関ジャニ∞ ライブツアー「GR8EST」最終日、変わることを恐れず進む道。[前編]

 

“楽しい?”

歌の途中で、目尻を下げて口角を上げて、口パクで聞く安田章大さんがスクリーンに大きく映し出された。安田さんがあんまり嬉しそうに笑うから、胸が熱くなった。

その問いかけに思わず「うん」と頷いていた自分に驚く。完全に無意識で、ああ今私は楽しいんだと気がついた瞬間だった。

 

関ジャニ∞ライブツアー「GR8EST」

振替公演の翌日が凱旋追加公演になり、京セラドームでの2日間のライブが開催。夏から始まったライブツアーは、冬に差し掛かる11月18日で無事完走となった。

まさかもう一度、大阪に来るなんて。

振替公演のレポートを目にした時、セットリストが数曲変わったことを知った。「ここにしかない景色」が「象」に変わり、「大阪ロマネスク」でのエンディングが「ここに」で本編を締めることに。アンコールに「All you need is laugh」が登場した。

「象」が聴ける。それをイメージしただけで泣くほどにうれしかった。大阪出発の前日に、自分にとって大きい状況の変化が起こった。決して良い変化とは言えなかった。ライブに行くかどうか一時迷ったけど、どうしてもいま「象」を聴きたい。その思いで大阪へと向かった。

 

 

ライブが目の前で起きている。

視力が瞬間的に過去最高になったのではと思うくらいに、何もかもが鮮明にくっきりと視界に飛び込んでくるライブだった。

ステージも、照明も、関ジャニ∞ひとりひとりの姿も、テレビ越しみたいな感覚ではなくて、本当にここで自分が目にしているのだと実感が持てた。

ドキュメンタリー番組「RIDE ON TIME」で、舞台進行や特効、音響のスタッフさんの仕事を具体的に知ることができたことも大きい。

自分が居た席は、前の方をよくスタッフさんが通って、重そうなカメラを持った状態で走るスタッフさんや女性のスタッフさんを見て、ライブ中にこんなに忙しく走り回ってステージを作ってくれていることを知った。

キラキラと降るテープも、火花も、人が作り動かしている凄さに感動していた。

 

オープニングの挨拶。ツアーのラストで錦戸亮さんはなにを話すだろうと心して耳を澄ましていたら、「エーオ!」と吠えだして、何事かと思った。

個性強めのコール&レスポンスだなと戸惑っていたら、錦戸さんが映画「ボヘミアン・ラプソディー」を観たばかりだったようで、フレディー・マーキュリーのライブシーンを完コピしていたと後でわかった。ドーム一面に広がるファンを前にして、あれがやりたい!となったのだとしたら可愛すぎる。

そのいきなりのコール&レスポンスに疑問を抱かず…というより、考える前についていく、ファンの対応力もすごかった。

 

「応答セヨ」でのスタートは何度聴いても胸がチクリと痛く、でも温かくなった。

次に続く、“ようこそ”ではじまる「ここにしかない景色」の流れがすごく好きだったのだけど、今回の2公演は「象」へと変わった。変わる前を観られているから言えるんだと言われてしまうとその通りだけど、関ジャニ∞の地元、大阪で見せるツアーラストの姿だからこそ、“ようこそ”ではなくこれからを感じさせるような、強気な曲を当てはめてくれたことが嬉しかった。

「NOROSHI」も「象」も、渋谷すばるさんの存在感は大きく、変化を感じさせないようにさける方法もあったと思う。それでも歌うと決めたからには、相当な覚悟があってのことだと感じずにはいられなかった。

 

 

丸山隆平さんのギャグタイムは2度ほど。どちらも濃密な時間だった。

変な間を置いて、手足をにょきにょき動かしてからの「ナナフシ」に、お腹が痛くなるほど笑った。カマキリの次に苦手なのがナナフシだけど、あの奇妙な動き、見事にナナフシ。いい不気味さがでている。香川照之さんの前で披露してほしい。

ほかのギャグの流れで、“スガシカオ”とギターを爪弾くジェスチャーをする丸山さん。「カメラさん寄りで映してるから手元映れへんねん」と大倉さんにツッコまれて、もう一度仕切り直す丸山さんのハートの強さ。今度は完璧な間合いで引きの画にしてくれるカメラさんの仕事っぷりが素晴らしかった。

 

バンド形態の関ジャニ∞を乗せて動くムービングステージの上、ウィンドチャイムに手を滑らせていく横山裕さんが美しかった。

丸山さんのベースステップも見えて、楽しそうに、そして時に寡黙にベースを弾く姿に釘づけ。カメラに抜かれない動きもよく見えた。「ココロ空モヨウ」のイントロで、鳴らす楽器の順番通に合わせて小粋にキュー出しをする丸山さんが好きで、今回のツアーは必ず注目した。

バンド演奏でのピック投げに、あんなにときめくのはなぜだろう。丸山さんはバンド終わりの暗転前に、ピックを手に持ってステージ前の方に歩いて豪快に2、3個投げていた。安田さんがする、腕力で投げつける感じのピック投げも好きだ。

あの小さなピックをつかみ取る、運の強さも動体視力もないから、いつか万が一に奇跡が起きるなら、そっと手のひらに落としてほしい。億が一でも無いことなのだとわかっているけれど。

 

無責任ヒーロー」では、ファイト!関ジャニ!の声量を、もっと!まだいける!とガツガツ煽る安田さん。誰か言ってくれるでしょーって人任せにするんじゃないよーとストイックだった。

 

「torn」の色っぽさが今回も強烈に印象に残っている。二人が憂いを表現するとなぜこんなにも魅力的なのか。

この曲になって大倉忠義さんが、髪型のアレンジを変えて出てきた。前髪を片側から重めに流して軽いほうの右サイドを耳にかける大倉さん。コンパクトにまとまった髪型と、ひらりひらりと揺れ動く衣装の対比が特に色っぽくさせていた。

大倉さんがライブ中にこんなにも絶妙なニュアンスで髪型のアレンジを変えていたことに気がついて、ライブが進行していくなかで一体いつそんなタイミングをつくるのかという驚きと、約3時間のライブで様々な表情を美しく見せるプロだと思った。

ここぞという時、耳掛けスタイルにして出てくる丸山さんは最高だし、村上さんも前髪のセットが変わっているふうに見えて、メンバーそれぞれのこだわりを感じられた。横山さんの髪型は安定しているけど、完璧に似合っているから間違いない。

 

「パンぱんだ」は最後の、おてて繋いで帰りましょのところで、横山さんが照れたのかツボにはまったのか、交互に振り向きながらけらけら笑けてしまっていて、それがもう微笑ましかった。

「パーン」の締め方といい、「FIGHT」の時みたいなほんわかした空気を感じて、ホットミルクみたいに温かい丸山さんの笑顔に心がほぐれた。