憧れと焦がれる思いで見つめる、アーティスト 長谷川愛さん

 

気分は高校1年生の位置から、三年生の先輩を見つめて憧れているような。

出会いのきっかけはきっと何度もあって、だけどまだ遠巻きに見つめるばかり。

今度こそ、今度こそと思いながら、新曲が出てリリースイベントが行われていても曜日の都合で行けずにいた。

 

長谷川愛さん。

キュートで魅力的で一生懸命な人。

なにも知らないけど、それはわかる気がする。

 

初めて見た時、こんなに可愛い人がいるのか…と、一目惚れだった。

同じ時間軸の別の世界線で、「風男塾」という名前の男装アイドルグループのステージライブを通りがかりに見たことがあった。

きっちり魅せようと、気概を持ってステージに立っているのが伝わって、立ち止まって見たくなるパフォーマンスだった。

風男塾」が“腐”を名前に使っていた頃も知ってはいたけど、知っているだけで、

風男塾」の愛刃健水くんと、長谷川愛さんの関係性が繋がったのは、その後のことだった。

 

愛刃健水くんの姿にもまた、一目惚れをした。

ベレー帽を被って、座って頬杖をついて。べっといたずらっぽく舌を出して微笑む表情に、魅了された。

大阪府出身だと知った時の驚き。すでに好きなのに、関西弁だなんてそんなこと。

知らずに好きになる役者さんもアーティストもとことん関西出身。直感なのかなんなのか、無意識のうちに関西に引っ張られている。

“あっけらかんとした”という表現が合っているか迷うけれど、雰囲気から、関西のカラッとしながら芯の通った根っこの強さを感じているのだと思う。

 

それだけ関心が募ってもまだ、見つめるばかり。

そうしている間に、愛刃健水くんの「風男塾」卒業を知り、これからもアーティスト活動が続くことに安堵した。

 

いつかまたなんて言っていたら、状況がどう変わるか分からない。

だから今度こそは、シングル曲「You are not alone」のリリースイベントには行きたかった。

その思いをますます強くしたのは、長谷川愛さんがTwitterに載せていた「大好きな君」の振り付け動画。

手振りだけを見せるためではなくて、手を差し伸べる角度、笑顔が完璧で、見ていると元気が出てホッとする。

何度も見た。隙あらば見ている。27秒の動画に、こんなに癒されている。

肩が入っているダンスから、ダンスが綺麗な人のリズムの取り方だとわかる。

 

そして「大好きな君」のメロディーと、この曲に合わせた歌声に惹かれていることに気がついた。

リズムを刻むリフに、裏打ちで弾むエレキギターとドラムの音が楽しい。

ジェントルな表情の歌声に心躍る。

 

そっと手を握って 笑いかけて

くしゃっとなる君の笑顔を

守り抜くよ ほらおいで 大好きな君とForever

 

差し伸べる手の振り付けに、きゅんとした。

“ほら おいで”に呼びかけられている気持ちになれた。

裏打ちの曲に弱いのが相変わらずな自分でおもしろい。間奏のピアノアレンジもエレキギターのセッションも素敵で、フルで聴いて新たなときめきが増えた。

大サビ前にダンッと決めで音が止まるところ。

“くしゃっとなる”の『な』の音が、『んな』とこぶし回しっぽくなるところ。

培ってきた歌声の幅がこの曲でも輝いているんだと感じる。

 

 

どうにか、リリースイベントに行きたい。なんとかなってくれないかと、スケジュールも言い訳も思い巡らせたけど、出来なかった。

だから今は、イヤホンから聴こえる歌声を味方に、何度も聴いている。

確実な魅力と、ますますのポテンシャルを持つ長谷川愛さん。見つかるところに見つかって行ったら、どんどん飛躍する方だと信じて疑わない。

 

まだ、会えていない。

今はこんなふうにラブレターを送ることしかできないけれど、叶えると決めた「はじめまして」のため。

“大好きな君”のことを思いながら、私は今日を歩く。

 

ロマンチックな君の瞳に

 

丸山隆平さんを形容する言葉は、“ロマンチック”だと思っている。

名曲「君の瞳に恋してる」は、歌で酔いしれるカクテルだと思っている。

だからどうか、ジャズバンドの前でスタンドマイクを手に握り、「君の瞳に恋してる」を歌ってほしい。丸山隆平さんに。

 

暗めの照明の中、小さく1段高くなった半円形状のステージ。

奏者としてJAZZ BARで演奏する関ジャニ∞の姿は、何度夢見たかわからない。そしてあと十何年待つとしても、いつか叶うと信じている。

ただ「君の瞳に恋してる」(Can't Take My Eyes Off You)のボーカルイメージは、丸山隆平さんだった。

 

アレンジは、ミュージカル版の「ジャージーボーイズ」のものがいい。

この歌の作詞・作曲は、Bob Crewe / Bob Gaudio

欲張っていいなら、英語詞も日本語詞どちらも聴きたい。丸山隆平さんの耳なら、音感でリスニングをして英語で歌えるかもしれない。

カバーは様々あるので、アメリカ舞台版のサントラをぜひ聴いてみてほしい。

もしくは、映画「ジャージーボーイズ」もおすすめ。たちまちどの曲も好きになる。映画「ボヘミアンラプソディー」に並んで、グループとは…と胸痛む展開もあるけれど、どちらも大切な“尊重”を描いていると思う。

 

イントロから、この歌詞で歌は始まる。

 

You're just too good to be true
Can't take my eyes off of you

 

スネアドラムの音、弾けるトランペット、いたずらっぽく鳴るエレキギター

いきいきと夢中な想いを歌にのせるボーカル。

ベタすぎるほどにベタで、キザすぎるほどにキザであるロマンチックなこの曲を、丸山隆平さんならとびきり紳士な佇まいで、キュートな表情を見せて歌うはず。

歯の浮くような世界観を成立させられることは、最高にかっこいい。

 

Don't bring me down, I pray

『僕を落ち込ませたりしないで お願いだから』と訳したくなるこの歌詞がすごくいい。

 

丸テーブルのひと席に座り、ライトは落ちて、丸山隆平さんにだけスポットライトが当たる。

こちらが見つめるばかりの視界の中で聴く「君の瞳に恋してる」

あっ目が合った?なんて瞬間にバチンッとウインクが飛んできた日にはもう一生虜。

長い脚と伸びやかな腕をしならせてリズムを取る。時に瞳を閉じて、メロディーに酔いしれていたり。

そのすべてが様になる。

 

 

作品変わって、長年願って止まない夢がもうひとつ。

ミュージカル「ウィキッド」の“フィエロ”役を演じている姿を、観たい。

1度限りの客演なんて奇跡が起きないだろうかと思うくらいに、丸山隆平さんだったらと想像するだけで胸が高鳴る。

腰の位置が高いほど着こなすことのできるピタッとアイボリーのパンツに、赤いベストと、腕まくりをしたシャツ。膝下の長さが強調されるロングブーツ。肩から掛けるのは素朴な革の鞄。

 

学生だけど、真面目に勉強?本を読む?そんなことより…と同級生達をのんきに不真面目へと誘い込む。

そんなフィエロのソロが輝く「人生を踊り明かせ

踊ろう みんな一緒 それが人生だ

本をふわりと取り上げて投げたり、膝を曲げながらぐいんとスライドさせるダンス。曲げたままの腕で踊る姿。

演出で、はしごを途中まで登って行って振り向き、グリンダに向かって“人生踊り明かそうよ”でメロディーの沿うように手をゆっくり下ろしていく動きがあって、それがもう大好きで。

あのチャランポランさを、なのに魅力的な姿を、歌の中で演じるところが観たい。

 

楽しもう 星屑が手を取り合うんだ

最高だと思いませんか…

このパートを歌う丸山隆平さんが観られたなら…

きっとその後に待ち構えているシーンの数々も、丸山隆平さんの素質と深めた解釈で必ず魅力的になる。

お披露目をするグリンダの後で、グリーンとゴールドの映える正装を身にまとうフィエロの納得のいかない表情。

エルファバとフィエロのシーンで歌われる「二人は永遠に」は、色っぽすぎて顔を覆ってしまうかもしれない。

 

丸山隆平さんにカバーパフォーマンスしてほしい演目を、ひたすら想像の域で広げているだけなのに、脳がいきいきして楽しい。

「君の瞳に恋してる」で、最高にロマンチックな丸山隆平さんを。

「人生を踊り明かせ」で、敢えて道化を演じるようなフィエロを。

このステージを、いつか叶えてはくれないでしょうかFNS歌謡祭さん。

 

“ロマンチック”の意味をMacの辞書に聞くと、

【現実離れしていて甘美なさま。空想的で波乱に満ちたさま。情熱と理想にあふれたさま。】とある。まさにではないか。

観てもいないのにこんなに盛り上がれるのは、すでに丸山隆平さんの魅力をそのように受け取っているから。

それならもう私は、ロマンチックな君の瞳に。

 

詩を書いた日

 

振り返れば「スピッツ」が思い出の中にある。

卒業式にはどうしたって出ないと決めていた。小学5年生の頃には決めていた。

無理だった。どう考えても無理だった。その断固とした決意は、ある種、担任の先生との根比べになりつつあった。

 

卒業の日、私は参加した。

したんかい。自分が一番驚いている。だけど、参加出来たからいいとか、そういうことを話したいわけではない。

特別に飾り付けられた体育館で、6年生の生徒がずらりと並んでいることのしんどさは、あの場に居ることを選んでも変わらなかった。

たぶん、それをわかっていても、あの場にいたいと思う理由ができた、それが大きかった。

 

卒業式に歌う曲は、大多数が「3月9日」を希望したのに、前年度も同じだったからという謎な理由で却下になって、

耳慣れない卒業式ソングの中から3択で半ば無理に選曲された。何を歌ったか、今思い出すこともできない。私は思い出せる歌を歌いたかった。

卒業年のリリース曲で言えば、EXILE「道」だったのだけど、それでもなかった。

 

じゃあ、何のために。

ますます参加する気を無くしていたところに、先生がなんとなしに提案してきたのは、

「詩を書いてみない?」

なんでそうなる?と思ったけど、無印良品で売っていた真っ白な本に絵を描いて、詩のような言葉のようなものを書いていた私は、その本を以前に先生へ渡したのだと思う。

卒業式という、“そこ”に居る意味を持ってほしかったのだろうかと今なら考えられる。

 

すると同じクラスの子も「私も書きたい」と立候補して、いつの間にかコンペのようなことになった。

私にとっての初のコンペ。

テーマは「卒業式」

よくイメージしていた、僕たちー!私たちー!みんなで行ったー!修学旅行ー!の位置に置かれる、詩を書くというコンペだった。

思い返せば恥ずかしさばかりだけど、提出した詩の書き出しは、確か「もうすぐ卒業だね。君がそう言って…」とつづく言葉だったと思う。

全文は行方が分からない。

 

詩が卒業式に使われることになった。

クラスを代表して1人が言うパート。全員が言うパートに分けられた。

リハーサルで聞くたびに、不思議な気持ちになった。

私にとって苦手な相手がいたように、相手にとっても苦手な私であったことがあると思う。誰の書いた詩か知ったら、ボイコットでも起こるのではと想像したりした。

でもそこに、誰が書いたかどうかは関係なく、卒業式で読んだ詩として存在している、不思議な他人事感が楽しかった。

 

詩を読む時の音楽を、リクエストさせてほしいとお願いした。

それが、スピッツ空も飛べるはず」だった。

 

「チェリー」と迷った記憶があるのだけど、あの詩には「空も飛べるはず」だった。

“君と出会った奇跡が”の歌詞よりも、“色褪せながら ひび割れながら 輝くすべを求めて”などの歌詞に、形にすらならない思いを重ねていた。

 

私の過ごした小学6年生の時間の中に、スピッツは欠かすことができない。

一世一代の恋ではと浮かれるほど好きになったお調子者の彼が、好きなんだと教えてくれたのが“スピッツ”だった。

「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection」を、TSUTAYAで借りてずっと聴いた。

1997-2005も聴いた。車の中でも、家族のリクエストを差し置いてひたすら流した。勉強をしながら、机の上にCDプレーヤーを置いて流して聴いた窓の向こうの景色は今も思い出せる。

なんでこの曲が好きなんだろう…と思いながら聴いているうちにはまっていった。

「君が思い出になる前に」が好きだった。

 

そんなことも関係したりしなかったりで、卒業式の詩の朗読でBGMにはスピッツ

空も飛べるはず」しかないと思った。

検討するねということで、決定したのはいつだったか忘れてしまった。

 

意地でも出ないと決めた卒業式。

そこに立っていた。

入場、挨拶、卒業証書授与。そして詩のゾーンがきた。

体感したことのない感覚だった。来賓の方々、先生たち、保護者、多くの人のいる空間。名無しの誰かが書いた詩が、読まれて声になって聞こえる。

空も飛べるはず」のメロディーも聴こえる。

あの高揚感は、後にも先にもあの時間限りの経験だった。

 

先生に乗せられた…してやられたな…と捻くれ心で思ったけど、誰かに見せるものとして何かを書いたのは、それが始まりだった。

今に繋がる卒業式。未完成だし、恥ずかしいからと隠してしまわなくてよかった。拙くても、人の目に届いてよかった。

詩を書いた日の記憶は、まだ胸に残っている。