ブリリアントカットで光をあつめて。 なにわ男子 First Arena Tour 2021 【前編】

 

席について、ぱっと見上げた向こうにあったのは、ダイヤモンドをモチーフにしたステージ。

彼らのためのステージ。まさしくなにわ男子のためにデザインされて、組まれたセット。彼らが立つステージだった。

 

メインスクリーンを中央に、両サイドに開いているひし形の図形。

ダイヤモンドの輝きを増すため施されるブリリアントカットを思わせる、いくつもの二等辺三角形がそれを形作っている。

事前に設置されているスクリーンはその横に右左に一つずつ。

 

セット上部に、野球ボールの動線や投球フォームを思わせる線で描く「なにわ男子」と書かれたツアーロゴが掲げられていて、テンションが上がる。

今回の“なにわ男子”の文字デザインがとても好きで、まじまじと眺めたくなる。

直線のように見えて、『子』の線に筆圧の強弱がついていたりするところに手書きの風合いがあって良い。

センター、両サイドと伸びる花道に、真ん中の位置には円形ステージ。頭上には円形に照明が配置されていて、メンバーカラーの柔らかな光を丸く放つ。

センターの花道から、そのまま伸びて行く先にもう一つステージがあり、1階センター席を4分割で割るような形になっていた。

 

 

2021年 7月28日 水曜日

「なにわ男子 First Arena Tour 2021 #なにわ男子しか勝たん」コンサート

横浜アリーナ 17:30 開演

 

テレビ越しに偶然、歌番組「MUSIC FAIR」でなにわ男子が歌っている「ダイヤモンドスマイル」を見て、目を離さずにいようと決めた日から、ようやくたどり着いた今日だった。

無理だったら仕方がないと腹を括る気持ちで応募した1枚のチケット。

当たったんだと分かった日から、元々必要のない日は文字通り1歩も外へ出ない生活をしていたところに厳重警戒体制を敷いて、仕事か生活に必要な買い出しのみを益々貫くことになった。

 

心待ちにするのは怖い気持ちもあって、ライブがある!と思わないようにしていた。

当日現地に行って、幕が開くまでどうなるかはわからない。あるかもしれないし、ないかもしれない。そんな思いで迎えた当日。

7月28日は2公演で、昼公演があったため、YouTubeでのMC生配信を見た上での参加になった。その昼公演で、ついに発表されたデビュー。

せっかくしていたメイクがわりと崩れても、関係ない。ついにこの日がやってきた。嬉しさで緊張感からは解かれたものの、どんな感じで行ったらいい…?と初めてのことにドギマギした。

 

会場に着くと、手ピカジェルをプッシュしてくれるスタッフさんの姿。

??となったけど、黄色のパッケージでピンときた。道枝駿佑さんが永瀬廉さんとCMをしているおかげのスポンサーさんですねなるほど。

青い空に太陽で、カンカン照りだったこの日。暑さで具合が悪くならないよう、入り口前にミストが出ていたのもありがたかった。

入場は時間帯が3段回に分かれていて、装置で体温を計り、スマイルアップシールドを受け取り。スタッフさんにQRコードを見せて、かざして、レシート状に出てくるのを自分で取る。裏返しで出てくるから、表を見るのが怖い。

ゲートを確認して場内へ入ると、座席は両サイドが空席になるようになっていた。

各席に掛けられた“座れません”のカバーと、座席ごと背中にさしてある席番号の細やかさに頭が下がる思いだった。席番号はマジックで手書きで書かれているようだった。

ロビーに集まらず座席についてくださいと案内を懸命にしていたスタッフさん。

 

横浜・夜公演の開演前に流れていた、なにわ男子からの感染対策の映像は、

  • マスクの着用(マスクが鼻出しでズレたまま「俺は海賊王になる!」とふざける西畑大吾さんに、藤原丈一郎さんが「ちゃんとせえよ」「すいません」)
  • 手の消毒(「手が!消毒されてる…!」と感動してくるくる回る西畑大吾さんの横で「笑いも消毒しまーす」とばっさりな長尾謙杜さん)
  • 規制退場の協力(大西流星さんの完璧なアナウンス。「こちらでーす」と言われた方向と逆を行く長尾謙杜さん)
  • スマイルアップシールドの使用推薦(スマイルアップシールドを顔で表現します!で全力のスマイルを見せる大橋和也さん。を見ている大西流星さん)
  • うちわやペンライトのみでの応援のお願い(大橋和也さんがペンライトを持って、高橋恭平さんが後ろからうちわをザッと広げて「孔雀。」シュール。“特別な訓練を受けています”のテロップで真似をしないよう促しているのも細やか。)
  • 体調が悪くなった方はスタッフへ(道枝駿佑さんの案内の後ろで、ううーっとなる高橋恭平さん。「ファンに会えなくて…」と言う高橋恭平さんに「アイドルー☆」と返す)

最後に道枝駿佑さんと藤原丈一郎さんのコンビでバトンが繋がり、「Wash your hands」へのVTR振りを。「ダアアアア」と訳のわからん大声を出す藤原丈一郎さんに「うるさいなあ」と真顔でツッコむ道枝駿佑さんがよかった。

 

開演前の案内で、不安から救われていることが度々ある。今回は特に、久々のライブ。必要以上の緊張もピークだった。

道枝さんと高橋さんの映像で、道枝さんが「体調の悪くなった方は遠慮なくスタッフさんにお声がけください」と案内するところ。あの映像と声に、本当に安心した。

人の多い所や体調が悪くなることに恐怖感があり、人の多さや席から動けない状況に毎回緊張しながら席にいる。もしもの時は大丈夫と思えて心強かった。

各案内がわかりやすく和やかに、テンポ良く見られる案内がされていた。

メンバーのにこやかに案内しつつ大事な事を伝える映像と、フェイスシールドを装着して会場案内をしてくださっているスタッフさんの姿から、私も用意していたメガネ型フェイスシールドを早々に着けた。

 

時計が17時30分を指し、暗転。

ついにライブが始まる。

オープニング映像がはじまってすぐに心を掴まれた。それはメンバーカラーごとに形の様々な宝石が宙を飛んでいく映像。ひとつひとつが“なにわ男子”のロゴを色づけていく。

彼らを宝石になぞらえて、エメラルドやトパーズのように石に合わせたカットになっていたところが、イメージにぴったりきた。

メンバーの写真の出方も良くて、本来なら上がるボルテージが黄色い悲鳴で聞こえるけれど、ぐっと堪えた全体のエネルギーがジリジリ伝わる。

 

バンッと照明が点くと、なにわ男子は空中に。

すっと静まった空間に響かせるように道枝駿佑さんの声が届く。

 

熱い All my love 届けたい

True my heart 信じてほしい

 

聴こえてきた「アオハル -with U with me-

“永遠の愛はここにある”と微笑んで『ここ』と下を指差す、長尾謙杜さんがスクリーンに大きく映る。

歌いながら、7人同時に飛んで真っ直ぐ前へ。

中央のワイヤーに3人。両サイドに2人の並びで、上下したり前後が変わりつつ前進して真ん中の円形ステージへと着地。

一曲かけてゆっくりと進む。この上下はアトラクション以上に怖いのではと思ったりした。

飛んでいる間、脚の角度をつけていて、右足首を左足首の後ろに回して、つま先を立てて軽く三角を作るようなポーズがとてもかっこよく、ピーターパンがこっちに来る…と思った。

今回のライブでも長尾謙杜さんが衣装を担当しているようで、最後の挨拶で長尾さんが最初の衣装は地球をイメージしたと話していた。濃いブルーに銀の映える王子な衣装で、前に見えた生地にはグリーンの地形がさり気なく散りばめられていた。

飛んできたということは、Jr.くんたちによるワイヤー外し肩トントンが見られる?!と思っていたら、自分で外せるパターンのもので、日々技術は多様化していると知った。

わずかな暗転のうちにワイヤーをささっと外して次の曲に移る速やかな進行にも感動。

 

大橋和也さんの「ヒューーウィーゴー!」で始まる「なにわLucky boy!!

関ジャニ∞のライブで、まだ『なにわ男子』になったばかりだった彼らがステージに立つ様子をなにもわからず見ていた瞬間が蘇り、当時の自分ごとここに連れてきた気持ちになった。

京セラドームでの景色が走馬灯のように重なった。 

 

そして「ダイヤモンドスマイル

きた。いつかこの目で観られる日が来たらと思っていたその日が、ついに来た。

声も出なかった。うちわをそっと抱えて、ただ固まる。全身で集中する。歓声無しと言われていてもいなくても、今回のライブで何も発することは出来なかったと思う。ペンライトを持っていないことさえ気にならない。

それほどなにわ男子のつくる空間に飲まれていた。

覚悟が、肌で伝わる。特に伸びやかさに止めのキレが増し加わった、道枝駿佑さんのダンスに序盤から圧倒された。

 

関西ジャニーズJr.のなにわ男子に会いに来たら、デビューの決まったなにわ男子になっていた。

掴んだ。それが表情に、ダンスにはっきりと表れていた。

眩しくて、立ち尽くし聴き入ってばかりになるほどのステージ。自分たちのステージとして、ライブを行うなにわ男子の姿は、覚悟と喜びのエネルギーに満ちていた。

 

 

去年の配信ライブから考えても、どんどんライブの空間を自分たちのものにしていて、アリーナを会場にして全く足りなさのない、確固とした存在感で7人が立っている。

ダイヤモンド型のスクリーンの中に映るメンバー。いきいきと輝きを増すステージ、ダイヤモンド型のモチーフも光る演出。

そう言えばあのブルーとホワイトの衣装ではなかったと、帰ってきて1日経ってからようやく気づくほど、物足りなさを感じさせることのないライブになっていた。

1曲ずつオリジナル曲を大切に歌っていくなか、「ダイヤモンドスマイル」を5曲目で披露したことは不意打ちで、「ダイヤモンドスマイル」をメインや大一番として組んだセットリストにしなかったところに、次へのステージを感じた。

大切で、特別なことは変わりはしないけど、トップやラストではなく、カラフルにいくつもあるオリジナル曲の中から、ここに置こうと決めたんだなと伝わる。

 

バラードの配置やダンスとかっこよさに徹底した曲の配置が、工夫されてセットリストに組まれているのも印象的で、

ここからがオリジナルソングでカバーメドレーはこことパッキリ線が引かれている印象があまりなく、実際は序盤になにわ男子の曲が続いて後半はカバーが多いものの、

「夢わたし」が間にあって「Time View -果てなく続く道-」がラストをしっかり締めることで、全体を通して“なにわ男子のライブ”だったという満足感になった。

 

夜這星」を、可愛くではなく真っ直ぐな眼差しで歌う大西流星さんは、思いがけないギャップで、スクリーンに大きく映った知らない表情に言葉を失った。

「2Faced」での“パブリックな顔からパーソナルな顔へと”のパートを大西流星さんが歌うことにもドキッとくるものがあって、きゅるっとを封印した時のまだ見ぬ表情には度肝を抜かれた。