Little Glee Monster「君に届くまで」

 

空にかざしたビー玉、光を集めて澄んだ景色が思い浮かぶ。

メロディーラインは難解で、はじめは追いかけるテンポ感に戸惑うけど、それをしっかり手の中に掴んでLittle Glee Monsterの歌として見せる姿がすごい。

すぅっと浸透力のある歌詞は、心の奥に隠しておいたはずの本心にまで染み込んで、かゆいような痛いような、でもうれしい気持ちになる。

 

Little Glee Monsterバズリズムに出演するからと見たら、新曲「君に届くまで」の披露だった。

作曲は水野良樹さん。作詞はいしわたり淳治さん。

関ジャムでしっかりがっつりと見ているお二人。「青春のすべて」であり「DO NA I」なお二人。特にいしわたり淳治さんのことは、初めて出演された回でアーティストの曲の紹介をされているのを見た時から、良いものの“何が良いか”を伝える際の言葉選びと視点がツボな方だと感動して、それ以来、いしわたり淳治さんがゲストで来ると前のめりになってじいーっと注目している。

コメントのセンスに関ジャニ∞が注目しだして、プレッシャーを感じ始めているように見えるいしわたり淳治さんも、おもしろかわいかったりする。

 

ここ!いい!のポイントが散りばめられた「君に届くまで」

まずタイトルが、“届くまで”という接続詞を求める言葉で締められているところがいい。

断言でもなく、投げるわけでもなく、“届くまで”続ける意志を感じさせる。

 

 

いつだって追いかけてばかり 熱い夢や甘い恋の

後ろ姿しか見えなくて いつも不安で 

manakaさんが歌う、“いつだって追いかけてばかり 熱い夢や甘い恋の”というフレーズの“熱い夢や甘い恋の”の部分。歌謡曲に似た、懐かしく情緒を含んだメロディーラインがぐーっと心を引きつけた。

 

 

乱反射を 繰り返して 一縷の光 君に届け 

 

この歌詞が、本当にすごいと、すごい歌詞だと思って、居ても立ってもいられずこうして書いている。

伝えたいことがある人、制作を続けている人、「君に届くまで」はその気持ちにリンクする曲かもしれないと、この歌詞を聞いて感じた。私が持つ願いってこれだと思ったくらい、この一行にはすべてがある。言葉として美しくて、でも不器用さと切実さがキラキラのなかに溢れている。

 

“乱反射”にイメージしたのは万華鏡のように並べられた鏡で、思うように真っ直ぐは進まない光の線。あっちにこっちに当たり跳ね返されて、球になった光が、それでも少しずつ近づいていく。

乱反射という言葉を調べていたら、【物体を見ることができるのは、物体が光を乱反射するからである】と説明されていた。ここで思い出したのは、りんごの色でよく例えられる、りんごの色は光の反射によって赤く見えているので光が無ければ透明なのであるという理論。

この理論を聞いた時、うそだ…!という衝撃と、頭で考えれば考えるほど「いやでも見えてるし…これが赤じゃない可能性を言われても…」と抗いたい気持ちが混乱して、好きになれなかった。

だけど、歌詞に重ねて考えるとわかる気がして、自分単体では自分の色を見ることはできないと思うと、光の大切さが際立つ。

 

そして、“一縷の光 君に届け”とつづく。

音として聞くことはあっても、文字で見ることはあまりない“一縷”

一縷(いちる)とは、【わずかなつながり、ごくわずか、かすか】という意味を持つ。強く明るい光ではなく、届くか届かないかわからない“一縷の光”を“君に届け”と表す繊細さに胸を打たれた。

 

 

歌番組でのサビパートをアサヒさんが歌うところにも視線を引きつけられて、

最後の最後にパアーッと声を広げて伸ばした瞬間が素晴らしかった。

階段をタンッタンッタンッと上がっていくような、サビの音階に高揚感があおられる。

 

歌の終盤にくる、

目を閉じれば 見える世界 

という歌詞には、さらっと聴けば違和感もなく、でもちょっと立ち止まると不思議な言葉遊びを感じられる。

目を開いて、ではなく、“目を閉じれば 見える世界”

個人的には、寝る前や一人で居る時間にこうなったらいいなを想像しているから、元々違和感のないものではあるけれど、曲の中の主人公にとっても、頭のなかに思い描く景色が大切であることがわかって、好きな歌詞になった。

 

 

届くかわからないものを、たどり着けるかわからないものを追求し続けるのは正直つらい

力不足を痛感して、なのに何が足りないのかわからないまま歩くこともある。

ここでブログを書き始めて、来月で丸4年。

次からは5年目に入る。

したいと思うことへの灯火を消さずにいることの難しさは実感した。でもこうして、音楽番組での曲披露を見て書きたくなったり、ライブ、舞台を観たあとのエネルギーは文章でしか伝えられない。これしかない。

 

音が好きなのに、映像の美しさ、画質、ライト、角度。そういうものが好きなのに、なぜ私は文章の世界を選んだのだろうと思うことがある。

でも、これこそがきっと私のしたいことで、音の聞こえる文章を書きたいのだと、今ならわかる。

Little Glee Monsterの歌う「君に届くまで」が、その気持ちを思い出させてくれた。