渋谷すばるさんの決意に思った今

 

もしも、でも想像したことがなかった。

関ジャニ∞が、横山裕さん、渋谷すばるさん、村上信五さん、丸山隆平さん、錦戸亮さん、安田章大さん、大倉忠義さん、7人であることが変わる日がくることは。もしも、であっても、想像することができなかった。

 

渋谷すばるさんがジャニーズ事務所を退所する。

事務所からの知らせを待つ1時間、こんなに耐えきれない永遠のような時間は二度とないと思った。そのメールが届くまで、そんなことが起こり得ると一切思わず、海外公演の知らせだとあの瞬間まで信じて疑わなかった。

退所については、事実であると、そのことを知った数分後には仕事へ行かなくてはいけなくて、こんな気持ちでどうしろと、と思った。思ったけれど、ここで全てを見失えば、私はこれからを歩む意味も書き続ける意味も見失うと、その恐さがよぎってどうにか1日を乗りきった。

 

大好きだ。7人のバランスは最高だった。それ以外にありえないと思えるほどに。

渋谷すばるさんが、どうにもこうにも心惹かれて仕方ない音楽の世界を見つけて、グループを外れるというよりも羽ばたいていった感覚がしていて、飛べる羽を手にしたんだなという思いが、今自分の感じていることを言葉にするのに合うと思う。

でもまだ今は、何が起きているのかわからないし、これからがどうなっていくのかわからない。頭の整理なんか追いつくわけがない。

こんなかたちで文章にならないものを載せてしまうのは本当はいやだったけど、誰がどう言ってたとか、報道がどうされるとか、“世間”の声というものに、今自分が見て感じたシンプルさを濁していきたくはなかった。

物事は、この瞬間自分が感じたものと、本人から発された言葉の2つだけを大切に持っていればいいはずだと思う。難しくない、ややこしくもない。見てきたものと、見たもの、これだけがわかることのすべて。

全然、言いたいのは全然こんなものではないのだけど、今はこれが精一杯。

 

このタイミングか…と思ったけれど、明日は丸山隆平さんの舞台「泥棒役者」を観に行く。観たかった舞台、丸山さんが立つ舞台を大切に観てくる。

自分で書いている「宛名のないファンレター」の、関ジャニ∞の曲「今」について前に書いていた文章を、こんなかたちで読み返すことがあると思わなかった。タイトルにしたのはあの頃の自分の気持ちだったけど、「夢に気がついてしまった心のざわめき」という言葉を目にしてはっとしたのは、これこそ今、目には見えず漂うように感じている何かなのではと感じたから。

 

関ジャニ∞「ジャム」メイキングの魅力

 

今回のライブDVDのメイキングは特に楽しかった。

オープニングタイトルが出るところでテンションが上がる。静かにじっくり見るところと曲に合わせてテンポよく進むところとのバランスがちょうど良かった。

メンバーのやり取りや空気感を静かに見ていられる時間の緩急があると、ふとした時間に流して見たくなる。「ノスタルジア」のリハでの錦戸亮さんのスッとしたターンの美しさにはドキッとした。

 

いつもメイキングを見るたび、メイキング構成の難しさを感じる。だからすごいなぁと思う。ナレーションを入れずに、映像の繋ぎ合わせで視覚的に状況を伝える。

リハーサル風景、ダンスの振り練習、ライブ当日と時系列が行ったり来たりしながら、バラつきすぎず、でもバラエティ豊かに。それも7人分。ファンへのサプライズと制作の意図を届ける、その構成の組み立て方は文章の組み立て方とも近いものがあると感じた。

 

今回のライブ「ジャム」のプロデュースは大倉忠義さんだったとメイキングを見てわかって、びっくりだった。

毎回なのかはわからないけれど、その年ごとにメンバーがプロデュースしていると知った時から、今回のライブは誰っぽいだろうと予測するのも楽しくて、「ジャム」はなんとなく挨拶や最後の並びから考えて丸山隆平さんなのではと思っていた。

誰っぽいかがわからないというのは、ライブとして個性ひとつだけが色濃く出過ぎることなく、バランスが保たれていることの現れのような気がして、予測を外したことが嬉しくもあって、メイキングで答え合わせをできたのが楽しかった。

 

ツアー全体を通しての移行を後から知ることができるのも、メイキングの魅力だと思う。

「Answer」が名古屋から揃いの衣装になった経緯を知られたこと、大阪まで「DO NA I」の衣装もピンクとオレンジだったことを知られたのも発見だった。どうしてそれが変更になったのか、変わったことによってどんなふうに全体の見え方が変わったのかを見られるのは、DVDだからこそだなと思う。

 

楽屋風景が多かったのも嬉しくて、ただただゆるーい部屋の空気を聞いているような時間が見ていて心地よかった。ドローンを飛ばして自由な様子や、収拾つかないハンドシェイクはシュールで面白い。コーヒー豆からコーヒーを入れてもらう丸山さんの可愛さに癒された。

 

メイキングはDVD盤に収録されているけれど、本編のエンドロールにもメイキング映像があり、そのエンドロールも毎回凝っていて見入ってしまう。

DVD盤とブルーレイ盤で映像が違うのも驚きで、メイキング映像のつかないブルーレイ盤のエンドロールは、その短時間のなかでライブがどう作られていったのかを伝えられるように工夫されていて、これを見ると大倉さんがリハを確認して話し合いをしている様子も見られる。

膨大な素材の中から、よく起承転結を作ってまとめることが出来るなと感動する。本編ラストの銀テープトークに掛けるかのように、銀テープに始まり銀テープに終わる洒落の効き方もいいなと思う。煽るのではなく、思い出の一つになるものとして、その気持ちに寄り添うテーマの扱い方だったところも素敵だと思った。

 

今回のメイキングは渋谷すばるさんの話す言葉がとても印象に残って、頭の中で思っていることやライブでの考えを自分の言葉でこうして届くように話してくれるようになったことにも変化を感じた。

本人が本人の口で発した言葉を反復して文字で書いてしまうと、それこそが野暮で違うものへと変えてしまうことになる気がするけれど、ひとつどうしても心に優しく刺さったところがあった。

「ライブ中がなんか平和やなって思う」と話す、渋谷さん。ライブという場が渋谷さんにとって、メンバーにとって、居て楽しい場になっているなら本当によかったと何だかどんな目線かわからないけれど安心した。

「俺らも一緒やから」と言った渋谷さんの言葉に、理屈ではない感覚での浸透力を感じて、実際にそれを感じて、思っている言葉としての温度があった。

 

ライブの時間の中にずっと居られたらと思うけど、そんなことは無理だから、またこの場所に来るためがんばる。それはお客さんだけの気持ちではないんだと思った。

村上信五さんが時折ライブのことを「待ち合わせの約束」と表現することがあるけれど、自分にとってライブはまさにそのもので、でもその待ち合わせは後ろにはない気がして、大きくても小さくても、自分なりの時間を進んだ先にあると感じている。

自分にとっては、関ジャニ∞が待っている待ち合わせ場所は後ろにはないから、だから前に進んでおかなくちゃと駆り立てられる。気を抜いたら振り落とされそうな勢いで進んで行く関ジャニ∞だから、自分も置いて行かれたくないとたまに半べそかきそうになりながら進んでいけているのだと思う。

メイキングの“0:57:01”のタイミングでの渋谷さんの表情が、はっとするほど繊細で、思わず息を飲んだ。言葉なくとも、ライブの空間でこんな表情をする渋谷さんを見たらすべて伝わってくると思った。

 

大倉さんと渋谷さんの笑い声でメイキングは終わる。話していたさっきの続きで照れ笑いしたのであろう渋谷さんのふふふって声。表情が思い浮かぶようで、1時間ほどのメイキングの最後に静かに話しに聞き入って、すうっと終わっていく締めくくりもよかった。

完成したライブを観る楽しさがあって、メイキングのおもしろさがある。観て来たステージがどんなふうに作られてきたのかを見せてもらえることは、ライブが終わってからのプラスアルファの楽しさになると、あらためて実感した。

 

凛々しく妖しく咲く -E-girls「Pain,pain」

 

怖さとキラキラの共存。そこはかとないヴィランズ感。

E-girls「Pain,pain」がどうにも心に残ってしまう。

 

E-girlsの曲は基本的に明るいイメージを持っていて、強くて、自分がクラスに居たらおそらく近づくことが出来ない。どこか近寄りがたさを感じつつも、クラスの隅から若干の憧れと共に見つめているような、そんなイメージで見ていた。

アルバムで聴いた「Loving bell」はずっと好きで、今回そこに並ぶレベルで好きになったのが「Pain,pain」だった。

 

 ダークな空気感から、ときめきのキラキラ感への変貌は、一瞬にして世界が変わる恋の引力そのもので、始まりの重々しいバイオリンなどのストリングスから、サビでパンッと弾けた時の景色の広がり方は最上級にドラマチック。

優しさと痛み おんなじ心(ところ)で

感じながらみんな生きてるでしょ? 

と歌う、武部柚那さんのニュアンスにドキッとした。

苛立っているような、語気の強め方とパフォーマンスでの表情にグッと心を掴まれた。ヴィランズ感を感じるのはきっとそこがポイントで、特に武部柚那さんの表現力は素敵だった。

この曲全体を通して、怒りの感情が見え隠れする空気感がとても好きで、そこに惹かれている。Mステでのパフォーマンスがすごく良くて、カメラワークも素晴らしかった。黒の衣装にメイクが濃いめで赤のリップが際立っていたりして、か弱さとは違う女性のダークな魅力が表現されている。

ダンスの振りも、曲の始まりで指のスナップ音に合わせて動く振りや静止が効いていて、サビで音が開けていくところで踊っているみんなの表情がパァッと変化する瞬間は見ているこちらまでフワッと心が解放される感覚になる。

 

行方を阻むのが棘でも 唱えるわ

「Pain pain,don't go away」

曲のタイトルが「Pain,pain」と知った時に、日本で言う“痛いの痛いの飛んでけ”にあたる言葉の英語版だと思って、この曲が気になった。

そういう意味なのかなと思い込んだまま曲を聴いていくと、歌詞で「Pain pain,don't go away」ときて、驚いた。一瞬思い込みのまま通り過ぎそうになって、えっと引っかかって、よく聴くと“don't go”と言っている。

go aweyではなくて、don't go awayと言ってしまう。痛みであるPainそのものが彼の存在であると思えてしまう危うさが表れていて、精神的に不健康だーと聴きながら感じつつも、そのアンバランスな世界観に引き込まれてしまうのが怖い。

 

傷ついてもいい その傷にあなたの唇が触れるのならば

蝶が舞うように 笑顔が飛び交う

そんな場所探していないわ 

この曲に感情移入できるキャラクターがいるとしたら、どんな人物だろうと想像して、ふと思い浮かんだのがヴィランズだった。

この詞が特にヴィランズを彷彿とさせる気がした。

ヴィランズとは、ディズニー作品で登場する悪役のことで、それが恋ではないとしても、彼女や彼らは歪んだかなわぬ願いを持っていることが多い。この曲でイメージしたのはどちらかというと、ディズニーチャンネルの「ディセンダント」のイメージ。

「Pain,pain」の世界観は、一編のディズニー作品を見ているかのように感じられた。

 

 

この曲が主題歌になった、

ドラマ「きみが心に棲みついた」

このドラマのポスター写真がとても印象的だった。

暗い森の中、赤いずきんを被った彼女と左右に対称に立つ、彼二人。童話の世界観をテーマに撮られた写真が魅力的で、わかりやすく耳など生えていなくても、後ろに立つ二人を見てイメージするのは、おおかみ。

ドラマ自体は、最後まで見てもいやこれはしかるべき所へ通報と相談!と思ってしまったけど、一見、理想的な王子のように見える向井理さんと、おおかみっぽさのある桐谷健太さんをキャスティングしたことは凄かった。

桐谷健太さんの逆立てるようにセットされた髪型や、身につける衣装でもそれを意識的に表しているのではと感じるところがあって、桐谷健太さん演じる吉崎さんの着ていたモフモフの付いたモッズコートなどは特に、おおかみ感がとても出ていた。

ポスターでは吉崎さんも星名さんも、どちらも黒のスーツを着ていて、本当のおおかみはどっち?と問いかけているような構図が、ドラマのテーマそのものも表現しているように見えて、そこに感動した。

 

“Pain(ペイン)”という語には、単純ではない深みがあると思っていて、それを感じたのは映画「レ・ミゼラブル」を観た時だった。

ただ“痛い”ではなく、罰、苦しみ、償い、様々な感情が入り混じって、それを言い表すための語として“Pain”が用いられている印象を受けた。痛みを表す単語としては、“ache(エイク)”もあるけれど、acheは身体の痛みに使うのに対して、Painは身体的にも精神的な意味にも使うことができる。

英語圏スラングで“厄介者”という意味でも使われるらしく、そのことを考えると、「きみが心に棲みついた」の星名さん、そして今日子にも繋がっていくキーワードなのかもしれない。

 

咲くつもりのない場所で咲いてしまった恋心

痛む気持ちを恋だと思おうとするヒロインの姿を描いたラブソングは新鮮で、その妖艶な凛々しさに見惚れた時間は、哀しみだけではない何かを感じさせた。