地声の個性で鮮やかに。関ジャニ∞のMステ披露「ここに」

 

今だったなと思う。ライブで見た関ジャニ∞から感じたものは確実にあったけど、自分のなかでのスイッチが入ったのは今だと思う。

ライブを見たのに、思っていたような整理はつかなくて、整理のつかなかった気持ちに戸惑った。ライブが足りなかったとかそういうことではなくて、テレビの前、置かれている条件がフラットになったことで、落ち着いて向き合うことができた。

Mステで見た関ジャニ∞の気迫は物凄いエネルギーを持っていた。ライブは心理的な距離が近づくなら、テレビは視覚的な距離をゼロにするのかもしれない。

 

新曲はうれしい、うれしかったけど、WANIMAのガツンとくる感じがあまり得意ではなくて、勢いのあるサウンドと歌詞についていけるかが心配でもあった。

なんというかWANIMAの曲を聴いていると感じる感覚は、有り余る生命力に怖気ずくような感覚で、勢いに圧倒されてしまう。だからこそ、安田章大さんは惹かれているのかなとも思う。

 

ライブで聴いた時、曲の印象が変わった。メロディーや楽器の鳴り方にはWANIMAの要素がありつつも、関ジャニ∞の曲になっていた。

関ジャニ∞の声で聴くその歌詞は、進んで行くことを決めた彼らだから歌える言葉で、6人になって歌う新しい曲がバラードでもミディアムテンポでもなく、声そのもので挑む「ここに」でよかったと感じた。

「DO NA I」がメンバーそれぞれの声の表現力を見せる曲だとしたら、「ここに」は本来持つ声、地声のカラーをくっきりと見せる曲になるのではと思う。

 

全力で行くと腹をくくった関ジャニ∞を見た。

この場が多くの人に、一斉に今の関ジャニ∞を見せる場であることをはっきりと意識していて、画面も距離も越えて届ける気迫があった。緊張感は横山裕さんの表情で十分伝わってきたし、見ている自分も意識しないと呼吸を忘れてしまいそうなほどドキドキした。

“止まらない思い抱いて”で始まる安田章大さんの歌声が、 そよ風みたいに蒼く透き通った爽やかさで、そのあとに続く“降り出す雨に打たれて”の錦戸亮さんの歌声は夏の暑い日差しみたいな温度があって、突然の夕立ちが思い浮かんだ。

ラララと重なる全員の歌声に、上のパートを歌う錦戸さんの声が際立って、言葉ではない旋律を歌っても関ジャニ∞関ジャニ∞だった。

 

大倉忠義さんが歌うパートがとても好きで、途中から鳴り始める足踏みのようなバスドラムのキック音が心拍数を煽っていく。

“散り散りになりそうな”で重なる、丸山隆平さんと安田章大さんの声が最高の相性で、息を揃えて安田さんは高音に、丸山さんは低音を当てにいく2人のハーモニーが堪らない。

 

そして中盤にやってきた丸山隆平さんのパート。

丸山さんがあんな歌い方をするのを見たことがなかった。

音を乗せにいくなら声は抑えたくなりそうだけど、限界突破を覚悟したように全力で声を張った丸山さんの声が、衝撃だった。その本気に寄り添うように、大倉さんの声が重なった。顔を見合わせて近づく2人の表情がすごくよくて、楽しんでいるのが伝わってきた。

そんなに動いて大丈夫?と思うくらいに安田さんは弾けていて、ジャンプを我慢できないほど気持ちが高ぶっているのが見てわかった。隣にいる村上信五さんが笑いながら安田さんの肩にそっと手を添えていて、それぞれがそれぞれのことを見ていて、気にかける関係性を変わらず感じた。

 

テレビの向こうから、数分間でも、音楽で伝えられるものがあると見ていて思った。

思いを伝えるのに、ライブで出来ることがあって、テレビで出来ることがある。距離を取っ払った関ジャニ∞のMステパフォーマンスを見て、始めるこれからを楽しむためのスイッチが入った。