Nissy 5周年のベストアルバム

 

テーマやデザイン。作品を手に取るとわかる、作ることへの真面目さと、とことんまで練られた緻密さ。

途切れることなく仕掛けられるサプライズに、どうにもこうにも心惹かれる。

 

2013年「どうしようか?」から始まった西島隆弘さんのNissyとしてのエンターテイメントが、5周年になった今ベストアルバムとして形になった。

1stアルバム「HOCUS POCUS」(ホーカス ポーカス)が発売された時は、初めてミューモのサイトを使って通販で注文をした。郵便局で受け取って、待ちきれずに家に帰る前に箱を開けた。

 

f:id:one-time:20190207142141j:image

 

2ndアルバム「HOCUS POCUS 2

ライブツアーの会場で、実際に並ぶCDを見て購入を決めた。グッズだって買いたかったけど、なによりCDが欲しかった。

 

f:id:one-time:20190207142035j:image

 

 

そして2019年。ベストアルバムがリリース。

Nissy Entertainment 5th Anniversary BEST

今回のベストアルバムには、新しく「トリコ」「Relax & Chill」「Addicted」が収録されている。

 

ひとつひとつ作品を揃えてきたからこそ、すでに持っている曲やMVが多かったりするのは、ベストアルバムの悩ましいところ。それを上回ってこのCDが欲しい!と思ったのは、ジャケット写真がとてつもなくツボだったから。何度でも言いたくなるほどに。

レコードのモチーフに蓄音機。ジャケットにハットのNissyが持つショップバッグには、Nissy RECORDSのロゴ。

背景に大規模なセットや加工はなく、シンプルな配置とNissyのポージング。アルバムタイトルの位置もシンプルで、そのかわり文字間隔が広めに取られていて、それによって文字にも存在感がでている。

ジャケット写真はCDそのものの空気感を決定づけると思う。だからこの写真を見た瞬間に、このアルバムとしてのコンセプトは好きになる間違いないと確信して、購入を決めた。

 

そして2月4日、発売日。

タワレコがNissyフィーバーだった。ポスターがあちこちに。BGMで聞こえてくるのはNissyの歌声。Nissyのグッズまでタワレコで販売されている。

なにより、棚がある。Nissyブースがセッティングされていて、店員さんが手描きで装飾したPOPが棚を盛り上げている。

当たり前のようでいて、当たり前ではない。通販でしか買うことができなかったCDが、店頭で実物を見て手に取り、買うことができる。このタイミングでのベストアルバムは、Nissyを初めて知る人にとっても、ぴったりな作品集だと思った。

 

 

待ち焦がれたCDジャケットが手元にある喜び。

雰囲気コンセプト表情ぜんぶが好きすぎて、写真として素晴らしい。美術館のような額に入れて飾りたい。

さらに特典で、レコードデザインの缶バッジがついてきて、それがすごく嬉しかった。

 

CDが2枚組、DVDが2枚組。DVDはMV集で1枚、ドキュメンタリーダイジェストなどの映像含めて1枚。計4枚のディスクが入ったパッケージを開けると、歌詞カードの写真がぱっと目に入る。

それがなんとジャケット写真の続きのような雰囲気の写真たちで、歌詞カードとしての重厚感はもちろん、あの1枚で完結せずに何枚かのコンセプト写真を見られたことがサプライズで、本当に嬉しかった。

ページを開いていくたびに、はあっ!と興奮が抑えきれない。好みのツボにはまるテイストで、好きなアーティストが作品をつくってくれることほど嬉しいことはない。毎度毎度の当たり前ではないからこそ、好き!!と上がったテンションは宝物なのだ。

 

ディスク自体にプリントされているデザインもお洒落で、CDとDVDそれぞれデザインが違うところにテンションが上がる。若干ぷっくりと印刷されているところにクオリティの高さを感じた。

ほかにも、歌詞カードの指滑りのいい紙質など、そのひとつひとつが丁寧で美しい。

さらにディスクを外してパッケージの面をふと見ると、そこにはNissy RECORDSのショップバッグがちょこんと写った写真が。

サプライズの波状攻撃に身悶えしそうだった。

 

歌詞カードを見たあと、もう片側を開くと、Nissyのポラロイド風の写真が入っていた。

旅先からセルフィーで写真を送ってきたかのようなポラロイド写真。

レコードにポラロイド…レトロさの相性が抜群。しかもその写真がギュンと心を掴まれる可愛さのNissyで、なんって素敵な笑顔なんだ!と弾けるほどのときめきに胸を押さえた。

写真だけがぽんっと入っているのではなく、ポラロイドサイズにぴったりなクリアな袋に入っていて、その上からさらに袋に収まっている安心設計。その心づかいがうれしい。

 

なぜこんなに人を楽しませることができるのだろう。

2ndライブのオープニングのセリフを思い出していた。緻密に作り込まれたエンターテイメントに、尊敬する気持ちを上回っていっそ怖いくらい。それくらいに、これまでの作品を揃えて持っているとしても、新しいひとつのパッケージとして魅力のあるアルバムになっていた。

これからはプレイリストを組まなくても、ベストアルバムのシャッフル再生でNissyの曲を聴くことができる。これまでのリリースの流れを追いたくなったら、1から順に聴いていける。

 

 

ベストアルバムが完成する。その年月と重みを、CDが手元に届いてじわじわと実感している。

29曲の作品。

数曲をのぞいて、それぞれの曲にMVが作られている。曲のみではなく、映像と音のリンクが魅力のNissy作品には、そのどちらもが大切な鍵となる。

 

1つを作ることに全力を注いで、それを29回続けること。

並大抵なことではない。クオリティをキープすることも、受け手の気持ちを考察して次の一手を決めることも、明確な答えがないなかで前に進むのがどれほどエネルギーのいることなのか、それを思うと圧倒される。

リリース日やライブの日を迎えて初めて、リアクションが返ってくる。

自分の話を持ち出すのは恐れ多いけれど、自分も文章を本当に続けていこうと決めた時から、その難しさを実感した。こんなにも“キープ”ということが葛藤を生むものだとは。ネガティブな考えは、誰に言われるよりも先に自分の中から湧いてくるのだと知った。

クオリティをキープして、ひとつひとつを積み重ねて。いつか振り返って、その時の全力だったと思えるように。ベストを尽くす。

 

 

「Nissy Entertainment 5th Anniversary BEST」には、

西島隆弘さんが向き合ってきた“時”が、ぎゅうーっと凝縮されている。こんなに素敵なものが完成した。それを受け取ることができた。

この作品はきっと、もうすでに魅了されている人たちだけでなく、そして受けとる側だけでなく。制作側にいる人たちへのポートフォリオになる。

 

29曲それぞれ表情が違って、映画館の入り口に飾られているポスターを順に眺めているような気分になった。

種も仕掛けもない、ではなくて、人が作るからこそのエンターテイメント。

Nissyの感性とセンス。必ず広がっていくその世界に、心が躍る。

 

f:id:one-time:20190207144700j:image