曲の構成で想うエンターテイメント《前編》

 

360°ステージとなると、どこからどんな風に登場するの?!

最も気になることだった。メインのステージが決まっていれば、バーンと出てくるだけで説得力と迫力があるけど、360°となると、どうするのか。

 

答えは、ドームアリーナ入り口からの堂々登場。

オープニング映像が流れて、客席のボルテージが上がりっぱなしなところに、暗転の沈黙が破られ、バッ!とスポットライトが当たった先に関ジャニ∞ 7人が横一列で揃い踏み。「NOROSHI」のイントロがかかり、「ウーハッ!!」からの二手に分かれて、子分を従え練り歩いて来る関ジャニ∞。怖い怖い怖い。

お出まし感がすごかった。威圧感、バリバリで。

 

この登場を選んだことで、今回のツアーのテーマがはっきり見えている気がした。

丸腰で、高い所からの登場でもジャンプアップでもなく。地に足つけて、正々堂々歩いてきた関ジャニ∞が最高にかっこよかった。

背中も見せる、逃げ場のない360°ステージに、同じ高さの場所からやって来る演出。まっさらで、体当たりで、取り繕わない。関ジャニ∞としての吸収力を見せつけられている気がした。

 

 

好きだ!と感じる演出はいくつもあって、「steal your love」で真っ直ぐステージから伸びる紫色のレーザーとか、2人が近づいた時のシーソーみたいに揺れ戻す手の振りとか、「王様クリニック」で白衣を来たお医者さん係と患者さん係のダンサーさんがつくところとか、「The light」の花道を2人で歩いて行く時に道の淵が青くグラデーションに光るところとか。

 

そしてまだ関ジャニ∞のライブ2年目の私は、今回のライブで∞レンジャーを初めて見られたことが嬉しかった。

∞レンジャーのテーマでめちゃめちゃロングブレスを披露するレッドを見られた感動。奔放がすぎるオレンジを温かく見つめられた嬉しさ。∞レンジャーは、後ろ姿がマスコット感はんぱではなくて好きだから、背中を向いていても全然無問題だった。ちゃんと“無限大”の歌詞でお尻をふるレンジャー可愛い。

ゾンビになったナスが瞬間的に消えるマジックで、白い布がヒューっと飛んでいったのはシンプルにびっくりした。

今回のレンジャーMVPは、レッドのキレ芸と切り替えの早さのテンポ感だと思う。

あとは、「俺が嘘をついたことがあるか?!」の問いに対する、グリーン、イエロー、ブルーが3人ぎゅっと並んでの、「いや、さっき さっき!」(両手で人差し指と親指立ててのジェスチャーポーズ付き)がMVP。棒読みで白々しく揃えた3人の声がいい。大阪で回を重ねるにつれて、お客さんもハマりだし、オーラスではついに2度目の被せあたりからドーム全体の団体芸みたいになっていて。流石の笑いへの学習力…と感動した。

 

丸山隆平さんと安田章大さんの2人で歌う、「The light」の青い衣装を見た時は、王子だ…と思った。高貴すぎて。

ゴテゴテし過ぎず、でも遠くから見ても映える衣装で素敵だった。ドームで聴くことで改めて、この曲へのイメージは丸山隆平さんがオレンジに照らす夕陽で、安田章大さんが青く澄みわたる空だなという印象が強くなった。その2つが、マジックアワーのように混ざり合っていく様子を見ているようで、ドームの空間がもっと広くなっていく感覚になった。安田さんの清々しいほどのびていく高音も、丸山さんの低音からサビで高音へもっていく声も魅力的。音程を1音ずつ上げていく安田さんの表情を見ているのが好きだった。

二人が並んでシンメトリーにする振り付けが綺麗で、外へ向けて片手をまっすぐ伸ばし、手のひらを開く振りが良かった。手をかざしてから、ふわっと円を描くように下ろす時の丸山さんの踊り方が好きで、指先一本一本まで神経を集中させて角度をつけていて。美しかった。

ライブ版での「The light」は曲後半の丸山さんの “far away” のハモりは無しだと思っていて、ダンスと歌のバランスで難しいのかもしれないと生で聴くことは諦めていたけど、最後のほう2公演あたりからそのコーラス部分を歌い出してくれて、すごく嬉しかった。それがDVDに入ることも嬉しかった。最後の最後まで、試行錯誤しながらのライブ作りなんだとその時改めて感じた。

 

360°ステージに挑んだ、関ジャニ's エイターテインメント《後編》

 

ステージ上には4面の大きなスクリーンと、スピーカー、さらに上に帯状にぐるっと粗めのスクリーンがあった。水色の∞マークがふよふよしていたりもして、クリアではない粗い感じの映りがゲームみたいで可愛かった。

その帯状のスクリーンの使われ方がとても好きで、「なぐりガキBEAT」で “ほら 虹がかかるよ” と渋谷すばるさんが歌うと、上のスクリーンがふわーっと虹色になっていく様子が綺麗で。

歌いながら上に手をのばす動きをする渋谷さんが素敵で、自然とそう動きたくなるならそれも素敵だし、演出の意図をお客さんに自然な流れで伝えるため、そうしているのだとしたらすごいなと思った。

4面の大きなスクリーンも、メインステージとバックステージに2つのスクリーンがある時よりも、距離が近く見やすくて、しかもどっちを見たらいいか迷うことなく視点一点だから、集中して見ることができた。


「Black of Night」では、ドームの天井に紫色の円が丸く映し出されていて、初めは下のライトが反射しているだけかと思っていたけどあまりに綺麗に映るので、演出なのだろうと思う。それがまた一層、曲の世界観を色濃くしていて、その円の中、見えないガラスにそれぞれが囲われて囚われているようだった。つい見上げてその円を眺めてしまって、切ない気持ちになった。

“暗闇のラビリンス”という歌詞のところで、渋谷さんがスクリーンに映されると、いつも苦しそうで泣きそうに表情を歪めていて、グッと曲の世界に入り込む渋谷さんを見た気がした。

曲のラスト、背中を向けてうつむき気味な状態で暗転していくなか、肺から大きく深呼吸をするような動きをしたかと思うと、“すうっ…はあっ”という呼吸音が聞こえて終わる。あの瞬間が劇的で、見つめながらドキドキしていた。


今回のライブは映像のイメージも強くて、オープニングはもちろん、オープニングに絡めた中盤に流れる映像、そして 「Tokyo holic」前のインター映像の挟み方もすごいと思った。暗転の後、映像が流れ、メンバーが演奏を始める。曲は関ジャニ∞の曲ではなくて、ツアーの地域ごとに変化。何が起こっているか分からない中で、それでもノリのいい客席からは曲の合いの手がばっちり入ったり、ペンライトのリズムが揃ったり。適応力が凄い。

そうこうしているうちに一曲演奏が終わり、段々と聞き覚えのあるベース音が。

ツアー前に出たシングル「NOROSHI」の初回盤映像を見ていればわかるあのイントロが流れ始め、画面には画角いっぱいにARE YOU READY?の文字。そこからの曲タイトル「Tokyo holic」がバーンと映し出される。と同時に中央ステージ下からバンドごとせり上がってくる関ジャニ∞ 。カッコ良すぎやしませんか。

東京公演の時点ではまだ、タイトル未定だったこの曲が、ツアー中にタイトルがつき、ここまで完成するスピード感。そして次のシングル「なぐりガキBEAT」に収録される。なんてテンポ!!

とにかく、インター映像を見るために一度着席したお客さんへの準備のさせ方、一度落ち着いた会場のテンション再び湧かせるための煽り方に感動した。錦戸さんが大いに関わっているであろうこの演出も含めて、映像作りのプロだと思った。

 

新タコヤキオーケストラの皆さんも、今回のステージ環境から演奏することは容易でなかったと思うけれど、ストリングスのみなさんもバンドのみなさんも管楽器のみなさんも、あの場で奏でてくれることの凄さを感じながら聞いていた。

今回、初めて大阪オーラスの公演に入る経験をした。その時の席がオーケストラに近くて、終了後にドームから出る道へ向かう途中、いつもなら会うことのできないオーケストラの皆さんがスタンド下で待機されていて、手を振ることができた。お姉さんたちがわざわざ上を向いて手を振り返してくれて、すごく嬉しかった。素敵な演奏でした、という感謝の気持ちでひたすら手を振りながらドームを後にした。いつも拍手を送ってはいても直接伝えることはできない、“楽しかったー!”というテンションを童心に帰って伝えられたことが嬉しくて、そのことが今回のライブでとても印象に残ってる。

 

関ジャニ∞のライブとして久々だった360°ステージ。

素晴らしかった!楽しかった!!


いつものステージの、そちら側があって、こちら側がある立ち位置もいいけれど、“真ん中”という位置を選んだ関ジャニ∞の心意気が好きだ。

出演者からしたら、落ち着ける広さのあるバックヤード(舞台裏)がある方がいいだろうと思うのに。花道一本作るだけでも、狭い中、トンネルのような所を急いで移動することになる。

背中を見せ続けることがどれほどの緊張感か。覚悟と勇気を持ってそこに立っていることを、ずっと思いながら見ていた。

それでも360°で魅せると決めた関ジャニ∞の今の挑戦を観られたことは、本当によかったと思う。ライブを作るどの部分にメンバーがどのくらい関われているかなんてのはわからないものだけど、一年ごと着実に、メンバーひとりひとりが吸収してきたものを関ジャニ∞に注いで、化学変化が起きて、どんどんと膨らんでいくのだと感じた。

360°ステージに挑んだ、関ジャニ's エイターテインメント《前編》

 

 5大ドームツアーとして観に行くのは2度目になる、関ジャニ∞のライブ。「関ジャニ's エイターテインメント」というタイトルのこのツアーがどんなものになるのか、ずっと楽しみだった。

 

アルバムの発売なしの開催となった今回のツアー。

そして客席に入って驚いたまさかの360°ステージ。

関ジャニ∞のライブで360°のステージになったのは、2009年の「PUZZLE」ライブツアー以来とのこと。ステージのことも、想像の余地が色々あって自由度も高いため、わからないままのことが沢山で、わくわくして仕方なかった。

メインステージが客席から見て前方にあるステージ構成も、中央にステージのある360°なステージ構成も、どちらも経験してみて感じた事。

どちらも好きだと思った。美味しさはどちらにもある。

 

360°ステージでいいなと感じたのは、どの席からも距離がほぼ等しいこと。みんなの真ん中に居る。という距離感が良いと感じた。確かにバンドやダンスとなると、前後が存在してしまうけれど、360°ステージだからこそ見られる景色と、工夫がされた演出のなかでのこだわりを感じた。

 

例えば、「ブリュレ」の“言葉の奥で はにかむ ためらう”の、“言葉の奥で”の振り付け部分。

メンバーがサッと1列に並んで、交互に向かい合い、片脚ずつ踏み出して腕を伸ばす振り。

それをあのステージで見た時、前後ろが無くなったと思った。横1列として見える方向でも、縦1列として見える方向でも、ダンスとして完成していて無駄がない。どの角度も良さがある。

元々ある振り付けだけれど、どこから見ても美しい振り付けだということをこの時に初めて知った。

さらに、ブリュレの醍醐味である決めポーズが、いつもは跪くのに今回立ったままなのはなぜだろうと思っていたけど、アリーナ席に座ったお友達の話を聞いて納得できた気がした。アリーナからは、360°ステージの段が高い分、ステージ上が思っている以上に見えないと聞いた。本当にその理由なのかはわからないけれど、もしも、あのステージで全員が跪くポーズで見えなくなってしまうより、ちゃんと見えて、格好のつく振りにしようということでのあれだとしたら。

他にも、そう感じられる心配りは随所に表れていて、「なぐりガキBEAT」も、振り付けの中でメンバーが揃った方向ではなく、客席へ向かって交互に向きを変えるところがある。歌番組での披露は一方向のみでフォーメーションが動いていたから、ライブ仕様だったのかなと思っている。全員が一方を向くよりも賑やかで、バラエティ豊かな魅せ方だと感じた。

 

バンドの向きも、アコースティックコーナーとラスト2曲のバンドでは180°入れ替わる。

前方を向いたり、いつもで言う後方を向いたりするのも、おそらく本来であればセットチェンジの手間がかかるはずで、一貫した向きの方がアンプやコードもスムーズに動かせるはず。

それでも入れ替える。そんなところに、出来る限りの工夫で楽しんでもらいたいという思いが込められていると思った。

 

花道も4本あって、メンバーが2人ずつ来たり、1人がせり上がるセットに乗って上の方まで来たりと様々で、

花道が分かれていると、その一角が幼稚園の○○ぐみのみんなー!みたいな空気になって楽しい。近くに来てくれたメンバーが担任の先生みたい。

 

「浮世踊リビト」では、小さめのトロッコにメンバーそれぞれが乗って、アリーナ席の真ん中あたりをまあるく周るんだけど、ファンサービスのトロッコというよりも演出として美しかった。上から見ていると、もちろん触れる可能性なんてないのだけど、全体を俯瞰して大きなセットとして見るとすごい景色で。

トロッコの側面にレコードのような銀の円が大小2つ並んで付いていて、それぞれのトロッコが、盛り上がる曲のサビと共に等間隔で回りだす景色が好きだった。

 

360°ステージの外側が周る可動式というのも驚いた。最初に動いた時の、回った!?というサプライズは楽しかった。

序盤で回りだすところは中々のスピードで回っていて、見ている方はいいけどあれ乗っている側からしたら相当目が回る…と今さら心配になったりする。

あの時の横山さんの立ち姿が格好よくて、重心のかけ方が、美しく見せる方法を知っている立ち方で、右脚に重心置いて、風でたなびく長めのジャケットの裾が様になっていた。

初めは突拍子もなく見えた回転ステージも、ステージを可動式にしたことの意味がとても活かされていることが見ているうちに分かってきて、素晴らしいと思った。

 

だってメンバー7人、必ず自分の方へ回ってきてくれる。顔が見られる。

来なかった…というメンバーがいない。皆一度は近づいて来てくれるって、凄いことだと見ながら感動していた。エイトレンジャーでメンバーが縦横無尽に遊びまわり、ランニングを始める人、ランニングマンを始める人、決めポーズのまま動かない人、巻き込んで団子状態に転ぶ人。いろいろ居すぎて、ステージ最大活用だな…と思いながら見ていた。