好きな声というのは不思議なもので、耳にするだけで癒しの効果は絶大だ。
好きな人だから声を好きになるというよりは、自分は声から好きになることの方が多い気がして、思い返してみると、確かに大事なポイントになっているとわかった。
自分は、耳はいいほうなのかもしれないと思っていて、ナレーションだけの声が誰のものか、遠くから聞こえる音楽がなんの曲なのか、聞いて判別する自分早押しクイズをするのが好きだった。
なので英語を聞くのも関西弁を聞くのも、同じ意味で耳に嬉しいから好きだ。
どんな音が好きなのか、誰の声が好きなのか、その傾向を分析してみることにした。
増田貴久さん
初めて、この人の “声” が好きだと意識して引き寄せられたのは、NEWSの増田貴久さんだった。
ライブ「テゴマスの青春」で、あの時聞こえた、アリーナの会場に響く増田さんの声に、耳で惚れてしまった。
それまで意識して聞くことがなかったのに、いきなり直の声を耳にしてしまったものだから、逃れられるはずはなかった。
イメージしているよりも低く、喉に響かせているような声。温かくて穏やかで、こんなに優しい声の人がいたんだと感動した。
bay FMで毎週金曜日の23時に放送している、ラジオ番組「MASTER HITS」を聴くと、その声の印象はさらに強くなった。のんびりとした話し方がくせになる。増田さんの声ってどんな?と思われている方は、ぜひ聴いてみてほしい。
この音源が特におすすめというものを挙げるとしたら、NEWS「なんとかなるさ」テゴマス「アイノナカデ」がとくに。
あとは「恋を知らない君へ」の大サビ前に、増田さんだけの声になるところ
“嗚呼 あなただけは消えないで
夏の中へつれてって”
という部分は、これ以上ないほど切ない声で、胸をしめつけられるとはこういう感覚だなと思い知るくらいに素晴らしい。
増田さんの声には、陽だまりのようなイメージもある。もちろん、優しい声色だけではない魅力があるけれど、やはりそのイメージカラーでもある黄色がしっくりくるような、そんな声。
そして、『らりるれろ』の音の出し方というか、舌の使い方が独特で、舌ったらずな感じになっているのが魅力の一つだと思う。
舞台「フレンド-今夜此処での一と殷盛り-」を観た時に、やっぱりこの人の声が好きだと、より深く心を掴まれた。
役柄も誠実で優しく、文学を愛する青年だったので、美しい日本語で書かれた台詞を一言一言、話す声が本当に素敵だった。増田さんの声が活きる舞台で、またいつかその声を聞きたい。
丸山隆平さん
低めな声が好きなのかと思っていたら、丸山隆平さんの声にも落ちた。
丸山さんの声は高い方だと思っているのだけど、歌った時の声色がなんと言ったらいいか、カラフル。あるライン上に乗った時の声の響き方が、本当に丸山さんとしての魅力を発揮していて、聴くたびハッとする。
多分、本人にとっても心地いい音の出し方があるはずで、その発声をしている時の歌声が特にいい。
曲で言うと「元気が出るsong」の
“思い出のかけらを集めて夜を明かそう
くだらないことでもいいよ
ボクらにだけ 解ればいい”
という部分の、“くだらない”の発音。
「スペアキー」の“どれだけの時間を 飲み込んで歩いたかな”という部分の、“た”音の上がり方。
分かりやすいと思うのは「きみへのキャロル」での
“だからこそ抱きしめてあげられるぜ”
という部分の声。
“ぜ” の音でワントーン上がる時の、綺麗な響き方に、丸山さんの声の個性がはっきり出ている。
そして、ライブDVD「元気が出るLIVE‼︎」の夏の恋人で歌割りが変わり、“その瞳に俺だけうつして” を歌った時の “うつして” の音。声の震わし方。
喉が開いている感じで、音が真っ直ぐ先へ抜けるような。音程が上がる時に、そのスイッチは入りやすい気がしている。
ミュージカルに声が向いていると思うのは、その端々から伝わる心地いい音の乗せ方の勘が良くて、それを掴んでいるように思うから。
だから、関ジャムで「民衆の歌」をミュージカル俳優さんたちと並んで歌う姿を見た時、これだ!と嬉しくなった。
根っからのディズニーのプリンス声。いつか吹き替えを担当する日が来たらどんなにいいだろうと思う。
西島隆弘さん
自分の声を知り尽くしている人だと思う。そしてもっと知ろうという探究心を持ち続けている人でもあると思う。
優しい歌い方も、抑えた歌い方も、がなるようにする歌い方もどれも魅力的だけど、曲で言うとAAA「Lil' Infinity」の大サビ前、 “今 運命に出逢えた” の声。毛布のような暖かさのある声に、このワンフレーズだけでほっと気持ちがほぐれる感覚になった。
そしてNissy「GIFT」では綿雪のような歌声だと感じて、西島さんは曲によって魅力的な面がいくつも見えて、声の持つ表情が違うと思った。
歌声を始めに聴いていたから、ドラマ「いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう」で朝陽さんを演じた時の声色にまた、惹かれていった。
音ちゃんに話しかける声が大好きで。雨に濡れて職場に戻った音ちゃんに、「御曹司きらい?」と言う声がとても好きだった。
基本的に、穏やかな声が好きなのだと思う。大きな声よりも、聞こえるのに必要なだけの音量で、ゆったりした話し方。
増田さんの声はころころとしていて、木のおもちゃの上を、丸い木で出来たボールが転がっていくような感じ。丸山さんの話し方が好きなのも、はんなり柔らかい波を描いて音が流れていくからだと思った。西島さんの雰囲気に引きつけられるのも、澄んでいて、温かさのある声だからだと思う。
いつか一度、自分の傾向には本当に理由があるのか、声の波長を調べて重ねて見てみたい。似ていないようで、何かが重なっているような気がしてならない。