシャル Another's “ANOTER”」
ん?この流れ。この間。まさか…?と思っていると、安田さんの通る声で
「エイトレンジャー!」
やっぱりかー!と待ちに待ったような、でも憧れのヒーローというよりかは、親戚のレンジャーをしていると聞く兄ちゃんたちと再会する感覚が近い。
「∞レンジャー 」
ちゃんと音源化されている曲なことが奇跡。
ピカピカ一張羅スーツではなくて、かつて着ていた初代スーツを着ているエイトレンジャー。
若干漂うチープさ。パープルがほぼ白。ヘルメットは2代目で、顎のベルトが調整できないタイプ。丸山さん首元が苦しい。
オレンジとしてギャグをかまそうとした丸山さん。“きゅうりのキューちゃん”が言えないことに、ギャグの途中で気づく。「きゅうりの…これは言えない」とギャグがしぼむ。丸山さんの哀愁が止まらない。
敵キャラとして、ジャニーズWESTの桐山さんと中間さんが映像で“B.A.D団”として15年ぶりの登場。
「ER」
なんか…歌いたなってきたな…で曲に入るのが、ジャニーズWESTと繋がるコントからのぎこちない曲入りという感じがしてよかった。
レンジャースーツのポップさに侮るなかれ、レンジャー姿で歌う「ER」も「ER2」も曲としてかっこよく、歌詞には現代への含みも重みもある。今聴きたい曲だったかもしれないと、自分の心が求めていたものに聴いて初めて気がついた。
曲終わりのトークで、村上さんが言う「申し訳」を久々に聞いた。カジュアル謝りスタイル。
そこからMCへ。
松竹座の楽屋、横山さん・村上さん・丸山さんの部屋にはトイレとシャワーがついていて、安田さんの部屋には無いという話。
2人ずつ着替えに行って、2人でトークを続ける流れもライブとして懐かしい。全員で着替えに行かず、順々なのがおもしろいなと思っていた関ジャニ∞を知りたての頃を思い出した。
着替えた衣装もとても良くて、ロックバンドTシャツをアシンメトリーにアレンジした感じだった。
右と左を違うTシャツにして真ん中で縫い合わせていたり、丸山さんが腰に巻いているブルーのチェックネルシャツには、ライブ「JAM」ツアーで地域ごとにデザインを変えて販売されたワッペンがずらりと付いていた。
ニュートラルな空気のまま、迫り上がったステージに思い思いに腰掛けて、安田さんがアコースティックギターを弾きはじめる。
「いつか、また…。」
膝を立てるようにちょっと雑に座り込む横山さんが、髪色も相まって少年の時代の横山さんを彷彿とさせて、タイムスリップして客席から見ているようだった。
「友よ」
ライブに行きたいよと気持ちがシンプルに湧いたのは、この瞬間だった。
アコースティックで1曲演奏してくれた。
今回はそれで十分…と思おうとした時、赤い幕の向こうに用意されていたのはバンドセット。
バンド!!とわかった時の衝撃。だって、大倉さんは?ドラムがいないのにと眺めていたら、関ジャニ∞のツアーでもサポートバンドとして、関ジャムでのジャムセッションにも参加してくださっている浜崎大地さんがドラムを叩いてくれていた。
「象」
一瞬、何かわからなかった。それくらいしばらくはもう聴けない曲だと腹を括っていたから。
「勝手に仕上がれ」
この流れに胸を熱くせずにいるほうが無理だ。十五祭での熱気ごと蘇って、ここが自宅だろうが関係ない。「K!A!N!J!A!」の掛け声で拳を突き上げて、「ニーニニニー」でピースサインを掲げながら見た。
今でもまだ、聞く度に様々な色に染まる「LIFE〜目の前の向こうへ〜」の印象。
「Re:LIVE」
上ハモをする村上さんの声がはっきりと響いて、清々しかった。
「LIFE」から「Re:LIVE」の流れを実現させるとは。この場でそれを見せようと決意した大倉さんの思いを感じ取った。いつか客席で聴けるようになったその時は、また観せてほしいと強く思った。
ダンスもバンドも魅せられることを提示してくれた今回のセットリスト。すごくすごくうれしかった。
アンコールで出てきて早々に「もうどんなん欲しいのー」を言う横山さん。ステージ足元からのカメラに覗き込むようにして言う。
最初カメラさんが間に合わなくて上手く映らなかったのをすぐに気づいたのか、もう一度言っていた。かわいい。
アンコールに選ぶのは何だろうとソワソワしていると、聴こえたのは「Cool magic city」
イントロにインパクトがあるから、はじめの音でおお!と反応する。松竹座時代から人気のある曲で、元々の歌詞にはバイクの名前として“ベスパ”が入っていたことなどは耳にしていたけど、それをライブで聴けたのは随分経ってからで、念願叶って出来るピロピロの振り付けは何度しても嬉しい。
その発祥の地である、松竹座で聴ける「Cool magic city」
「一緒にピロピロしよー」と言う安田さん声の形がほわっほわ。
最後に、大倉さんをキャラクター化したぬいぐるみをドラムの前から連れてきて、手を片方は丸山さん、片方は横山さんが持って、真ん中に。
「俺たちがー…」
ライブでの景色を、一気に思い出した。
ああ終わってしまう寂しいなぁと感じながら、手汗を気にしつつ繋いだ両隣の人の手をきゅっと握って、いたずらっぽく笑う横山さんの顔を見ながら向けられるマイクに合わせて「フウー!」と煽りを入れて。
「関ジャニー?!」で、グッともう一段下げた手を「エイトー!」の声と同時に空へと広げる。噴射される銀テープ。
思い出した…と言うよりは、数十パーセントでも追体験できた。
緞帳がだんだんと降りて、ライブが閉じた。
ドームでのライブMCなどで何度でも聞かせてくれた、関ジャニ∞の歩んだ松竹座での時間。
計り知れないほどの特別な時間、思い、汗も何もかもがここにあることは、この場所に帰ってきたときの表情を見れば伝わってくる。
1,000人の客席。それが埋まらなくて。
2階席にいたお客さんが気を遣って右に左に移動しながら観ていたという話はどこまでほんとなのかわからないけれど、埋まらない客席を見続けていたのは事実。
その話をする関ジャニ∞を自分が見つめていたのはドームの広い会場だったから、そうだったのか…と今や信じられないことのように思えた。
十五祭ティザー映像とスペシャルライブでは、錦戸亮さんも共に。
そして今回、2020年 8/8に関ジャニ∞単独公演として。
時折帰ってくることができていたから、その時その時の思い出が残っている。それが届く形で見えていること。本当によかったなと思う。
今回は、体調の大事をとって、大倉忠義さんのお休みが発表されていた。
ひやっとする気持ちが無かったわけじゃない。身体は大丈夫なのだろうか、どういう状況なのだろう。
でも、すぐに届いたメンバーからのメッセージには、本人には出演したい意思があるものの、メンバーの判断で休ませることを決めたという経緯が伝えられていた。
身体の不調は、本人が一番無視できてしまうから、それを見つけて、ちょっと待てと引き止めてくれる存在がそばにいることに安堵した。
見ている方が、テレビに雑誌に配信に、次々忙しいと感じるくらいだから、出ている方は倍の倍のそれ以上の忙しさで働いているのだろうと思う。
オープニングで、メンバー全員が大倉さんのうちわを持って全然顔を出さない流れから、大倉さんのぬいぐるみを持ったり、いつの間に作ったのと思うような大倉さんTシャツ。
それになにより、関ジャニ∞ 松竹座公演は、セットリストから大倉さんの存在感をこれでもかというくらいに受け取った。
関ジャニ∞が好きなのはもちろん、関ジャニ∞の歌ってきた曲が好きだ。
肌に馴染む化粧水が人それぞれなように、肌感覚で馴染めていることが嬉しい。
なんというか、もはや実家のような感じさえする。関ジャニ∞の曲を聴けば、帰ってきた感じがする。
これから歌っていく曲も、きっと色鮮やかなものになる。
またひとつ書き記された、関ジャニ∞と松竹座の歴史。5人で帰ってくる日を楽しみにとっておきながら、今日の日のことも大切な1ページにしたい。