布博2019 くじらの背中ですごす夏休み

 

外は灼熱。でも行きたいイベントがある。

そうすると、暑さに滅法弱い自分の身体もなんとか動くんじゃないかという気がしてくる。

 

行きたかったのは、“布博”。

様々な布地のお店が集まるイベントで、手紙社が主催している。同時開催でブローチ市もあり、今回は横浜の大さん橋が会場に。

この日は大きな船も停泊していた。

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くじらの背中とも呼ばれる場所で、「海猿」のロケ地になった時から好きな場所だった。関ジャニ∞「LIFE 〜目の前の向こうへ」「オモイダマ」や、Hey!Say!JUMP「明日へのYELL」もここで撮影されている。

 

大さん橋にたどり着き、中へと入ると、高い天井。

拓けた空間に、いくつもの布がはためく景色。

前回よりも広い場所になったおかげで、人がたくさんいても歩きやすく、お店が見やすかった。酸素が足りない…!とならないのも、居心地が良かった。

ディスプレイされた布やパーツ、アクセサリーなどの作品。光が反射してキラッとするから、今なにか光ったと気になったら立ち止まって眺めたりする。

 

今回どうしても行きたかったのは、「nocogou (ノコゴウ)」さんのお店。

前回お店を見かけた時に、好きのツボにはまって仕方ない柄がいろいろ並んでいるのを見て、ふと立ち止まった。

「石垣」という柄を見て、直感で思い浮かんだのは、宮沢賢治の「やまなし」クラムボンの世界だった。

ほしい!ブックカバーもある…!と思ったものの、その時は予算が足りず、ぐっと我慢をした。またの機会…またの機会があったらと待ち続けて、一年越しにようやく。

 

どの辺りにあるかなーと思いながら歩いていくと、真っ直ぐ進んだ先に発見。何度も眺めた布地だから、柄でこのお店だとすぐにわかった。

すすすと近づき、念願のテキスタイルを目の前に、迷って立ち尽くす。どの柄もほしい。でも今回は、とあるイベントで使うためのテーブルに掛けるクロスを買おうと決めて来たので、まずは大きな布地の柄選び。

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これ!というものを見つけて、そこからは自分のためのお買い物。ファブリックボードを作ってもきっと可愛いと思って、布のセットを選び、マスキングテープとキャニスターも。買う気で来たからには好き放題。

シンプルで抽象的でありながら、可愛い柄たち。そんな柄がマスキングテープになったら、相性抜群に決まっている。

茶葉やコーヒー豆も入れられる缶カンのキャニスターは、「ローズマリーとレモン」という柄で、柄と丸みの可愛さはもちろん、マットな質感が手に取りたくなる質感で、どうしようか…と迷いつつも、部屋に飾ろうと購入した。

 

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やった。買えた。

ホクホクしながら歩いていると、美味しそうな飲み物を持っている人たちがちらほらと。

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手紙社のフルーツシロップのジュースが出店していて、ひと休みしようと“キウイとライム”のソーダとフィナンシェを買って、もそもそと食べる。おいしい。モカ味のフィナンシェが特に。

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何ヶ所か座れる所とテーブルが用意されていて、わりとスムーズに入れ替わり立ち替わりで座れたのも良かった。

夏の布博。熱中症がとにかくこわかったから、水とポカリの2本もペットボトルを持参したけど、大さん橋でも一応、自動販売機はあった。

タブレットも持って行ったし、手持ち扇風機もしっかり用意して行った。

この手持ち扇風機が大正解で、大さん橋はウッドデッキの下にホールを作っているような空間なので涼しいと言えるほどは空調が効きづらいようだったけど、自分の首元だけに風を当てられる扇風機のおかげで、暑さに負けることなく楽しめた。

コンパクトだから持ったまま見て歩けるし、折り曲げられるタイプはテーブルに置いて涼むこともできる。ライブ用に買ったけど、これがあると安心感が違う。

 

 

のんびりしていると、ライブスペースから楽器の音と歌声が聞こえてきて、リハーサルが始まった。

耳をすますとボーカルの女性の方が少し話しをしていて、「大阪に帰って電車に乗ると、関ジャニ∞の大阪ロマネスクが頭の中に流れるんです」と。

瞬間、ピーン!とアンテナが張り、まさかここで関ジャニ∞の名前が出てくるなんて。それも、大阪ロマネスクを思い浮かべながら電車に乗る、去年の自分が体験してきたことに重なって共感できたことが嬉しくて、心の中で喜んだ。

 

どうやら歌っているのは関西の方のよう。

布博そのものが関西からの出店も多く、引き寄せられていくお店、歌声、意図しないのに大阪につながっていく。

ライブが始まってからも、向こうから聞こえてくる歌が横浜にぴったりな歌詞で、素敵なセットリストだなあとお店を見ながら耳で聴いて、気づくと足はライブスペースにたどり着いていた。

そこには、柔らかく涼やかに歌うボーカルの女性と、右側にギターを弾く女性、後ろにアコースティックギターの男性、ドラム位置にカホーンの男性、左側にベースの男性がいて、楽しそうなバンドがいた…!と心ときめいた。

wafflesワッフルズ)」というお名前のアーティスト。

ウクレレやウィンドチャイムの音が良くて、ベースが聴こえる!と思ってからはベースにも釘づけ。

リズムに乗る動き、ベースネックさばき。ベーシストの方にはやっぱり特有の雰囲気と動きがあるんだなあと、丸山隆平さんのことを思い浮かべていた。

 

歌詞を書く動機にする出来事へのアンテナの張り方というか、物事を見る時の感性が素敵だと聴きながら思いはじめて、その場から離れられなくなった。

男性目線で書くけど、少女漫画寄りな男性のイメージになっているみたいと、ボーカルのkyokoonoさんは話されていたけど、私はそれがとても好きになった。特に「poplar(ポプラ)」と「貝殻のなみだ」という歌が気に入って、気づけば席に座りライブ後にはCDを買っていた。

だっていつでも聴きたい歌に出会ったら、それは逃さず掴みたい。今日来て、歌を聴けてよかったと思った。

 

 

そして、布博のラストライブは関取花さん。

最初の一声。すうっと吸った息が、歌になって響き渡った時の力強さ。

前回の布博で観たライブの感動がずっとあって、あの時に買ったアルバムも聴き続けていた。でもやっぱり、こうして目の前で歌声を聴く温度感は何にも代えられない。

ライブでだけ聴ける歌い回し。感情が乗ってこぶしが強くなる瞬間。関取花さんの体のどこからこんなに広く大きな声がのびのびと響くのだろうと、何度観ても不思議に思う。裏声も地声も、チャンネルのような切り替えは無くて、流れるように行ったり来たりする。

 

「君の住む街」を聴けたことが嬉しくて、大阪での時間を思い出していた。

美味しいビールがテーマのごきげんな歌、「黄金の海で逢えたなら」の曲調の楽しさはどこからくるのだろうと思っていたら、関取花さんはドイツで暮らしていた時期があると話をしていて、それだ!ドイツとビールの黄金比が輝いているんだ。あの空気感を歌にできるのは、実際にドイツの景色を見てきたからなんだと思った。

 

 

贅沢すぎるライブも終わり、布博もあと少し。

人がまばらになりはじめて、静かな大さん橋の空気もよかった。大満足な面持ちで、出口のゲートをくぐり外に出ると、そこは港が見渡せるウッドデッキ。

気温が落ち着いてきて、涼しい風も吹いている。

夕暮れ時の桜木町が見える。海上保安庁の船も。夏の時期の大さん橋は、綺麗な緑の草原になっていて好きな景色。

昼間に着いた時には停泊していた大きな豪華客船は、いつの間にか出航していなくなっていた。

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すぐに帰るのもいいけど、そばにあるこっそりと佇んでいるコーヒースタンドに立ち寄って、アイスのソイラテを飲むことにした。

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ガムシロップを入れなくても、まろやかで爽やかに飲めた。

 

いつも桜木町ばかり散策していたけど、山下公園のあたりも外国と日本の風情が融合されたレストランや建築物があって、通りすがりに見つけた横浜開港資料館の門は立派でかっこよかった。

門の隣には良さげなカフェも併設されていて、また時間のある時に来てみたいなと思いながら。

 

陽を浴びると眠くなるのはどうしてなのか。

半日を大さん橋ですごして、体力は使い果たしたけど、手元に残るお気に入りの布地とCDの重みを感じて、嬉しい一日になった。

 

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