豪華客船の港町

 

フワフワのオムライスがおすすめのお店で、包む方のかちかちのオムライスを頼む。そんなひねくれ具合。

焼き芋はトロトロよりもホクホクがいいし、プリンは固いほうがいい。

 

なんだかわからない気持ちになったから、散歩をするためだけに港町に来た。

ただ歩く。座ってぼーっとする。そんなことを繰り返す。暑さも過ぎて行ったから、熱中症を恐れて外出を控えることもない。

 

大好きな海猿を思い出す街。

道が広くて、ただ広くて、空も大きい。

 

アメリカからの豪華客船が停泊していた。

ディズニーシーの大好きだったショー「オーバーザ・ウェイブ」みたいだ。

船を見上げる人、船のある景色を絵に描く人、船からの景色を見ている人。

お互いになんの関係もないけど、こんにちは、はじめましてと出会っているような、不思議な関係性が交差する。

 

船の通用口へと沢山の荷物が運び込まれて、その横では長いローラーを持ったお兄さんが船の綻びをペタペタと青いペンキで塗っている。

船のデッキでは恰幅のいいおじさんがひと休み。

飛行機に乗らなくても空港に来るのが好きで、船に乗らなくても船を見に来るのが好きなのはそういうところかもしれない。

壮大なものを見ると恐くもなるけど、こんなもんじゃない世界が予想もしない大きさで広がっているんじゃないかと思えるから素敵だ。

 

 

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