飯田橋駅はとてもおしゃれな駅だった。
東京ドームに行く時に、水道橋駅と似ている駅名だなーと思っていたのが“飯田橋”。
オフィス街なのだろうとイメージしていて、降り立った時の“シティ感”に“うおわあ、おしゃれ…”と押される感覚があった。
向かうのは、Vanessaさんの「酔いどれLive外泊編」
メイクアップアーティストであり、好きなことへの愛を叫ぶことにパッションの全てを注ぐ姿が魅力的なヴァネさん。
ヴァネッサ・ハジェンズ、ペンタトニックス、ワンダイレクション、星野源さん、羽生結弦さんへの愛に満ちている。
著書「ネガティブ思考を美味しくいただくために」「自尊心を削られながら個性を出せって、どんな罰ゲームだよ?」がKADOKAWAから出版されている。
ハイスクール・ミュージカルの話が共有できることに感動して、英語が流暢な人が無条件に好きという感覚がすごく理解できた。
言葉を楽しそうに使うところ。ユーモアのセンス。
好き!を言葉にして、喜怒哀楽を動かしている姿に、どんどん引き込まれていった。
今までSNS越しに見ていたヴァネさん。
今回、角川本社でイベントを行うと知って、行かねばと思った。
出版イベントやリリースイベント、どんなジャンルでも至近距離になるイベントごとに参加してこなかったのは、声も小さければ積極性も薄い自分には向かない…と思っていたからで、
かつて質疑応答のある舞台挨拶で、信じられないほど緊張した記憶が最後になっていた。
それでも、ヴァネさんには会いたかった。
角川本社に入る時点で、恐れ多い。
飾られていた映画のポスターが、観に行こうと思っている作品で、おお本社…と思った。
角川のイベントを担当する社員さんが、丁寧に迎えて優しく案内してくださったので、安心できた。
受付で名前を伝えて、箱から番号を引いて座席が決まるシステム。もうここからイベントは始まっている…!
席について、じっっと待つ。
みなさんの静かに待とうという心がけが一体となっていて、いつもの賑やかなコメント欄とは対照的な静けさだった。
座りながら想像したのは、ヴァネさんの登場の仕方。
ばあーん!と開け放つドアは無い。ポップアップの装置も無い。となるとどこから…?と考えているうち、時間に。
先ほど自分たちが上がってきた階段の下の方から、ダンダンダンダンッと駆け上がってくる音。
「寝坊した!!」
パジャマの上下にカーディガンのヴァネさん。
スリッパもちゃんと履いてる。
静かにしていよう…と落ち着いていた会場のテンションが、わあっと華やいだ。
現場ではヴァネさんだ!と感動のみ受け取っていたけど、今振り返ると、階段の音も遅刻に焦る表情もずっと見てきた酔いどれライブそのもの。
なんてサプライズに満ちた登場をするのかと、感動を時間差で噛み締めている。
ソファーに座って、なかなか安定しないマイクと格闘するヴァネさん。
若干スタンドするマイクではあるものの、口元まではちょい足りない。スタンドごと持って立ち上がって話すヴァネさんが、マイクを口元に向かって下がる角度にしていたから、バンドマンみたいだな…と思いながら見ていた。
口元のフェイスシールドとも格闘するヴァネさん。
マイクがカツンカツン当たるから、シールドと口元の間にマイクを差し込もうとする。
おもむろにトートバッグから引っ張り出されるお菓子たち。
封を開け、食べる。自由だ。
事前に募ったトークテーマと質問があり、ボックスから引いていく方式。
読まれたいなー!と思いながら、とはいえ注目は恐れ多い…とせめぎ合う心。
すると、名前を!呼ばれた!
「いらっしゃる?」と聞かれたからには、隠れられない。そろーっと手を上げると、目が合う。目が合う?!そう、目が合う。
しかし質問内容が読まれると、心当たりが全くない。私の元に渡されるマイク。違う…これ違うやつかもしれない…!と焦ってジェスチャー込みで伝える。
「記憶にございませんって」とヴァネさんが笑いにしてくれて安堵した。思いがけず答弁になってしまった。
文末に読まれた、『YouTubeの生配信と仲良くなる方法』は、確かに自分が送ったテーマメールだったので、そこは私です…!と思いつつ、他の方の文と合わさっていたのかもしれない。
ヴァネさんから逆に質問をしてみる流れになり、見渡された時のドキッと感。
番号だったり直に当てたりと、いつ来るかわからない指名に、恐ろしいことをする…こわい…でも楽しい…
一人一人のことをよく見ているヴァネさんの話の進め方が優しくて、一つの話が次に繋がったり、あの席のお客さんとこの席のお客さんの話題を繋げていったりと、トークタイムがひたすら楽しい。
イベントの質問コーナーと言えば、わりとすすっと終わってしまうイメージがあったけど、時間がたっぷり確保されていて嬉しかった。
焦る空気感ではなくて、ゆったりしつつヴァネさんとお客さんのコミュニケーションを見たり、いろんなお話を聞くことができた。
後半に再びやってきた質問コーナーで、ボックスから引かれた紙。
名前を!!呼ばれた!!
『自分なりの表現の形を貫くことは難しいことだと感じています。Vanessaさんが続けるため指針にしたことについて、お聞きしたいです。』
これは確かに、自分が質問したものだった。
ヴァネさんが話してくれたのは、リルグランビッチさんが言っていたという、“自分が何をしても嫌う人、何をしても好きだと言ってくれる人、どちらでもない人”のこと。
続けるということについて、言葉で矢が飛んできた時の気持ちの置き方に迷っていた自分にとって、今質問に答えてもらえたことはとても心強かった。
どの話をする時も、知っている前提で話すことなく、わかるように説明しているところに、話題で置いていかない気配りを感じた。
芽吹きだ!東急ハンズだ!べらべんべえまで…!
画面越しに見てきた、ヴァネさんのリアクション一個一個にうれしくなっているうちに、あっという間にお時間はやってきた。
プレゼントコーナーもあり、最後に一緒に写真を撮る時間が企画されていた、今回のイベント。
直接対面。これがなんと言ったって緊張する。
何か言わなきゃ、あっでもポーズもこちらが考えていないと、荷物そこに置いてスマホ渡して、えっと何を言うんだっけと考えているうちにすぐ順番がやってきた。
お色直しをしたヴァネさんがもう。白のロングワンピースで、ホワイティーなカチューシャを着けていて、イヤリングがYouTubeで見たばかりのブルーの宝石三連イヤリング。
わあっと会場から声が上がるほど、ロイヤルキュートな姿。
行けない。でも行くしかない。照れている場合ではない。
初めましてを、ちゃんと伝えたい。
その一心で近づいて私が言えた言葉。「初めまして、お会いできてうれしいです。」(おじぎ)
新入社員の挨拶かなと思った。自分でしておきながら。
しかしそれどころではない。
わあーヴァネさんと向き合っている。おじぎを返してくれている。あっ写真撮らないと。
ここで頭を振り絞ったポーズ提案。「スカートがひらひらなので、プリンセス的な…ポーズで…」言えた!!言えたよ!!
スカートをふわっと広げてポーズをしてくれたヴァネさん。合わせるように自分もポーズ。
写真を後から確認したら、鏡合わせのようにスカートひらりポーズが成立していて、とても嬉しかった。
私はひたすらそのポーズで静止していたけど、隣でヴァネさんがいろんな表情してくれていたことに後で気づいて、こちらに目線を向けている写真にピャっとなった。 スマホのロック画面にした。
ヴァネさんとの写真、何があっても守り抜く。
登場するなり進行表を忘れたと話していたのに、そのまま進んで、フリーでありながらなおかつ話題に進展がある構成に出来上がっていて、なんて居心地がいい空間だろうと思った。
ヴァネさんに会いたい。その一心で、勇気を出してリアルへと飛び込んだ「酔いどれLive外泊編」
そこは立体化した酔いどれライブだった。
ハグがしたいんだ!とパッションを持つヴァネさんに、こちらこそハグをしたいのにできなかったのは持ち越したい課題になった。でもまず次は、握手をする。
状況が許すようになったその時には、BIG HUGを贈りたい。
それまで、このグラスで酔いどれの時間を楽しむことにする。