炸裂するハモりが最高な「また逢う日まで」山崎育三郎さんと大泉洋さんのパッション

 

NHK歌番組「SONGS

大泉洋さんがナビゲーターならぬ“番組責任者”になって早何年になるだろう。

先週の桑田佳祐さん特集も大変に豪華で、歌番組でありつつ、ボーリングもするという奔放な構成にいつの間にか見入った。

 

第584回のゲストは山崎育三郎さん。

ここで、名セッションと言わずにはいられない化学反応を見た。

 

歌ったのは、

また逢う日まで尾崎紀世彦さん

作詞:阿久悠さん

作曲:筒美京平さん

子供心に聴いて、なんて悲しいことをなんて清々しく歌う曲なんだと胸に刻まれていた。

山崎育三郎さんの歌声で響く「また逢う日まで

どこまでも伸びやかに、曇り空さえ晴らすような爽快感。歌の難易度など気にかける必要の全くない喉の開きように、わあーとひたすら口を開けて見ていた。

 

そして。映される足元。艶やかな革靴。

くる。確実に、くる。

 

なんと山崎育三郎さんと大泉洋さんの二人での歌唱。

布施明さんを目の前に、「君は薔薇より美しい」の一節をしっかりした声量で、マイクを遠ざける動きつきで再現した大泉洋さんが、ここで躊躇うはずがないのだ。

「本日のスープ」という曲をリリースしている大泉洋さんに、歌唱力があるのは知っているのだ。

しかし並ぶ相手は山崎育三郎さん。圧倒的な歌声に声量、ブレない腹式の歌声に押されずいられるのだろうか…

尾崎紀世彦さんの歌う、原曲のエネルギーが凄まじいからこそ、容易に近づこうとすれば飲まれてしまうような存在感が、歴代の名曲にはある。

だからこそ、名曲を今歌うと決めたアーティストの心意気にぐっとくる。

 

また逢う日まで 逢える時まで

 

一節でわかった。本気だ。

“逢える”のこぶし回し。ビブラートのかけ方。この曲を、歌いに歌ってきている…

なにより、この歌が好きだ!という気持ちが溢れている。歌うことが好きな人の歌だ…と、そこでもう心掴まれてしまう。

TEAM NACSとして舞台をずっとずっと続けてきている大泉洋さんが、腹式呼吸をもったいないはずがなかった。そもそも普段のトークから、一息であんなに饒舌に喋り高笑いをする大泉洋さんの腹筋が鍛えられていないはずかなかった。

 

二人で歌う声の重なりも良い…と聴き入っていると、まさかのパート分けに耳がびっくりした。

ふたりでドアをしめて

からの高音パートを大泉洋さんが歌ったのだ。

山崎育三郎さんが主旋律を歌っている。

えっ、逆じゃなく?!大泉洋さんがハモってる!?

しかも盛り上がっている。確実に、ギアがぐんっと入った感覚があって、喉にバルブがあるとしたら全開放!のレベルで声量のダブルパンチ。

ボクシングの試合を見ているのかと思った。

 

このハモりの旋律、アレンジを作ったのかと思ってはじめは聴いていたけれど、原曲を聴くとラストのサビでかすかに同じ上ハモが聴こえてくる。

原曲のハモりをしっかりと持って来つつ、ツインボーカルなみのハモりにアレンジすることで、新たなセッションが生まれていた。

そもそもあの高音を、あの声量のままで歌いきれる大泉洋さんもとてつもない。

 

素晴らしすぎて、胸が熱くなった。

同時に、凄すぎて笑いと涙が出る不思議。

 

山崎育三郎さんと大泉洋さんの、最高のセッションだった。

私はこの録画を年内何度も擦って見る。

告知なしでの歌唱だったこともあってか、NHK公式のYouTubeチャンネル、もしくはNHKのサイトで10月20日まで見られる優しさのミラクルが起きているので、ぜひ、必ず見てほしい。