ライブ配信で見た、舞台「ダディ・ロング・レッグズ」
2022年のことだった。
数枚の舞台写真を見たことをきっかけに、この衣装、舞台美術、小道具のひとつひとつ。
台詞やメロディーは知らずにいたけれど、トラッドな服装に手紙というテーマは、好きになること間違いないと思った。きっと好きなはずと勧めてもらえたことも、大きなきっかけになった。
観に行きたいと思ったものの、状況も、チケットも、間に合わなかった。
配信で見て、予想をさらに上回って好きな舞台になった。
どうか再演を、もしかなうならダブルキャストで、そう願いつつ、3年経つ今までずっと「ダディ・ロング・レッグズ」の空気を心の片隅に持ち続けてきた。
ジルーシャの歌声と眼差しは色褪せることなく、いつでもどこでも思い起こすことができる。
様々な舞台が上演できる状況が戻っていったなかで、再演の知らせをそっと待った。
でもみなさんとにかく忙しく、あの作品に続いてこの作品そして海外公演と、見えている限りでもスケジュールのなかに“ダディ”が入りそうだとは思えない時期もあった。
舞台の知らせが出るのは早い。1年後、半年後のチケットを取るのは通常だからこそ、年末も見えてきた頃になって、2025年も再演は難しいかなと思っていたら。
ふとした時に飛び込んできた、「ダディ・ロング・レッグズ」再演の知らせ。
井上 芳雄さん。 坂本 真綾さん。上白石 萌音さん。
キャストのページにお三方のお名前が並ぶのを見て歓喜した。
贅沢な願いと思っていたことが、現実に。
いつまでも待つと思っていたけれど、それが今。
うれしかった。
再演がある。上白石萌音さんもいてくれる。
「ダディ・ロング・レッグズ」という作品を観客として心の底から愛してきた上白石萌音さん。きっと多くを考えて、敬意と愛を込めて決意したのではと感じた。
だから尚更、ありがとうという気持ちが募った。
次のチャンスがあったなら、どうしても劇場へ観に行きたいと待ち望んだ3年間。
あの時、もっと早くに興味を持ってチケットを取る努力をできていたらと後悔もあった。
“ダディ”がどれほど多くの人に大切に愛されている作品か、今回のチケットの難しさからも伝わってきた。
一公演、観に行ける。
ダディとジルーシャの手紙のやり取りを、
ジャーヴィスとジルーシャの会話を、
あのセットと同じ空間にいながら聞くことができる。
ダディへ手紙を書くあなたに会いたくて、想いつづけたこの時間。
3年をかけて受け取る手紙のようなこの時間を、いつまでも思い出すことができるように、心に刻んできたい。