英語のニュアンスでまろやかになる日本語 − PrizmaX「カフェオレ」

 

いつも聴いているラジオより少し早くradikoを立ち上げたら、森崎ウィンさんのラジオが放送中なのを見つけて、聴いてみようとタップした。

トークの後に流れてきた曲が気になって、最後まで聴いた。すぐにオンエア中の曲リストを見てみると、曲名は「カフェオレ」

クラップ音から始まるこの曲がなんとも可愛くて、耳に聞こえてくる歌詞の音感が心地良かった。

 

 

イントロが楽しいな、あれこれは好きかもなとそのままのチャンネルにしていると、聴こえてきた歌声。もしかして森崎ウィンさんが歌っている?

音楽での活動を森崎ウィンさんがしていることを、この時初めて知った。

森崎ウィンさんは、洋画「レディ・プレイヤー1」にダイトウ役で出演したことで話題になっていて、テレビ番組にも最近多く出演している。映画は観ていなかったけど、そのテレビでの密着などを見て、出身がミャンマーであることや、おばあちゃんに教わって英語が上達したことはなんとなく知っていた。

さらに調べて、歌っているのは「PrizmaX」というグループだと知って、この曲でのボーカルは森崎ウィンさんと黒川ティムさんだとわかった。声の馴染みがあまりに良いので2人の声が交互になっているとは気付かないくらい。黒川ティムさんは先月の6月25日に事務所を退所されたようで、それについてはさびしい事実だった。

 

パフォーマンスの映像がないか調べると、音楽イベントで「カフェオレ」を歌った時の映像を見ることができた。

ダンスを踊るメンバーとボーカルも担当するメンバーとでパフォーマンスをするその姿がキレッキレで、キレだけでなくジャンピングが、縦の跳ね感がすごい。ノリッノリで踊りながら、 ボーカルのメンバーは歌も歌う。動いているのにその声にブレが無くて、ラジオで聴いた音源とその動画の歌声にほとんど差が無い。

ダンスでは身体に力を入れているのに、歌声は軽やかに肩の力が抜けていて、空気の通るようなニュアンスがそのままだった。

 

 

カフェの店員さんに恋して、

通う男の子がいつも頼むカフェオレ

それを茶化しつつも見守る男友達、というシチュエーション。作詞は森崎ウィンさんとDAIKIさんで、作曲は森崎ウィンさんと知って驚きだった。歌詞の、相手に対して強気すぎず、でも弱気すぎない押し引きが絶妙で、歌詞の主人公がとても可愛い。年下にときめく感覚があるとしたら、こんな感じなのだろうか?

ボーカルの2人が歌っている時、歌詞の音の乗せ方が魅力的で、その個性は英語がネイティブに近く発音できるというポイントからきているのかなと感じる。

英語の部分が耳に違和感なくスッと入るのはもちろん、日本語の歌詞の部分でも、音の波に英語のニュアンスが残っていて、カクカクする音の角が取れてまろやかに日本語がメロディーに乗る。

どことなくディズニーチャンネルスターズに近いものがある気がして、日本のグループだけど海外の雰囲気もあるところに引きつけられたのかもしれない。舞浜のイクスピアリでイベントをしたらターゲットとしてはヒットするのではと思った。

 

この先の街角

右に曲がって見えてる

君の働くカフェ

a Woody Snazzy Place 

歌い出しにくるこの歌詞が、風景を思い浮かべるのには完璧で、

お店だけの景色ではなく、たどり着くためのルートが歌詞に入ることで、お店に着くまでの彼のドキドキを疑似体験できる。

そして“a Woody Snazzy Place”という英語表現がすごく良い。

カフェと一言に言っても、ポップな明るい店内のカフェやシンプルなカフェなど色々とあるなかで、このフレーズがあることで、どんな雰囲気のカフェなのかもイメージできる。Woodyが“木”を基調としたインテリアのことだとして、Snazzyに“洒落た”という意味だとすると、Placeは“場所”で、お洒落でウッディなカフェ。

私が想像したのは、木目調のテーブルやカウンターのある店内、カウンター上に逆さに並ぶワイングラス、コールドプレスのスムージーが出てくるような流行りのカフェだった。

 

今流行りのジーンズで

ネイビーのエプロン姿を

僕はまた見たくて

Give me Cafe au lait  

働いている彼女も、今流行りのジーンズを履くような彼女だから、お洒落なカフェでアルバイトをしているのだろうな。履いているのはきっとスキニージーンズ。

笑顔を見たいと表現するよりも、“ネイビーのエプロン姿を”と表す方がリアルで、間近に横を通る存在という空気感が出る。この数行の歌詞に彼の恋心がぎゅっと盛り込まれているのが見えて、最後の一行にくる“Give me Cafe au lait”でいじらしさが破裂する。

多分彼は、カフェオレが特別好きというよりも彼女を目の前にして、カフェオレください、としか言えなくなっている。もっと想像すると、覚えてもらいたくていつも同じカフェオレを頼んでいるとしたら、可愛さのプリンアラモード状態。

 

サビはポピュラーで耳に馴染みやすい分、メロディーが微かに切なさを帯びていて、そこに重なる森崎ウィンさんの声が爽やかさと揺らぎを生み出している。

サビ前に鳴っている、カーッというあの音が“ウィブスラップ”という名前の楽器なのは初めて知ったけど、あのコミカルな音が鳴ることで、彼の恋の空回り感が伝わってくる。でもただ面白い音になるのではなく、さりげなく曲に溶け込んでいるところが楽しい。

1番のサビでは、このカーッという音が鳴って、2番のサビではキーボードのダラララッっという指を滑らせるグリッサンドが鳴る。

この対比が、恋の進展を表している気がして、その変化にぐっとくる。

 

現実に経験するようなことではないとしても、このベタ惚れシチュエーションというのはどうしてかこんなに元気をくれる。曲の中に出てくる“彼女”への憧れで心ときめいているのかもしれない。

カフェで恋をするテーマの曲でいうと、AKB48からのユニットグループ、Not yetの「ペラペラペラオ」も好きだった。そして関ジャニ∞では「ビースト!」スーツを着たサラリーマンの昼休憩での一目惚れというあの曲も相当パンチが強い。

近いテーマでも、全く空気の変わるこのシチュエーションは奥深い。

 

一聴き惚れで「カフェオレ」を購入ダウンロードして、何度でも聴ける今がとてもしあわせだ。朝この曲を聴くと気分が明るくなる。夏の暑さにとても合う。

 

曲の最後に呟くように歌われる、

oh baby.

Just don’t break my heart.

浮かれ気分な雰囲気のラストに、お願いだよ僕を失恋させないでなんて、確信犯的な可愛さがずるい。

ホワイトとブラウンがマーブルを描いて混ざり合うカフェオレの、大人びたい幼さのようなこの曲がとても好きになった。