ちょっとしたモヤつき、訳もないけど不機嫌になる気持ち。
そのどれもをパッと花束にして抱え上げて、モヤつきはどこかへ放り投げてくれるような晴れやかさがある曲。
King & Prince「&LOVE」
作詞:坂室賢一さん
作詞:坂室賢一さん/Louise Frick Sveenさん
YouTubeで公開された先行映像を見て以来、気づけば再生していたMV。
リリースしたアルバム「L&」(ランド)の中の1曲で、この曲がリード曲なのかーくらいの気持ちで見ていた。
少し前の歌番組で披露する機会の多かった「Key of Heart」がとても好きで、アルバムが出るんだなあと何となく記憶して。
自ら見に行っていたMVからの影響はもちろん、今回のアルバムのプロモーションはとても積極的な印象で、特にインスタグラムのストーリーを使った宣伝には見事に視線を奪われた。
スクロールで流れていく投稿としての宣伝ではなく、フォローとフォローの間に一瞬流れる宣伝。タップひとつで飛ばすこともできるのだけど、むしろ戻って何度か見るくらいに、不意打ちで現れる「&LOVE」が魅力的だった。
凄いなと感じたのは、MVでは横長の画面、アスペクト比になっている映像が、インスタグラムのストーリーではスマホ画面に合わせた縦長になっていたこと。
メンバーを追いかけて映すカメラの枠が、自分が持つスマホで撮影しているかのような擬似体験になる仕様に感動した。
どの盤を買おうか、気づけば検討しはじめて。
初回盤Bのジャケット写真がすごく良い。通常盤のブラックカラーなジャケット写真も良くて、通常盤でしか収録されない曲「Bounce」は英詞がメイン。
初回盤Aはなんと言っても「&LOVE」のMVが見られる。
フラゲ日は1日悩み、発売日、居ても立ってもいられなくて初回盤Aを購入した。
「&LOVE」の魅力について、MV、メロディー、ダンスに分けて分析してみたい。
まずは、MV。
パッと見て、ポップな景色が画として可愛い。
セット、小道具、衣装。目に映るどれもが、カラフルだけどゴチャついてはいなくて、素敵なバランスで並んでいて、もっとよく見たい!という気持ちになる。
さりげなく青みがかったり赤くなったりする照明の綺麗さも印象的。
可愛いだけを追求するのでもなく、レトロなお洒落さも共存していて、受話器のしっかりついた電話や、ポラロイドカメラ。ネオンのついた看板。サビのダンスシーンでの古着屋さんのようなセット装飾にも心惹かれる。
特に好きなのは、サビで右側に映る大きな口紅。
1つのカメラで、長回しのワンカットで撮影している今回のMV。
およそ3分の間に、めくるめくシーン展開。
意味や起承転結のある物語が描かれたMVも好きだけれど、コンセプトがあって、概念的な楽しさがそこに映っているMVもとても好きだ。
「&LOVE」は後者だと感じていて、あっという間の3分間、見終えたら重かった気持ちも少し軽くなる。
2番や大サビが入ったら4分は越えるのかなと思っていたから、フルで聴いて3:25だったのは意外だった。でもこのすぐ終わっちゃうスピード感が、もう1度聴きたい!に繋がる。
好きなシーンを言い出せば、もう全部。
はじまりの薔薇を持っているカットから心掴まれっぱなしで、スライドインで岸優太さんが差し出した薔薇を受け取ろうとした女性の手よりも先に、平野紫耀さんがひょいっと持っていくところ。
そこから薔薇をマイクに見立てて歌う動作も含めていい。
花びらをバケツから掴み投げる岸優太さん。インスタントカメラで写真を撮る髙橋海斗さん。ドレスアップしたマネキン相手にキザスイッチの入った永瀬廉さん。
さらに、“Catch Love”のフレーズで神宮寺勇太さんがする、上から握りしめる動きがとても好きだった。
何テイクもした内のOKテイクではない映像ではしていなかった動きで、一期一会だったかもしれないその動作がOKテイクで残ったことに感謝したい。
その時その時でわずかに変わるものがあるから、MVとして残ったこの映像に感慨深さが増す。
ただでさえタイミングと移動が忙しいセットでのワンカット撮影なのに、おもむろに2階に上がらされて遠巻きサイズになる平野紫耀さんに、コミカルで賞を渡したい。
ズームさえ粗めの画質で“HIRANO”と説明されているのが、かわいそうだけどかわいい。
パーテーションの裏で実際に着替えているというシーンも、メイキングを見ると、どれほど忙しく動いているか分かる。
着替えを間に合わせることも大切だけど、ネクタイを出てきながら締める動きも含めて演出にした平野紫耀さんのセンスは最高。
髙橋海人さんが押すカメラのシャッターと、出てくるフィルムのタイミングも、タイムキーパーさんのお仕事の大変さを思った。
そして降らせるテープなどの演出があるのに、ワンカットで撮るというハードさ…!リテイクの度、降らせる前の状態に元通りにさせるスタッフさんも大変。そこで生じるプレッシャーも。
でも、ここでいかにピリつかないかを言葉にして心掛けるメンバーの様子を見て、グループとしての空気感に思いやりと冷静さが築かれていっていることを感じた。
「&LOVE」の撮影方法は、メイキングを見せてもらえることで完成した作品と合わせて発見ができる楽しさがあった。
つづいて、メロディー。
なんか好き、だけどなぜここまで惹かれるんだろうと考えながら、ヘッドホンを着けて聴いてようやくわかった。
ポイントは、ブラスバンドの活躍。
管楽器の低音が効いているところから、サビでトランペットがパーンと前に来て大活躍していることに、やっと気づいた。通りで好きなわけだ。トランペットの音に目がないのだから。
ベースラインも主メロに掻き消えず、しっかり際立つ。管楽器とベースの相性が素晴らしいバランスで響いていて、さらにピアノが登場。一気にジャジーなムードを連れてきて、自由自在に音符が跳ねる。
ドラムもスネアの音で軽やかにマーチングバンドのよう。エレクトーンのようなデジタルな音もありつつ、メインが鮮やかな楽器の音色なところが魅力的。
そして決め手は、ハンドクラップ。大好き手拍子。
歌詞のメロディーも心地いい。
そこに、英詞だけでなく日本語歌詞の部分でも特徴のある言い回しをすることで、引っ掛かりのある味付けが加わってくせになる。
以前に「関ジャム」で、日本語歌詞は言葉としてメロディーが基本的に付いているため、英詞などに比べて音にはめ込みずらいと話していた方がいて、それをクリアする方法として画期的なのかもしれない。
“飛んでゆく”や“その笑顔が素敵すぎるから”の部分は特に、あえて耳残りする違和感を作り込んだ音運びにしているのが感じられて、K-POPの日本語訳の歌詞などにある、方程式が活かされているのかなと思った。
“素敵すぎるから”で、両手に持った2つの洋服をポーイっとする神宮寺勇太さんは、動きも歌も好きなポイント盛り沢山だった。
そして、ダンス。
アルバム「L&」の初回盤Aにはダンスバージョンも収録されていて、定点での全体のダンスが見られる。
ダンスバージョンにはダンスバージョンの良さがあって、ステップの身軽さ、メロディーをひとつひとつキャッチしていくような動きのハマりの良さ。
細かい合いの手の歌詞を、飛ばさず忠実に合わせる平野紫耀さんに驚いた。あんなに細切れに“Ha”や“Hey!”が入っていたら、踊っているうちに忘れてしまいそうなのに。一度に様々なことをこなすマルチタスクがすごい。
“ここから”の部分の肩揺らしも楽しい。一押し大好きポイントは、2回目のハンドクラップからのポーズストップ。足元の動きも。
後半で“Baby”と歌いながら横一列に並んだメンバーで隣同士、顔を見合わせるところも良かった。
とにかく楽しく、抱えたあれこれを吹き飛ばす風のような「&LOVE」
“Smile” “Happiness” “&LOVE”
ここまでポジティブなワードが並んでも押しつける感じは無く、爽やかに浸透する。
「Are you feeling OK?」 日常の何気ないやり取り
溢れてる優しさに 晴々なEmotion
Wanna know Wanna know 君のため何ができるの?
素敵すぎるその笑顔を 守り続けたい
最初のメッセージを送ってきてくれたのはきっと相手の方で、“Are you”の次に“feeling”と加えるところが素敵だと思った。
どんな感じ?と様子を伺うメッセージに、“溢れてる優しさ”を感じられる主人公も素敵。
君に出会えて Baby Baby Baby!
何よりも大事な&LOVE
“何よりも大事な&LOVE”の歌詞が、ポップな曲調の中でだからこそシンプルに届く。
何がどうなってとか、これがこうだからとかそんなの置いて、LOVE単体を推すのではなく、“&LOVE”
&の前に何かあってこその言葉で、普段の何かにすこし付け加えるようにして優しさを持てたならと考えたくなる。
今すぐにほら Baby Baby Baby!
あれこれ考えずにFeel Love!
スペシャルに好きなのは、ここの歌詞。
“Catch Love!”と前にある2つのサビで繰り返して、まず受け止めてと強調してからの“Feel Love!”
“あれこれ考えずにFeel Love!”
みんなで思い詰めてどうしていいかわからない今。
自分で大切にしたいのは、もうそれ1つかもと感じた。目の前に居ても居なくても、今どこに居ようとも。
考えるより先に届くLOVEに、 &LOVEで返せるようになりたい。