日常を歩いた先で出会うライブステージ。King & Prince ライブ「L&」

 

アルバム「L&」を聴くのが、日々のルーティンになっていた。

朝に「Key of Heart」「&LOVE」

混沌とした気分の時に「Mazy Night」

仕事終わり、頑張れてない気がして落ち込む時に「Focus」が聴こえてきて、大丈夫かもと思えたこともある。

 

King & Princeのライブを観てみたいという気持ちは強まって、もしも通常通りにチケットが発売されていたら、一般発売が微かにでもあることを願っていたはずだった。

今回「L&」は、10月9日、10日、11日の3日間。

土日は2公演づつの開催で、計5公演。配信という形になった。

 

見られる日程が一つでもあったことを喜びながら、チケットを購入した。

グループごと空気感も全く変わるライブ。どんなステージを作っているんだろう。アルバムで聴いて好きになったあの曲は歌われるだろうか。演出を見て新たに魅力に気づく曲との出会いは?

 

King & Prince CONCERT TOUR 2020 〜L&〜

 

アリーナの各位置に、メンバーの名前がアルファベット表記されたライトが配置されているのが、会場を広く使ってメンバーの色に染めている感じがして、もし実際にお客さんが入っていたら「どの席だった?」「○○くんの名前の辺り!」とか会話できていたのかなと想像した。

ファーストライブで王座に座りながら上空から登場したのも驚いたけど、今回のシャンデリアを乗り物に上空から登場でそのまま前進にも驚いた。

このファーストインパクトで、King & Princeに感じていたイメージはそっかシャンデリア!と納得できた。

そして降りた後はその乗り物が頭上にきてシャンデリアとして飾りになる演出。

 

カップリング曲なので歌わないかもと思っていた「Love Paradox」が序盤で来た時の嬉しさ。

そこからの「シンデレラガール」にテンションが上がらないはずない。

メンバー紹介ソングを聴いたのは初めてで、「We are King & Prince」でメンバーが紹介するメンバーの個性を聞ける楽しさがあった。

 

「&LOVE」を、頬着けマイクと個人的には呼んでいる“ヘッドセットマイク”にしてくれた人にありがとう!と言いたい。しかもズレにくく、音をちゃんと拾う。

そこから「Break Away」ハンドクラップ。トランペット。裏打ちのリズム。

平野紫耀さんが、ステージ下から投げ上げられたジャケットをなんてことない顔してキャッチしていて、痺れるかっこよさ。メンバーもJr.の子たちもベスト付きの3ピーススーツが衣装で、そのコンセプトで一気に好きが増した。

グルーヴィーな雰囲気に持って行ったところで「Naughty Girl」の空気にグンッと落とし込んでくる流れにも見入る。この曲の時の、苛立ちを表現する色っぽさは何度見ていても唯一無二でドラマを見ているかのよう。

 

「Funk it up」もグルーヴ感で言うと、「Break Away」と仲間な魅力を持つ曲で、ライブをヘッドフォンで聴いていたら、曲の最初に左右の耳で音の振り分けがあったことに感動した。

永瀬廉さんが歌声を張ったまま伸ばすことを恐れなくなった気がして、“バイブス”のパートの声の伸びが素晴らしかった。思いきってパーンと突き抜ける声が魅力的で、今回特に耳が惹き寄せられたのは永瀬廉さんだった。

“Let's go crazy”と歌う爽快さが何度聴いてもいい。ライブバージョンを聴いてあらためて、むちゃくちゃになろうぜと発散できる楽しさがたまらない。

 

 

円形に迫り上がっていたステージ中央にジャンプインする演出にびっくりした。

次の瞬間には「生活(仮)」の歌い出しが始まっていて、円形ステージにはスタンドマイクがスタンバイ。いつの間に衣装チェンジまでしていて、明るめ水色のジーンズ生地の衣装。

“花束を贈るよ”という歌詞に合わせるように、花飾りの付いたタンバリンを手に持つ。長めに揺らめくリボンが可愛い。

上空にはハートの紙飛行機が舞う。カントリー調にも聴こえるメロディーに、ささやかだけど特別な日々を愛しむ歌詞が柔らかく優しくて、とても素敵だった。

 

そして続くのは聴きたかった曲のオンパレード。

「Amazing Romance」

「Key of Heart」

「koi-wazurai」

特に「Amazing Romance」を聴けたことが最高に嬉しかった。

アリーナ中央の花道で横一列になってのダンスと、右手花道からすうーっと白のライトが道筋に沿って2本駆け抜けて、メインステージに届いてからセンターの花道へと真っ直ぐ伸びて来る光景が綺麗だった。

“愛してる”のニュアンスの個性もポイントなのだけど、ほんのり欲張るとしたら、“おかえり”はかなり好きなポイントで、いつかそっちをカットしていないバージョンも見られたらすごく嬉しい。でもライブという場なので、“おかえり”はないのもわかる。

初めて聴いた時、なんて破壊力の曲なんだ…!!正気でいられる気がしない!と思って以来、この曲の虜。

日常のルーティンで最も気乗りしない、スーパーでの買い物の時にもひたすら聴いて、テンションを保っている。それくらい、どんな疲れも吹き飛ばす。

 

 

曲の他にも楽しいところが沢山。

ライブ序盤での髙橋海人さんの衣装が、みんなでホワイトにゴールドの装飾でほんのり王子衣装な中で、割とベタな肩のパフスリーブになっていて、それが自然に着こなせるすごさも感じた。

始まってすぐの挨拶で、「楽しむ準備はいいか?」の後に「電波状況はいいか?」と聞いた平野紫耀さん。確かに大事な電波状況。

コーナー?コント?の時間での間合いの良さは、永瀬廉さんをツッコミとしてメインに進行しつつ、平野紫耀さんも加わって磨きが掛かっていて、静かに流れる関西Jr.の血…!とテンションが上がった。

岸優太さんが着けていたアイテムがヒマワリだったのを見て、エリザベスカラーだとすぐに言えるメンバーのセンスも面白かった。わんちゃんを飼っているとわりと出くわすエリザベスカラー

 

お知らせの時間で、6th シングルの発表もされて、タイトルは「I Promise」発売は12月16日。

カップリングに昨年のセブンイレブンクリスマスCMで流れていた曲「Winter Love Story」が収録されると話していたのがサプライズで嬉しかった。

CMで耳にして、好きかもと思ったもののアルバムにも入っていなくて、なにかのカップリングで買い逃したのだと思っていたから、聴ける日が待ち遠しい。

 

 

ライブは中盤に差し掛かり、

「ナミウテココロ」の曲調は起伏の抑えめな、最近耳にすることは増えたもののライブで聴くようなイメージのなかった曲で、どんなふうに観せるのだろうと気になっていた。

メンバーが着ている白が基調となったシャツをスクリーンにするように、ライティングが彩って、メロウなムードが漂う。

イメージしていたよりもカラフル。ピンクっぽい色合いか、水面のようなブルーや泡をテーマにするかなと予想していたから、歌詞にもあるようにマーブル色のカラフルな色彩が印象的だった。

曲終わりの“ブクブクブク…”の泡の音に合わせて、潜るジェスチャーを岸優太さんがしていた。

 

「YOU, WANTED! / FEEL LIKE GOLD」と曲タイトルが表示された時、一瞬分からなくて長いタイトルの曲なのかと思った。

ところが聴いていて、ああ2曲がマッシュアップされているんだ!と気づいた時の楽しさ。

 

ここまでライブを見ていて、セットリストも、組まれたセットも、照明も、炎も花火も特攻も。

すべて、無観客であることがよくわからなくなるくらいに出し惜しまない演出。

アーティストや公演によるとはいえ、ライブは開催時点で赤字だと聞いたことがある。チケットが全席完売して、グッズが売れてようやく採算が取れるかどうかなのに、こんなにまでする必要は何かと考えたら、覚悟と言い表すのも何か違う、懸命にステージを作る気概を感じて、

ああここに居られたら。と思う観客としての気持ちと、それでも魅せきると決めてステージに立っているメンバーと、それを支えている数多くのスタッフさん技術さんの気持ちを思って、やるせなさと感動が入り混じる感情になった。

 

 

ライブ終盤にくるのは、直筆のメッセージと本人の声。

平野紫耀さんの“今回は、会えないライブだったね”という言葉。心に残って、そうだなあとひたすら事実を受け止めた。

会いたいから、会いに行く。が何にも阻まれず行動に移せる明日になってほしい。

 

あとにつづく「Focus」「Laugh &…」

「Focus」から伝わる、平野紫耀さんの今感じている思いと、感じてきた思い。

日常の中で聴いてぐっときた瞬間の自分自身の感覚も相まって、この曲があってくれたから、帰り道、重い足を引きずって階段を登れたこと。

例えではなく本当に顔がふと上がって、少し前を向くことが出来たことを思い返して、胸にきた。

 

「Laugh &…」で円形ステージを覆っている白い幕が、回転によってねじれて形を作る様子が綺麗だった。

そして照らすライト。カメラが引きになって全体を見渡すと、いつの間にか景色すべてが白のシーツに覆われて。

先ほどまで一粒づつのライトが彩っていた客席の上にシーツが掛かっている。2階席まで。どうやって?と考える暇なく、雲の上みたいなその景色に浮遊感さえ覚える。

漂う雲をぼんやり眺めながら 今日の気持ちと重ねてみた

神宮寺勇太さんの歌声を聴きながら、風を受けてゆらめく白の景色に包まれる。

「ナミウテココロ」でも感じたのと同様に、ここでの2曲もライティングが興味深くて、今回の「L&」は“白の布にライト”が演出の鍵になっている気がした。

アルバムジャケットの写真などからは“冒険”や“鍵”のイメージが何となく湧いていて、コンセプトの絞られたライブになるのかなと思っていたけれど、実際はもっと幅広く、抽象的な共通する軸で構成された演出に心惹かれた。

 

締めくくりの曲の「君がいる世界」で、“僕もそばにいるから”という歌詞がある。

僕“が”じゃなくて、僕“も”なのがいい。

 

ティアラの形にも見える船の行く先、メインステージにはお城が建っている。

広い空、雲の海の中、航海は始まったばかり

King & Prince の「L&(ランド)」を港に、様々な曲調の島を渡り、再び旅へと進んでいく彼らを感じるライブだった。