フォーマルとレトロが合わさる - Nissy「Addicted」

 

映像が倍速で動いていた時代のようなレトロな雰囲気。チャップリンやモノクロ映画をイメージするクラシカルさもある。

そんなNissyの新曲「Addicted」MVが解禁された。

Nissyとして活動をはじめて5年目。ベストアルバムを2月4日に発売することが決まっていて、そこに新しく収録されるのが「Addicted」という曲。

この曲の先行配信は1月24日にスタートした。

 

アルバムの正式タイトルは

Nissy Entertainment 5th Anniversary BEST

その初回生産版の通常盤アルバムジャケットの写真が素晴らしくて、レコードをモチーフにしてきたところにガシイッ!!と心を掴まれた。

レコード。蓄音機。好きしかない。

Nissyの着ているスーツも、ショップバッグのデザインも、レコードの盤も。写真の色合いもすべてが最高で。写真を見た瞬間、Nissyのセンスがツボで仕方ないと、文字通りお手上げのポーズをとった。

Nissy RECORDS”、フォーマルとレトロの掛け合わせ。天才的だと思った。

 

タイトルの“Addicted”(アディクテッド)には、[夢中になる、中毒になる、おぼれる]などの意味がある。

Like、Loveを超えて、Addicted。

夢中にという意味もありつつ、さらにディープな危うい表現で、中毒に。そんな意味合いも含む単語をチョイスするところに、 Nissyが2ndのライブコンセプトにした“執着愛”が滲み出ている感じがした。

しかも、元々の単語“Addict”(アディクト)ではなく“ed”がついて、過去形もしくは過去分詞になっている。つまりはすでに中毒にさせられているわけで…

 

遠くのほうから徐々に聞こえてくるイントロ。

レコードに針を落としたような音感。裏打ちなリズムも、オールディーズなサウンドもたまらない。

 

MVでは、スウィングするメロディーに乗りながらNissyが世界の各都市をふわりふわりと渡り歩く。どこなのかわかるけれど、どこなのかわからないような風景。

画面の色合いが綺麗で、光の加減から撮影の空のタイミング、考え抜かれて撮っているのだろうなと思う映像だった。

日本で、絵コンテ通りストーリーに沿って撮影するのとも違って、海外での撮影は一度帰ってきたらそう簡単に撮り直しに行くことができない。どんな表情で、どんな動きをした画を撮るのか。ダブらないように変化を持たせることへのこだわりは、「The Eternal Live」のメイキングなどでも感じた。

頭の中でイメージして素材を各地で撮って、帰ってきてからそれらを繋ぎ合わせる。今はパソコンやタブレットである程度の動画編集を出来るかもしれないけど、完成させる作業は撮り終えてからではないかなと思う。

 

パリのエッフェル塔を背景にした、ラベンダーとピンクが混ざり合ったような映像の色合いが特に素敵で、同じパリでも凱旋門では黄色みがかった色合いになっている。

アメリカのメトロへと続く道のそばを歩いている時の夜の暗さも、それぞれの映像で時刻も日付けも違っているのに、ひとつのMVとして地続きな印象になるのがすごい。

 

 

印象的なこの言葉。

“I'm so addicted to you.”

 

僕はとても君に夢中。

直訳すると、そういう意味合いなはず。“I'm addicted to you.”ではなくて、“so”で強調されているところに、想いの強さが伝わる。

“Addicted”を繰り返す歌詞に、その語感さえ言葉遊びにして楽しんでいるようで、海外で赤ちゃんをあやす時の「いないいないばあ」にあたる言葉“Peek-a-boo”(ピーカブー)に近いものを感じる。

 

“I'm so...”で、ほんの一瞬映る、Nissyの足元の美しさに見惚れた。

レディースの靴のように細く華奢なラインのブーツで、ヒールの高さがセクシー。コート、ボトムス、靴。シャツ以外オールブラックのコーディネートが最高に似合っている。

黒のスキニーに靴も黒だと脚から足先までがスラーっとひとつの線として繋がることで長く見える。最近、個人的にも靴とボトムスの色を合わせることに魅力を感じていて、モノトーンコーディネートのこれ以上ないお手本を見せてもらった気分だった。

 

刻みつづける裏打ち。サックスの音。

管楽器が活き活きとしているサウンドに楽しくならないはずがなくて、ライブで手拍子したくなるだろうなと今からライブアレンジを心待ちにしている自分がいる。

「Addicted」でもそう感じたけど、Nissyの曲にある不思議で翻弄される感じは、洋楽としての流行やこれまでの音楽が絶妙にミキサーでかくはんされて混ざり合うような、曲としてのジャンルが一括りにできないおもしろさ。ジャズの雰囲気があるけど洋楽の雰囲気もあったりというところに鍵がある気がしている。

世界旅行をしているみたいで楽しい。

 

今回の曲からイメージしたのは、ディズニーシーのエリアで言うと、アメリカンウォーターフロント

ニューヨーク・デリからブロードウェイ・ミュージックシアターへと歩く道。

帽子屋さんなどがある街並みのどこかから聞こえてきそうな、ミュージカルなエンターテイメントの香りがする曲調にグッときた。

 

MVの一部は解禁になったものの、全貌はまだわからない。ストーリーも歌詞も、謎がまだまだ残されている。

聞こえてくる歌詞に耳を澄ませるのも完全解禁前の楽しさで、聞こえてきた

足りない僕への言葉

という歌詞にドキッとした。Nissyの挑発には独特の色気がある。

 

 

どの街にいても、どこか心ここに在らずなNissyの表情。記憶を無くしているの?どこにいるの?と聞きたくなるミステリアスさに目が離せない。

ニヤリと笑ったその唇に、今度はなにを隠しているのか

知りたくなって、追いかけてしまう。