青い炎のような熱で魅せる。関ジャニ∞とスカパラのセッション「無責任ヒーロー」

 

無機質な何もない空間で、あるのは楽器と歌声。その立ち姿と表情。

関ジャニ∞東京スカパラダイスオーケストラの存在感で成立するこの空間。

 

関ジャニ∞のイメージになるくらいに、何度も歌われてきた「無責任ヒーロー」が、東京スカパラダイスオーケストラとのセッションで再びリリースされた。

無責任ヒーロー jam with 東京スカパラダイスオーケストラ」は、ベストアルバム「GR8EST」【グレイテスト】の完全限定豪華盤に収録されている、そのMVがあまりに格好良かった。音源は、201∞限定盤と通常盤にも収録されている。

 

コンクリートの床、灰色の壁、上には長方形の白く光るライト

冷たい印象になりそうなセットなのに、画面からは熱が伝わってくる。生身の人が演奏していて、歌っていて、楽しんでいる。

それがすごく格好良くて、堪らなかった。

向かい合い、それぞれが歩いてくる。それだけのことなのに、このセッションが叶うのにそれぞれどんな道のりがあったかを思うと感慨深く、胸が熱くなる。

バッと映し出された“無責任ヒーロー jam with 東京スカパラダイスオーケストラ”の文字に、スカパラのドラムセットと大倉忠義さんが使う関ジャニ∞のドラムセット、クチビルくんのマークがはっきり映ったところで、テンションが最高メーターを振り切った。

 

関ジャニ∞が着ている紺寄りのブルーのスーツも似合っていて良い。シックすぎると、かっこいいけど背伸びしている印象になりそうで、あのブルーが大人と若さ、まだスカパラと並ぶと青さもある等身大な感じがしっくりきていて、素敵だった。

スカパラが着ているグレーのスーツは、ダンディさを爽やかに着こなしていて、いいなあ大人。と見とれてしまう。スカパラと並ぶと、関ジャニ∞がまだまだ若々しい青年に見える。それがなんだか嬉しくて、スカパラのような渋いダンディに、これからも年を重ねていく姿を見続けることができたらとそんなことを思った。

 

曲は音楽番組でもライブでも何度も聴いていたけど、働くサラリーマンの苦労や、うだつのあがらない感覚、“昭和と平成跨いできました”の気持ちはピンときていなかった。

理由はひとつだけじゃないけれど、今ならわかる。格好わるくて挫けそうな自分を鼓舞したい気持ちが。一歩手前でなにくそと立ち上がる思いが。何度も何度も聴いたはずなのに、こんなに“聴こえてくる”のはなぜだろう。

輪郭がくっきりと浮かび上がるようにして聴こえてきたのは、

君の人生は誰のもの?? 

というフレーズだった。初めてこんなにも、自分事として届いてきた。

自分たちにだってある決断のタイミング。 大きい事として捉えるか日々の延長線上として捉えるかは人それぞれだけど、なにかを決めるタイミングはどんな人にもあるからこそ。誰かの決断を目の当たりにした時、自分は?と問いかけられている気がした。

 

 

関ジャニ∞東京スカパラダイスオーケストラ

楽器がそれぞれ2台ずつあるというのも楽しくて、特にトランペットを吹く横山裕さんとNARGOさんの演奏が重なり合うパートは、音のハモりが最高に心地よくて、トランペット同士がハモるってこんなに聴いていて楽しいんだと知った。

NARGOさんからの横山さんへの提案もあって、交差するようにトランペットを掲げて吹く姿。屈む膝までもがかっこいい。

 

安田章大さんのギターパートも本当に楽しそうで、同じくギターの加藤隆志さんがぐるぐると回りながらギターをかき鳴らして安田さんに近づくと、いたずらっ子みたいに安田さんもぐるぐる回ってギターを鳴らす。それを見ているメンバー達も笑いながら楽しんでいて、その空気が堪らなく。自分が目立つ瞬間じゃなく、メンバーにスポットが当たる瞬間を嬉しそうに見つめるその視線にときめいてしまう。

ギターの高音に合わせて2人で立膝になったシーンが、カメラの角度の都合か本編には無かったものの、メイキングの別カットとして使われていたのも良かった。

安田さんパートのセッションの後、パラパラパッパーでサックスの谷中敦さん、GAMOさん、トロンボーン北原雅彦さんの3人が列からスッと前に出てくるあの瞬間。迫力と強さが凄かった。そこに向かい合う錦戸亮さん、渋谷すばるさんは、どれほどの圧を目の前に見て、負けじと返していったのだろう。

楽しいけれど、気を抜く隙はないような、そんな緊張感のある空気が素敵だった。

MVだけではなく、レコーディングの時も。スカパラのレコーディングが先か関ジャニ∞が先かはわからないけれど、その音を聴いてどんな気持ちになったのだろう。そう思い浮かべながら見ていると、化学反応が起こる瞬間を目撃している気がして嬉しくなった。

 

ツインドラムのときめきも、今回ようやくわかった。

見た目、もそうなのだけど、バンドという体制のなかで、ドラムはバンドの主将っていう感じがして、ドラムとドラムが対峙すると、おお…頂上決戦…という感動がある。ボーカルも中心という感じがするけど、ドラム独特の存在感を見せつけられた気がした。

そして丸山隆平さんのベースソロ。あのフレーズ聴きたさにリピートしているくらい、ベンベン鳴るベースの音が耳心地いい。イヤホンで聴いていると、掛け合いになるセッションパートで右からスカパラ、左から関ジャニ∞の音が聴こえてくるのが楽しくて、あのMVの間に立って耳元で演奏を聴いているような贅沢な気分だった。

スンッと決めて弾く丸山さんも、それをぐっと踏み込んで見つめてニッと笑う、ベースの川上つよしさんとの空気感もすごく良い。

 

1対1もしくは1対2になった時のそれぞれの組み合わせも見応えがあって、この人とこの人か…!というサプライズ感もあった。

錦戸亮さんとサックスの谷中敦さん、GAMOさんの組み合わせには、おお!となったし、丸山隆平さんとパーカッションの大森はじめさんの並びを見られたのも嬉しかった。キーボードの村上信五さんも、今回スカパラにもキーボードの沖祐市さんがいることで対になっていて、それぞれに相手がいる感じにグッときた。

対峙して、1対1になって、そしてごちゃまぜになって関ジャニ∞スカパラも1列になった画を見た時のワクワクは、じっとしていられない高揚感だった。対決というような対面での演奏も最高だけど、横一列になった時の楽しさったら!

サックス隊に囲まれている渋谷すばるさんの頼もしさ。“エイト!!”とシャウトする渋谷すばるさんを映してくれて、カメラにおさめてくれてありがとうと心から思った。

 

ベースとギターのコンビの可愛さにも目が離せなくて、丸山隆平さんと加藤隆志さんの並びにきゅんきゅんきていた。ギターからベースに近ずくことはあるけれど、ベースの位置もなにも関係なく、至近距離で演奏しながらカメラで遊んでいる様子は無邪気で可愛かった。

カメラアピールの面でエスコートしている感じもあって、メイキングでは多分、丸山さんのカメラアピールを見て「勉強になります」と言った加藤さんとのやり取りも映っていた。

今回のMVのおかげで、人と人だけじゃなく、楽器×楽器の関係性へのときめきを見つけてしまった。関ジャムで管楽器が特集された時の、サックスとトランペットの競い合いも面白かったし、実際の吹奏楽部のことを思い出しても、選ぶ楽器と演奏者の性格って似てくるところがあると感じる。それが不思議で、面白い。

 

ねっ転がって這いつくばって、そんな中でしれっと普通に井戸端会議モードの村上信五さんと沖祐市さんがツボだった。

みんなが思い思いに寝転んだり座ったりしているところで、むすうっと歌ったかと思うと

笑っておくれよ なるようになるさ

と歌った後でおもむろに立ち上がるのは錦戸亮さん。

歌声も、投げやりとは違うけれど、肺の方から笑けてきてしまうような、力も抜けるけどそれでもやったんぞという精神が滲んでいる感じがして、今の関ジャニ∞が歌った「無責任ヒーロー」という曲のなかで最も好きなところだった。

 

心1つでなんとでもなるさ 

そう歌った渋谷すばるさんの声も表情も、耳から、目から、離れない。

ゆく先わからない時に聞きたい言葉なんて、信憑性も保証もないくらいで丁度良くて、だから今、「無責任ヒーロー」は何よりの応援歌のように響いてくる。

関ジャニ∞についてだけでなく、それは自分の人生にとっても他人事ではなくて、選択も決断も、できるのは自分だということを身に沁みて感じている。この曲のように、へたりながらでも不格好でも、生きた思考で何を選ぶのかを決めていきたいと思った。

 

谷中敦さんが今回のため新たな形で作り出してくれた「無責任ヒーロー」の掛け声。

近づく夏、ライブで「無責任ヒーロー」のイントロが流れたら、全力でこの掛け声をさけびたい