革靴の足元。トントンっとつま先を鳴らすと、はじまるオルゴールの音。
ハットを目深に被り、にやりと微笑むNissyの口元。
Nissy「GIFT」
冬の季節がやってくると一際輝くこの曲は、Nissyとしても活動する西島隆弘さんが、初めて作りあげた作品「どうしようか?」の次に、2014年12月17日にYouTubeへとリリースした2番目の作品。
Nissyについても西島隆弘さんについても、何も知らないままでいた頃、「どうしようか?」のあとに新作は続くのか、 どのくらいの間隔で活動があるのかも知らないまま、新しい作品が見られたら嬉しいなあとただ思っていた。
そうして、次に見たのが「GIFT」だった。
8分近くあるMVは、映画のようにストーリーが展開されて、その世界観にキラキラと心奪われていく。
以前のNissyについて書いた文章の中で、おすすめしたいMVのNo.1にあげたのも「GIFT」で、それから新しい曲がひとつひとつ増えていった今でも、スペシャルに好きなのは「GIFT」と「まだ君は知らないMY PRETTIEST GIRL」で変わらない。
街がイルミネーションで彩られる季節。
彼女との待ち合わせに間に合わない量の残業を押しつけられ、困り顔の西島くん。
彼女はもう待ち合わせの場所に来ていて、西島くんのことを待っている。そんな二人の様子を見つめるNissyは、やれやれと微笑みながらとびきりのサプライズを起こしていく。
書類の束を覗き込んでも数えても量は変わらないのに、不服そうに書類を眺める西島くんの表情が可愛かった。
彼女のもとへ走るリズムに合わせるかのような、曲のテンポが胸を高鳴らせる。
曲があって映像を当てはめているのではなく、映像のBGMに曲があるわけでもなく、曲と映像の双方があって1つの作品になる。音ひとつひとつにピタリとはまる映像、動き。
“君の笑顔に間に合うかな?”と歌うはじまりが最高にキュートで、怒ってない…?という問い掛けを、こんなに可愛く表現できるのかと衝撃だった。
ベタすぎる?と照れてしまうほど甘々なカップルのやり取りにひゃーっとなるけれど、徹底してそれを魅せきってくれるから、かっこいい。
冬の夜。Nissyがひとたび指を鳴らせば、一面に広がるイルミネーション。あまりにも可愛らしくて、しあわせそうな二人だから、見ていて顔がほころんでしまう。
そんな二人を見守るNissyが、スノードームを振って自分もぐるぐると回るシーンが大好きで、その様子こそがスノードームのなかで踊るお人形みたいだった。
MVの始まり、Nissyの登場がカップルの二人を割って入るような演出になっているところにも、お茶目さを感じる。応援するけどちょっと妬いちゃう少年感がいい。
歌詞の“綺麗だね”の声に合わせて揺れるNissyに、ベルが揺れてコーラスを歌うみたいなミュージカルっぽさを思い浮かべたりして、行動のどれもこれもが可愛くて。
「GIFT」はNissyの役割りと西島くんのキャラクター性、Nissyと西島くんの関係性を読みとりやすいMVでもあると思う。
“僕らの方がしあわせだよ”で、アップに映るNissyとボーイズたち。こちらを向いたNissyが、見ててごらん?というような表情で眉をひょいっと上げる。あの顔が好きで、何度も見たくなる。肩もクッと上がるのがいい。
“ため息で消えていくよ”の歌詞では、パンと弾ける音に合わせて、Nissyがダンスで息を消し去る手の動きをするところも美しかった。
そして、“ねえもっと 仕掛けてよ”の振り付けがとても好きで。自らに魔法をかけるみたいに、頭の上をふわっとかすめる手の動き。片手だけではなくて、もう片方の手でなにかを押さえるような感じ。君にかける魔法、ではなくて、僕に魔法をかけてという西島くんの願いを叶えるところがいい。
その後につづく“君の僕への贈り物”の歌詞で、胸の前で手をぐーっと上げて開いていく手のひら。込み上げてくる思いを表現するかのようなダンスにキュンとくる。
歌詞をなぞる部分と、音を拾う部分。
歌詞のストーリーがダンスで視覚的にも伝わる。MVの中でのそのチョイスとバランスが絶妙で、映像としても魅力、曲の魅力、ダンスの魅力すべてがずば抜けてツボで、大好きなのが「GIFT」
Nissyが歌う冬は魅力的で、毛布より、ホットココアより甘く温かい。胸をときめかせるいっぱいのGIFTが、この曲に溢れている。