中崎町の雑貨屋さん

 

中崎町には雑貨屋さんもいくつかあって、ここにお店があるの??って所にお店があったりする。

アパートの一室とか、民家の並びを通り過ぎた先とか、家ですよって顔してお店だったりするから、油断してると知らないまま通り過ぎてしまう。

 

疲れがたまっているならじっとしていないといけないのに、マンションの点検が終わって数分じっとしたら、ちょっとだけお出掛けしたくなってしまった。

あちこちには行かないぞ、目星をつけた所だけ。それで今日はおしまい。と自分と約束して、まだ雨の降る中崎町にやって来た。

 

大ぶりなイヤリングが最近気になっていた。できれば作家さんが作ったハンドメイドのイヤリングを、今回の大阪の思い出にしたくて、どこかそういうお店はないだろうかと調べると、「SANDPIPER」という名前のハンドメイドアクセサリー屋さんがあると知った。

そのお店を探しながら、町の景色も観察しながら歩く。中崎町は美容院も多くて、それもお洒落でセンスが良くて、カフェかな?と覗き込むと美容院だったりする。こんなに可愛い所だらけでは、どこに通うか迷ってしまいそうだなと思った。

 

中崎町はお店がやっているかどうか、その時次第な感じがする。

お店が開いてない時もあるし、すぐに戻りますと貼り紙をして、開いているんだけど閉まっている時もある。そんなゆるやかな空気と、そんな時もあるよねーと許容するゆとりのあるお客さん側の空気で成り立っているのがこの町の雰囲気なのかもしれないと、毎日この町を歩いてみて感じた。

昨日開いていたお店が今日は閉まっていてシャッターが下りていると、景色が変わる。同じ道を歩いているはずなのに、あのお店はどこだっただろうと位置感覚がわからなくなる。今日見つけたあの場所に、もう一度たどり着けるかはわからない。

すっ…と姿を隠すチェシャ猫みたい。あのお店どこ行った?とクルクル変わる町の表情がおもしろかった。

 

 

探していたアクセサリー屋さんの入り口はガラスドアで、入りやすい雰囲気だった。

 

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傘を閉じて中に入ると、いろいろな作家さんが作ったイヤリングやピアス、ネックレスなどがあちらにもこちらにも並んでいる。

カラフルな色が閉じこめられたイヤリングを見つけて、これがいいなとすぐに決まった。

「pipiluさん」の作品。きゅるっと四角い感じと、ゴールドのつぶつぶのアクセントが素敵。地元へ帰ってきてからも着けていると、それ可愛いと言われたり。どの服にも合わせていけるのが楽しい。

 

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イヤリングをひとつ自分に選んで満足したあと、二度目の訪問になる喫茶店へと向かった。

この日は金曜日。大阪にいる間の最後の平日だったから、土日はきっと入られないだろうと思い、行き納めのつもりで。

茶店に向かう通り道に、エイトブンノニで丸山隆平さんと錦戸亮さんが立ち寄った駄菓子屋さん「ホリイケ」もあった。

 

ガラガラと引戸を開けると、雨と平日のおかげかお客さんは私ひとりだった。今回の大阪滞在は、なんだか貸し切り状態に出くわすことが多い。

エプロンをした渋いマスターが、ひと休みで止めていた音楽をもう一度つけてくれた。ここのBGMはジャズなのだろうか。楽器の音が聴こえるけれど、本を読むのにも丁度いい音のボリューム。棚の上にはレコードも置いてあった。

今度は出入り口に近い方の椅子に腰掛けて、ミルクコーヒーのホットを頼んだ。

外は静かで、お店の中も静か。年期が入ってミシミシと揺れる椅子はご愛嬌で、この建物で、この風情の中でコーヒーを飲めることが贅沢だと思った。

本調子ではないことは忘れず、一息ついたら部屋へと戻って、休息を取った。