テレビの距離を越えていく眼差し。ラストのMステ

 

7月7日、金曜日はMステ生放送の日。

関ジャニ∞が7人で音楽番組に生放送で出演する、ラストの3日間が始まる。

感じたことのない感覚だった。現在進行形で起こっていることで、これは現実で、それを今まさに目の当たりにしていくのだと思うと、何だろうこれは…とわからない気持ちになった。淋しくてしょうがなくて、時間が流れなければいいよと思ったけど、関ジャニ∞がどんなステージを見せるのか、楽しみにしてしまう気持ちもあって。こんな時こそ関ジャニ∞は最強にかっこいいんだろうなとわかっていた。

 

どの曲を歌っても、その1曲1曲が最後になっていく。

Mステで歌うのは「がむしゃら行進曲」と「NOROSHI」

 

「NOROSHI」を歌う。すっっっごくうれしかった。聴きたかった。叫ぶように歌う「NOROSHI」を聴けたらそれでもう充分だと思った。

大阪にいる間に聴くことができるなら、これ以上ない力になる。ひとりの時間を作って、必死に自分の弱い所と戦っている今なにより聴きたかったのはこの曲以外になかった。少しでも気を緩めたら諦めてしまいそうな今こそ、京セラドームで聴いたあの時みたいに、背中を蹴飛ばしてほしかった。

 

Mステ階段を降りてくる様子も、椅子にちょこんと座っているのも、謎のタンクトップ姿でワイプに映るのも、渋谷すばるさんは可愛さ炸裂していた。ワイプでカメラガン見シリーズもMステに出るときのお楽しみだった。

「がむしゃら行進曲」を歌う関ジャニ∞はワイワイと楽しくて、にぎやかで、相変わらずなままだった。横山裕さんと渋谷すばるさんが二人でカメラにぐいっと抜かれた表情、丸山さんと顔を見合わせてにやっと口角が上がる錦戸亮さん。安田章大さんに寄り添って楽しげに歌う大倉忠義さん。紙テープが口に入ってキレ投げる村上信五さん。

なんていい瞬間を永遠に残してくれたのかと、全力の感謝をカメラマンさんとスイッチャーさんに送りたかった。安田章大さんの身体の状態を考慮して、どの立ち位置で、どのカット割りにすれば無理なく動きのある画を作れるだろうと最大限ベストをつくした演出もすごかった。

丸山隆平さんが真ん中に立って、がむしゃらに踊っているのが本当に眩しくて、大好きな7人そのまま。胸いっぱいにその思いただ一つだった。

ミュージックステーション、始まったよー!」と歌い終わりにアレンジを入れ込む丸山隆平さんに、笑顔で「やっば」とつぶやいている渋谷すばるさんの表情があって、すばるくんの言う“やっば”が好きだなあとしみじみ思う。

 

番組が進んでいき、前列に並んだ関ジャニ∞タモリさんと話をする番に。

衣装を着替えた関ジャニ∞は、シックな黒のジャケットに黒のパンツで、大人の男性の渋さ。

錦戸亮さんが「ちょっと謝りたいことがありまして」切りだした話題は、渋谷すばるさんがお蕎麦を食べていた時に、蕎麦をズバババとすする音が気になって、「ちょっと静かに食われへん?!」と言ったことを2年間ずっと気にしていたという話だった。「今言うこと?!それ?!」と顔に手を当てて笑う渋谷すばるさん。いたって本気の錦戸亮さん。

そういうほんの少しのことほど心に残って引っ掛かってしまうから、言えてよかったねと見ていて思った。

 

少しだけ落ち着いた気持ちも束の間、2曲目の時間がきた。

見慣れたバンドセット。見慣れた、と思えるほどに見てきたんだと気がついた瞬間だった。大倉忠義さんがどんと構えるドラム、隣にトランペットとパーカッションの横山裕さん、ドラムを挟んでもう隣にキーボードの村上信五さん。ベースの丸山隆平さん、ボーカル・エレキギター渋谷すばるさん、隣にエレキギターを持って錦戸亮さん、さらに隣にエレキギター安田章大さん。

 

曲中にバッと降りてきた白の幕に“関ジャニ∞”と書かれた毛筆の文字。

まだ渋谷すばるさんのことを怖いと思っていた頃、ソロでMステに出ていた渋谷すばるさんを見て、“関ジャニ∞”と書かれたTシャツを着てその文字を握りしめる仕草に、怖い人じゃないかもしれない…と思い始めたあの時の感覚を思い出した。毛筆のあの文字には圧倒的な存在感がある。

 

 

「君の踏み出した先にある」を信じて、自分はこの場所にやってくることができた。

大阪で暮らしても、10日が経てば元通りの日々に帰ることになるのはわかっていたけど、それでも一度外に出るんだと覚悟を決めることができたのは、とてつもない関ジャニ∞の煽りの力にじっとしていられなくなったからで、1年前に京セラドームで見た「Tokyoholic」「象」「NOROSHI」を歌うその背中が目に焼きついて仕方ないからだった。

真っ直ぐすぎるほどの眼差しも、煽るような視線も、睨みつける瞳も、渋谷すばるさんが見せてくれたすべてのことに感情が揺さぶられて、心が動く。

熱くなれることを知らなかった自分が変わっていった。人間味を取り戻させてくれたのは関ジャニ∞の歌だった。

 

赤い花束を受け取る渋谷すばるさんは、大人の魅力がフルパワーで、自分にとびきり似合う髪型を知っていて、こんなにかっこいいままでずるい。

あっという間にMステの放送時間は終わった。余韻に気持ちを持っていかれて、しばらくは何をするでもなく部屋でぼーっとする時間だけが流れた。