はじけて甘くきらめく、夏の日のレモネード - なにわ男子「Soda Pop Love」

 

シュワシュワとソーダをグラスへ注いだ音に、メロディーがつづく。

淡くても期待せずにはいられない心が、ソーダ水の泡のように次々と浮き上がってくる。

なにわ男子の新曲「Soda Pop Love」は、とびきり可愛く爽やかで、ほんのり切ない味がする。

 

届け! このキモチ君に

歌い出しは大西流星さんで、メンバーカラーでもあるオレンジの衣装を着た姿が抜群に似合う。このパートを歌う声が曲と合っていて、まさにビタミンカラーな歌声。

新曲!可愛い曲だ!とせわしなく感情が動いていたところに、

グラスから飛び出した 泡のように 

と続いた歌詞。ときめきと驚きが限界値を超えて、聴きながら固まった。

泡!泡というワード来ましたよ!と、もし隣に誰かいたら、肩をバシバシ叩きたい気持ちだった。偶然とわかっていながら、解釈の一致というか、そこが嬉しくて、「ダイヤモンドスマイル」について文章を書いてタイトルをつけた時の気持ちが蘇った。

確かに今はソーダかー!と納得の思いもありつつ、あと5年後くらいには、シャンパンのようなきらめきの曲も似合う彼らになってるはずと、期待に胸膨らむ。

 

“グラスから”のパートは地声で歌い、“飛び出した”の“た”の音で、裏声にふわっと抜けるところがすごくいい。

“泡の”の声が少しエフェクトをかけたようにデジタルちっくになるところにもぐっとくる。

可愛らしさ抜群な大西流星さんの歌声につづくのは、長尾謙杜さんの歌声。

世界がうらやむ 恋にはじけよう 2人で

声にラメでも乗せたのかと思うほど、輝かしい。

 

まっすぐな瞳 描いてる未来

君を見るたび 愛おしさ溢れ出す

聴いていて心地いいメロディーに、キャッチーな言葉運びの耳に残るポイントがいくつもある中で、特に胸に響いたのはここだった。

君と僕のストーリーであるけれど、“まっすぐな瞳 描いてる未来”と描写されているこの時間は、君は僕の方を見てはいない。

きっと“君”の中にある“未来”へのワクワクで満ちていて、それでも。僕の方を見てよではなく、そんな“君を見るたび 愛おしさ溢れ出す”と歌う。

互いに道を進む横顔を見守りながら、その姿こそ素敵だと思える気持ち。

相手の世界を狭めるのではなくて、広がっていくことを楽しんでいる歌詞に心惹かれた。それは恋人たちだけのものでもなく、ステージに立つ彼らを見守る気持ちにも重なる。

 

西畑大吾さんと大橋和也さんが肩を組みながらの“愛しさ溢れだす”で見せた、大橋和也さんの動き。

キュンキュンポーズの手を上下に動かすような感じで、にーっと笑ってそんな可愛げMAXな動きをするものだから、可愛さ満天なねこに見えてしょうがなかった。

 

爽やかな君の笑顔 僕のココロをPop!

藤原丈一郎さんの声色に合っていて、“Pop!”の間も、弾け方も、絶妙な加減。そこへ弾けるソーダの音も重なる。

とにかく耳心地が良い。そこへ大橋和也さんのパートが繋がっていって、“煌めいた この出逢いは 偶然じゃない”とつづく。

“偶然じゃない”のところで、大橋さんが上パートに行き、藤原さんが下ハモになる。

藤原丈一郎さんの声に大橋和也さんの声がつづくことで生まれる安定感。「僕空〜足跡のない未来〜」では、大橋和也さんの声に藤原丈一郎さんが加わる形でボーカルが重なるところがあって、2つの声が1つの場所にあることの相性の良さに感動した。

2人の声の個性とバランスを見抜いて、バーチャルのお仕事へと抜擢した人のすごさも感じながら、何百回と回数を重ねて互いの声が馴染んでいった過程があるからこそ、今の素敵なハーモニーを受け取ることができているのかもしれないと思った。

 

コーラス部分はメインの歌詞の後ろにつくことの多いイメージがあったけれど、この曲では

(時を)最高の(刻もう)

とサンドイッチする形で出てくる。そのバランス感にもおもしろさがあって、隠れたり掻き消えたりしない、歌詞のひとつになっているコーラスも聴きどころ。

2番での“(胸に)青春の(刻もう)”のフレーズでだけ見られる、リズムに合わせて肩を揺らす振り付けがとても好きだ。

 

サビの最後にくる“Ah-”は、全員のユニゾンで裏声を使って、高く抜けていくところも魅力的。

「Soda Pop Love」の魅力として、歌詞の意味合いはもちろん、音感で楽しむフレーズが多く散りばめられているところに、楽しさがあると感じた。

主メロの後ろで、大橋和也さんの“Oh oh”や“La-”が輝きを添える。2番では西畑大吾さんの“La La”が素敵な装飾をしているところにも惹かれる。

 

 

2番に入ると、今度は道枝駿佑さんが歌う、

怒ってるその視線 刺激的でPop! 

怒らせちゃってるのに、のんびり屋な空気がなんだか拍子抜けしてしまう可愛さで、道枝駿佑さんの甘く柔和な声色に溶け合う。

 

長尾謙杜さんと高橋恭平さんが歌う、

 つまずいたらいつでも 僕の名前を呼んで

ここで一気に転調して、メロディーがマイナー調になるのがすごくよくて、“僕の名前を”の落ち着いた音運びに引き寄せられる。

高橋恭平さんが下ハモに回って、長尾謙杜さんは“いつでも”の“い”の高音を地声のままで伸ばしている音が綺麗に響いて、ここでは裏声を使わないのもいい。

可愛さで満たされたところに、ここでぐっとヒーローのような風が吹くメロディーライン。

 

唄え! このキセキずっと

2人なら乗り越えて行けるから

人生の 苦さも 悲しみも 

 

このパートで入ってくる手拍子に熱い気持ちが込み上げる。

ここの歌詞から、恋への願いだけでなく、静かに込められた未来への願いも感じられると思った。

シンプルに恋の歌として聴いても、なにか心の中で重なるものがあって、意味を深めて聴くのも楽しい。

 

“人生の 苦さも 苦しみも”という言葉の並びは、どれも憂いを表現しているように思えるけど、それでもそのあとに続くのは、“届け! このキモチ君に”という言葉。

思いが届くことを信じるのも、信じて全力で投げるのも、簡単なことではなくて相当な気力と体力のいること。

“掴め! このキセキもっと”の歌詞に、なにわ男子の向かう扉が開けていくことを願った。

 

 

サビ後に繰り返す歌詞の語感もキュートで、

Fizzy Fizzy Loving you,

Fizzy Fizzy Love me baby 

“Fizzy”の意味を調べると、発泡性の炭酸飲料などがシューシューと音を立てる時の表現だった。

耳に残る、“Fizzy Fizzy”のリズム。「Soda Pop Love」が初披露されたライブ配信の演出では、サビの盛り上がりに合わせてステージ両サイドから吹き上がったカラフルなテープがしゅわしゅわと音を立てて吹き出す演出。

目を閉じて聴けば、それはもうサイダーの弾ける音。

初めは、特効の音をマイクが拾ってしまっているのかと思った。明確には分からないけれど、録ろうとしないとここまで鮮明には聞こえないのではと考えたら、近過ぎれば雑音になってしまうその加減を探って、ベストポジションを見つけて、効果音として実際の吹き出し音を使う発想がすごい。

 

「Soda Pop Love」のベストパフォーマンスは、これからも少クラやライブで、さらに更新されていく予感がする。

 

涼しげに透き通ったソーダ

グラスの中で泡が弾けて、口に運べばしゅわしゅわと爽やかさのあとに甘さをつれてくる。その後ちょっとの苦味で残る切なさは、レモネードみたいで。

彼らの歌声が甘くきらめくほど、夏の日の思い出は輝いて、飲みほすのが惜しくなる。

この季節に聴きたい、なにわ男子の歌声がひとつ増えた。