声を響かせればたちまちフレンズ - ‪関ジャム‬セッション「ようこそジャパリパークへ」

 

丸山隆平さんの歌声にはゴールデンラインなるものがあると思う。

声が喉を通って響いて、もっとキラキラしだす瞬間。

 

2月17日に放送された関ジャム‬。

アニメソング特集でのセッションは「ようこそジャパリパークへ

これがもう楽しくって!見ていると勝手に口角が上がる。丸山さんの歌声がバチーンと当たった時の心地良さが全部盛りこまれたセッションで、ハイトーンに行ったかと思えば太めの声でバシッと決めてくるところも、丸山さんの歌声、怪盗二十面相。

 

ボーカルは丸山隆平さんと、この曲の作詞作曲をした大石昌良さん。キーボードは村上信五さん、トランペットは横山裕さん。

丸山さんの様々な歌声を一曲のなかでぎゅっと聴けるこのセッションは宝石箱だと思う。心地よく響く低音、スコーンと爽快に跳ねる高音、裏声(ファルセット)も、ひらりとひるがえり華麗に元の音程へと着地する。

 

2人でボーカルを担当するというのは、相手がどういうトーンとテンションで歌ってくるかの探り合いと息合わせがポイントになると思う。

リハーサルはあるはずだけど、そう何度も合わせての練習はないと思われるスケジュール。バッと合わせるセッションの緊張感は、魅力とも言える。

今回の「ようこそジャパリパークへ」セッションも、歌い始めはどのくらい声を張れば相手の声をかき消さないか、どのくらいの勢いでいくかを探る空気がなんとなくあって、大石さんが“ひっちゃかめっちゃかしても仲良し”の仲良しの部分、声を太めに出して震わせることで声に遊びをつけてきたところから丸山さんの遊びスイッチもオンになった。

 

高らかに笑い笑えばフレンズ

丸山さんの歌い出し、“高らかに”で声を思いきり張るのはきっと勇気がいる。いきなりで音を取るのが難しそうな“た”の音をバチーン!と当てていて、そこから“笑い笑えば”の“え”が「えぇ⤴︎」と右肩上がりになる。

がなりのような、スウィングする感じの声は丸山さんの魅力で、「DO NA I」での歌声と重なるところがあって、すごくよかった。

 

その次に続く

けものは居ても

のところで、“て”が裏声(ファルセット)に飛んで、その後すぐに「のけものは居ない」とくる“の”で音程を戻す歌いこなし。

ここにあるー  ほら

と歌う、歌詞から歌詞の繋ぎ。伸ばしからの繋がりが最高の間合いで、“ほら”の「ら」がキラキラしている。

“ここ”の部分で音とリズムをしっかり手に掴んだ感じがして、そこから“大冒険”と歌った時にきた!と思った。突き抜けたなー!と見ていて心地いい開放感。

その直後にブレイクでくるギターのフレーズが、サビ前に渋く効いていてかっこいい。

 

 

Welcome to ようこそジャパリパーク

サビでくるこの歌詞、無条件にウェルカムな世界観で楽しい。

しかし冷静に聴くと音数に対して歌詞がつめつめで、噛まずにテンポを合わせて歌うだけで難しそう。「ようこそジャパリパークへ」という歌を初めて聴いた時の印象がまず、歌うの無理!だった。それをセッションでと知った日から、丸山さんの声で聴ける嬉しさと、あの歌を出来るの…!?と衝撃が重なり合うミルフィーユ状態。

 

今回こうして文章にする前に、本家の「どうぶつびすけっつ×PPP」バージョンと、作詞作曲をされた大石昌良さんが歌っているカバーアルバム「仮歌」でのバージョンをあらためて聴いた。

本家はパート分けが細かく、声色様々。

にぎやかさは声の重なりからも表現されていて、サビ前の一呼吸置くところは「はいどーぞ」や「1.2.3」と合いの手が入っている。

関ジャムのセッションで、このきゅるるんとした世界観を、表情豊かな空気を男の人2人の声で。高揚感と華やかさを表現することの難易度を思うと、ドキドキした。

大石昌良さん1人で歌う「ようこそジャパリパークへ」は、関ジャムでのセッションのアクセントにより近く、こちらにはコーラスが入っていて、この歌を2人の声だけで歌うのは初めてになるのかなと思った。

 

関ジャムでのセッションは、歌い出しがゆったりとしたテンポになっていて、関ジャムの特集内容を踏まえて見ると、アニメソングの王道を受け継いだ演出にグッとくる。

ギターのカッティングがジャキジャキとかっこよく、ベースがゴリゴリなのもセッションならではのアレンジで、イヤホンで聴くとベースの音がよりくっきりと聴ける。本家では2番のあたりからベースが際立っていた。

 

ようこそジャパリパークへ」を聴いてイメージしたのはプリンアラモード

盛り沢山で、ひとつのお皿にあれもこれも。

テンポが鬼のように難しくて、メロディーはまるでジェットコースター。走りっぱなしのジェットコースターならまだ乗っていられるかもしれないけど、キュッとブレーキがかかる瞬間があったり、スピードがやわらいだり。それがくせになる。

 

今日も ドッタンバッタン大騒ぎ

この“タン”の音の抜け感。頭のてっぺんから音がける感覚。「ドッタンバッタン」で音は続いているように見えるけど、1回目の“タン”は高く、2回目の“タン”少し音が下がっていて、この裏声にくるっと回ってからの元に戻す喉の動きの早さが素晴らしかった。

だから

の部分でも、“から”の喉の開きが爽快で、丸山さんの「ら行」の発音はゴールデンラインに乗る率が高いと思っている。

「か」も「ら」も子音は「かぁ」「らぁ」で母音の後ろに小さな“ぁ”が付く。

「ドッタンバッタン」も「たぁ」で子音は“ぁ”なので、例外も大いにあるけど、丸山さんはその音で裏声になる時、キラキラとした歌声が響くのかもしれない。

 

 

西へ吠えろ

後ろ重心のリズムで歌った丸山さんが大好きで、“タタン タン”のリズムを前ビートではなく後ろで、裏打ちの容量でとったセンスがたまらなかった。

音感が丸山さんのなかで気に入っているパートは声のハリでわかる。

 

アップテンポでハードなサビから一変、ゆったりとした曲調に転調するところは、関ジャム本編で話していたように演奏する側のキーボードの村上信五さんも大変だろうなあと思いながら、

夕暮れ空に

で横揺れなテンポへと変化する空気感が心地いい。のびのびと歌う2人の表情に楽しさがつられて、見ているこちらもにこにこしてくる。

 

この歌の醍醐味とも言える語りのパートで、「ここは関ジャム完全燃show…」とアレンジが加わってきた時のワクワク感はすごかった。

「僕は 作曲が得意な大石おにいさんだよそして!」

「僕は はしゃぐのが得意な隆平おにいさんだよー」

と続く2人の自己紹介が可愛くて。息をつかずに「そして!」とバトンタッチするところが好きだった。

はしゃぐのが得意な隆平おにいさん。最高だな!と思った。何と自己紹介するのかなと気になっていたら、はしゃぐのが得意。なるほどたしかに!丸山さんのそういうところが好きなんだと再度気づいた瞬間でもあった。

自分はしゃぐのが不得意で、テンションを抑えがち。だから解放のすべを知ってる丸山さんを見てると嬉しくなる。

シンプルなようで、グッと心にくる自己紹介パート。

上手かどうかなんてさて置いて、「僕は(    )が得意!」と言える明るさが好きだ。

 

今回のセッションは横山裕さんのトランペットも主役ばりに際立っていて、それが最高にかっこよかった。

横山さんがトランペットで特徴的なあのメロディーを吹いてくれたことがまず嬉しかった。歌の中でトランペットの音が浮かび上がるから、緊張感も半端ではなかったと思うけど、見ているほうとしてもドキドキよりもワクワクして聴いていた。

一旦メロディーを下げてから、上がって、さらに上がって。

音程がぐんぐんと登り、ワクワクを高めていく演出になっていて、そのキーポイントを任されている横山さんが頼もしく、その横山さんの音を聞いて少し後ろを向きニコッとする大石さんとの空気感もたまらなかった。

 

 

たった3分ほどのなかにぎゅうーっとなっているときめきポイントの数々。

丸山さんの声のこういうところが好き!を伝える時は、このセッションを見せたい。

 

楽しそうに歌っている人を見ると、楽しそうに演奏している人を見ると、身体の肋骨のもっと奥の方、とにかく身体の中心辺りからぐーっと嬉しさが込み上げてくる感覚になる。

関ジャムのセッションから感じるこのエネルギーは特別なもの。

緻密なスケジュールのなか、課題となる曲を練習して最高なパフォーマンスを披露してくれる関ジャニ∞と出演者の方々、スタッフの方々には感謝でいっぱいな気持ちになる。

気づけばもう4年も続いていることに驚くけれど、これからもどうか末長く、ここで叶う奇跡のようなセッションを見せてほしい。