25歳の時に実感した、懐かしさへの宣伝効果

 

25歳になった時にCMから実感したのは、

学生時代の“懐かしさ”をターゲットにマーケティングをされている。ということだった。

 

商品によってメインターゲットになる年齢層は変わるので、この感覚が25歳に限るとは思わないけれど、明らかだなと実感したのがこの年齢だった。

特に、小学5年生6年生の多感な時期に流行ったものや曲が、テレビから街中から再流行したかのように聞こえるようになる。

 

車のCMでMONKEY MAJIKの「空はまるで」が流れていたり、しばらく見かけなくなっていた“たーらこー♪”のCMが復活したり。

車のCMという着眼点は凄いなと思った。

大学生だった人も卒業して、就職してから安定しだす頃にそろそろ車をと考えるかもしれない。無意識のうちに聴き馴染んだ歌が耳に入って、車種を考える時に思い出しやすくなる。

スーパーで買い物をするようになって、自分でお金を払う消費者になった時。手に取りやすいのは、親しみのあるパッケージかもしれない。

 

歌番組で、これまで山口百恵さんや寺尾聰さんの歌をさかのぼって聴いて楽しんでいたのが、今はAquaTimezやORANGE RANGEが流れたりする。

ごくせん主題歌になったD-51の「NO MORE CRY」を再び歌番組で聴くことができたり、Def Tech「My Way」がTHE FIRST TAKEで聴けたりした。

歌番組でランキングになって紹介される“懐かしソング”は、生まれる前の曲ではなくなって、学生時代真っ只中の頃の曲になった。

 

小さな頃に見ていたアニメも、

ふたりはプリキュア」のブラックとホワイトがまさかの再登場を果たしたり、「ぴちぴちピッチ」が新章スタートしたり。

おジャ魔女どれみ」が再集合で、映画「魔女見習いを探して」が制作された。

あの頃あなたへと言えるような、歳を重ねた私たちが物語の軸になった。ポスターに書かれた、“ハッピーラッキー みんなに届け”の言葉も響く。

グッズ展開も様々。コラボもサンリオやいろんな形で実現して、変身タップの形のコスメ、小物入れ、ガチャガチャと追いきれないほど。

年月を進むと、こんなに嬉しい再会があるのかと思った。

 

ターゲットになっているからこその楽しみどころを受けながら過ごした。

踊るところは踊らされながら、注意深く見てみると気づくこともあるなと思いながら。

一方で、その回転は早くてあっという間に次の世代になることも分かっていて、もうすでに次の学年に移り変わった感もある。

大雑把な括りで考えると、行動範囲に自由が利いて、自分の判断でお金を使える年代をコマーシャルで引き込んでいくんだなあと電車広告や雑誌広告を見ていても思った。

それならきっと、今流行りに流行っている曲は数十年後にもう一度聴けるかもしれないし、今見ているアニメが復活することもあり得る。

 

この時期を経験して一番に嬉しかったのは、

あの頃ひとりで楽しんでいると思ったものが、みんなで楽しんだ記憶で思い出だったことがわかったことだった。

おんぷちゃんの可愛さも、ぴちぴちピッチの歌の良さも、同じように思っている人がいた。

「なかよし」で「ちゃお」で読んだ漫画のことを話せる人がいる。

思っているより、漫画やテレビ越しの仲間は多いぞとテレビの前に座る自分に教えてあげたい。

 

“あの頃”がもう一度やってくることで、回る経済がある。

広告代理店や企業の考えを感じながら、今だからできる懐かしさの経験は、興味深さと嬉しさが半分半分だった。