歯の浮くような台詞もあなたなら

 

HEY!そこのハニー

こっちを見て気づいておくれよ

そんなふうに話しかけられて思わず振り向いてしまうのは、彼の声だからに違いない。

山崎育三郎さんと3時のヒロインのコラボ曲。

「僕のヒロインになってくれませんか?」が好きで、朝のはじまりに聴くようになった。

 

山崎育三郎さん 

僕のヒロインになってくれませんか? feat.3時のヒロイン

作詞:一瀬貴之さん、岩淵紗貴さん

作曲:pw.aさん、一瀬貴之さん、岩淵紗貴さん

 

スウィングしてパアッと広がるトランペットの音と、リズムと、山崎育三郎さんの歌声。

そこに加わるのは、一人ずつカラー豊かな3時のヒロインの歌声。

MVのダイヤルを回す電話越しに繰り広げられる、様々な表情が見ていて楽しい。特に、受話器を握りしめてドギマギしながらサスペンダーを直している仕草が好きだった。

 

山崎育三郎さんの着ている、海外のお菓子のパッケージみたいなカラフルさのシャツと、サスペンダーに黒のパンツ合わせと黒の革靴。

3時のヒロインのお三方は、フレアスカートにボーリングシャツを合わせて、ウエストをベルトでマーク。カラフルな組み合わせの色も可愛くて、さらにヘアスタイルもポップに。

ツイストダンスが始まりそうな年代のコーディネートに魅了されて、ボーリングシャツを普段着にしたい委員会の私は釘づけだった。

 

しかも、歌始まりのメタファーが含まれた台詞も楽しい。

僕はジュリエットとデートだってしたし、

プリンセスとキスだってした!

様々な世界へと飛び込んで、ロミオに野獣に、様々な役を演じてきた山崎育三郎さんだから見せられる遊び心。

歌の部分と対照的に、本当に舞台の台詞のように『声』が聴こえる音質になっていて、耳元に響く感覚がドキッとする。

 

3時のヒロインの魅力も溢れていて、歌声の個性にも心惹かれる。

ゆめっちさんの“タイプじゃないけどね”の発声にドキッとくる。ゴスペルに通じそうな迫力のある歌声と表現力。

アナザースカイに出演していた時に、学生時代、学園祭や吹奏楽の演奏会で舞台に立つと別人になると顧問の先生がお話していた。

そのことを考えると、スポットライトに当たって存分に輝く時がやってきたんだと感じて、いきいき歌って踊る姿にワクワクする。

 

“OK わかったわ オーディションよ”から、“ねぇ ナイスガイ!!言っておくわ 男は中身よ”と歌う福田麻貴さんの艶をのせた声質もすごく好きで、

“オーディションよ”は、コントの時の吹き替えのテンションがいい具合に入っていて、ディズニーシーの25周年で開催されていたショー「ミッキーのドリームカンパニー」を思い出す。

 

かなでさんのヒロイン力も、歌詞を台詞のように言うパートが多く、ひとつひとつのニュアンスで表れていて、

“こんな出会いはないかも”の語尾に『!』が付きそうなときめきがあったり、“刺激的ね”の言い方はコミカル。

“今、変な男に絡まれてる”の迷惑そうな顔と、後ろでうろうろ映り込みにくる山崎育三郎さんが「CDTV!ライブ ライブ」で見られて面白かった。

 

あなたのための可愛らしい私になりたいとも違って、“スパイスのある私を 見つけてくれたイイ男”と歌うところが好きだった。

相手にとって甘い私を作らなくても、“スパイスのある私”で好きだと思われるならそれはきっと心地いい。

ミュージカルの台詞のように、掛け合いが続く歌詞の構成も楽しい。

曲の中盤にくる、一拍空けて“君にFall in Love”で、山崎育三郎さんのボーカルがぐっと前に際立つところも良かった。

 

 

ベタ惚れからの猛アタックシチュエーションが、洋楽や映画ですごく好きで、全力でそれを魅せる山崎育三郎さんに夢中にならないはずがなかった。

本題さ 僕なんてどう?エスコートするよ

諦めないよ

僕のヒロインになってくれませんか?

ひたすらフォーリンラブ。ベタでキザで、だけどはじめは相手にされていない少々の切なさもあって。

それでも諦めない熱烈アプローチが、いっそ爽やかに見えてくる。

 

君しか見えないよ

あんなに清々しくいい声で言われたら。

もちろんさ My Sweet ハニー

そんな歯の浮くような台詞も、山崎育三郎さんなら成立してしまう。

ジェントルさには惹かれるけれど、甘い台詞に酔いしれたいわけではない自分でも、突き抜けて照れの存在しない世界での台詞には、美学を感じる。

 

僕のヒロインになってくれませんか?

ひざまずいて、願うように握り合わせる手。

俺の、でも、彼女、でもなく。“僕のヒロインに”

可愛らしくて、かっこつけきらなくて、でも優しく愛くるしい。山崎育三郎さんと3時のヒロインが魅せる、ひと時のミュージカルが心躍る感覚を届けてくれる。