目当ての誰かがいるからというよりも、ちゃんと見てみたかった。
今まさに、松竹座という場で育って、芽を出そうとしている子たちのステージを。
グループの「Lil かんさい」を筆頭に、関西ジャニーズJr.として、いま所属している子が集う公演。
会場 松竹座
2020年8月15日(土曜日)18:00公演
16日(日曜日)14:00公演 18:00公演
計3公演の生配信。
オープニング映像は、松竹座を振り返る写真の数々で始まった。
関ジャニ∞からジャニーズWEST、どんどんと時間は現在へと近づき、そして今。
リアルタイムに切り替わり、ステージ裏での円陣。Lil かんさいを中心に、関西のジャニーズJr.が揃う。
声出しをするのは、Lil かんさいの嶋﨑斗亜さん。
「僕たち一人一人が主人公です!」
「盛り上がれんのかー!!」
「俺ら次第やーーー!!」
これ以上、最高な意気込みがあるだろうか。
松竹座のブザーが鳴り、開演を知らせる。
1曲目は「UME 強引 オン!」
そして「Happy Happy Lucky You!」
ドローンで2階席にいる子たちや1階客席にいる子たちを映して、躍動感いっぱいに飛び回る。
劇場の廊下までドローンが飛び出て、廊下に並んだ子たちを映して、幕を開けている子の横を通って再び劇場内へ。
メンバーの足の間をすり抜けたり、真横を通る演出もあって、ドローンの操縦の難しさを思うと、操縦士さんの努力の結晶を見た。
みんなで歌う「バンバンッ!!」(ジャニーズWEST)
728(なにわ)の日の、夏の思い出が蘇る。
Lil かんさいのぬいぐるみを、メンバーそれぞれ手に持っている。
ここでLil かんさいが着ている衣装が可愛い。肩にかかる短めマントの裏地がメンバーカラー。面ではなく、踊っている時にひらりひるがえって見えるメンバーカラーなのがいい。ひとりずつ違うリボンやネクタイも可愛い。
今回のライブで感動したポイントのひとつが、仕立てられた衣装のクオリティの素晴らしさだった。
一息ついて、おしゃべりの時間になり、
話している途中に、西村拓哉さんが“斗亜くん”と呼んだのに対して「ははっ斗亜くんってなに…」と嶋﨑斗亜さんが気になった様子で、「いつもは斗亜って…」と呟いているやり取りが微笑ましかった。
西村さんは多分、よそ行きというか、初めて見る視聴者さんにも伝わるようにと整えた言い方をしたのだと思うけど、それがくすぐったかったのかなと考えると、いつもの呼び名で呼んでほしい案件はいつの時代もあるのだなと懐かしかった。
3人が着替えて出てきて、星が散りばめられたピンクと白の衣装。
これが素晴らしい可愛さで。ピンクの服を着こなしているところに射抜かれるのは今も昔も変わらない。
関西Jr.の平均年齢が13歳と聞いて、平均の概念を見失った。
最年少で、小学5年生。関西Jr.の人数は約30名。
幼く見えるけれど、自分が小学生だった頃を振り返ると、小学5年生の時に自分のことを子供だと思ってはいなかった…こちらが見て思うほど、本人たちは子供のつもりはないのかもしれない。しかしおぼこい。見守りたくなる。
どういうスタンスで見たらいいのか、はじめはあたふたした。
着替えを終えて揃ったメンバー。
今回の公演でのサプライズ、Lil かんさいの新曲が披露された。
「Tall me Tall me!!」
デビュー前にして、グループごとに新曲があるすごさに圧倒される。
余裕のない恋心。どことなくKis-My-Ft2を彷彿とした爽やかさを持つ曲調だった。
「Lil miracle」
そう!この曲!とピンとくるほど、Lil かんさいのイメージに曲が馴染んでいる。
しかも、ここの「Tall me Tall me!!」からの「Lil miracle」の流れが最高に良かった。
ロングバージョンで聴くのが初めてで、ピアノのソロからエレキギターのソロに入れ替わる、間奏のメロディーとダンスに釘づけだった。
マイクを持つ手、その横顔。向こう側から照らされるライトの眩しさ。
客席からは見られない、横一列に並んだメンバーの視点を見ているようで、ぐっとくる。
伊藤翔真さんと角紳太郎さんがメインになって、関西Jr.みんなで「スクール革命」(Hey! Say! JUMP)を歌って、
続くコントMCでは、新人くんたちの紹介コーナーまで用意されていた。
「僕たちにも後輩ができるんやなあ」という言葉に、そうか、こうやって新しい子たちが入ってきて、後輩だった子たちは先輩になっていくんだなあと思った。
ここからは企画「放課後Lil(ほうかごりとる)」
全員がステージに集まり、運動会の要領でチームごとに分かれて対決。3公演それぞれ内容が変わっていたようで、1回目はジェスチャーリレー。2回目は三輪車。
3回目は『ペットリレー』
なんだか最も謎多き危なっかしい企画に当たった気がする…と怯えながら見ていたら、基本ルールは松竹座を大きく使ったバトン形式のリレー。ただ、ステージ上を通る間は各チームごとに動物の耳カチューシャを付けて、その動物に合わせた動きをする。なるほど…なるほど?
ここでもまた、Lil かんさいの着ている衣装に目が行く。白のジャケットとパンツ。フードがメンバーカラーで、キラキラしている。
ルール説明が終わり、Jr.の子たちの列に続いてマイクを片付けつつ、しっかりカメラ目線も怠らない西村拓哉さんが流石。
猿担当でバナナを食べていてなかなかバトンを渡さない子、猫担当で「猫中毒」を踊りだす子、動きがひたすらスローな校長。カメラアピールに酔いしれだす大西風雅さんと西村拓哉さん。そんなことをしているうちにゴール間近の赤チーム、嶋﨑斗亜さん。
このままゴールか!と思われたがまさかの後進。ゴールしそうだけどしない、しそう…だけどしないでもジャンピングでゴール!
時間と間合いを加味したボケの作りが、赤チーム素晴らしかった。今回は西村拓哉さんがリーダーの白チームが罰ゲーム。
罰ゲームは、足つぼなわとび。
突如次の曲が始まり、「STANCE」(関ジャニ∞)を歌う。かと思いきや、曲の合間に足つぼなわとび開始。と思ったらまた曲が鳴りだして、“うまく飛べない”の歌詞に掛けているとわかるまで時間がかかった。とてもシュール。
MCの時間になり、席についていただいて…と案内されるのが懐かしく嬉しかった。
カメラに向かってゼロディスタンスを見せようということになって、Lil かんさいが順番に胸キュンをアピール。どういう立ち位置で見ていいか、心の置き所がまだ迷子。
着替えを順番にして戻り、今度の衣装は紺と白の縦ストライプ。
MCが終わる前に、レギュラー番組が決まりましたというお知らせがあったり、サタデープラスに出演しますというお知らせがあったり。
そしてここからは、関西Jr.シャッフルコーナー!
この曲を歌うこのメンバーが見てみたい、が叶う夢のようなコーナー。
1曲目はまさかの「ダイヤモンドスマイル」(なにわ男子)
“甘い運命感じて”を歌う西村拓哉さんの歌声がよかった。“永久に煌めけ”を斗亜さんが歌うのも、ばっちり。
「スキすぎて」(Sexy Zone)
振り付けの可愛さ、勢いのある歌詞。尚且つ個性は強めの曲。Sexy Zoneの中でもこの曲でくるのか!と意外だった。
手を動かして魅せる“フィンガータット”の振り付けが存分に盛り込まれているパフォーマンス。原曲でもこの振りをしているようで、今回は振付師の真鳥さんのレクチャーがあったのかなと思うとワクワクする。
「Do it again」(Hey! Say! JUMP 山田涼介さんソロ曲)
西村拓哉さんがソロでパフォーマンス。
アンニュイな空気に染まって見せる新たな一面に、どう見ていていいか迷ってしまう。
「3秒笑って」
2階席から関西Jr.の子たちが歌っていて、歌詞に気持ちが和らいだ。
「Secret Agent Man」
嶋﨑斗亜さんがはじめに登場。赤衣装に黒のハット。続いて大西風雅さん、西村拓哉さん。
「NEXT STAGE」
Lil かんさいが揃いの赤×黒衣装になり、一気に締まった雰囲気に。
高速で飛び回るドローン。1回転していた。操縦士さん、毎回相当な緊張感の中おつかれさまです…!
ダンスコーナーでは、1人1人の関西Jr.の子の名前が的確に出てきて、アルファベット表記もあることで読み方もわかる。丁寧な紹介だなあと感じた。
この数秒にかけて決め決めに踊る子のなかで、思い切ったカメラ目線のみを貫き、カメラさんにもグッとさらにズームされていた角紳太郎さん。いや踊らないのかい!と笑ってしまって、アドリブかオチの演出かわからないけど、インパクトの意味である意味正解なのだろうと思う。
ここからは関西濃いめのコッテコテメドレー
出てきたLil かんさいが着ていた衣装が、個人的に最も好きな衣装で、ついに見られた!と嬉しかった。
アシンメトリーなジャケットに、チェック柄が馴染んだメンバーカラーの衣装。
「おーさか☆EYE・愛・哀」(ジャニーズWEST)
個性がすごい。名前入りのサングラスまでしっかり用意。
「∞SAKAおばちゃんROCK」(関ジャニ∞)
オカン衣装にアフロのかつら。やっぱりこのコテコテ感が落ち着く。
「粉もん」(ジャニーズWEST)
コテをみんなで両手に持って。早口の歌詞でかなり難易度も高い曲を持ってきた…!と驚いていたら、次にきたのはその比じゃない味の濃さ
「ホルモン〜関西に伝わりしダイヤモンド〜」(ジャニーズWEST)ジャニーズWEST本人以外にこの曲に挑む人がいるとは…物凄いパッション。
「浪速一等賞」(ジャニーズWEST)
“なにわ”表記には、浪花、難波、浪速、など多様にあって、この曲は“浪速”表記なんだなと興味深く思った。
ラストは「関西アイランド」
ですよね!とテンションがもう一段階上がる。無条件に楽しい。
そしてアンコールは、再び「バンバンッ!!」
簡単じゃねえ 楽じゃねえ
だけど決めたんだろ自分で
この歌詞を歌う姿に、なんだか心がギュッとなった。
どの年代でも、ここにいる1人1人に思いと葛藤があって、それでもこの瞬間を今ここで見せてくれていることの大切さを、肌で感じたようだった。
“出ちゃいなよ”の一言で、先輩のドーム公演の花道を歩く機会が与えられることもあるジャニーズ。
右も左も分かる前からステージに立てる機会をどう捉えて、どう活かし、どう魅せるか。
デビューして10年は経ってからの関ジャニ∞を好きになった自分では触れてこなかった、あどけないカメラアピールや佇まいに、微笑ましくなったりドギマギしたり。
強く持ったら割れてしまいそうな卵を、両手のひらにそっと乗せるような感覚で、なんとも不思議な心持ちだった。
実際の先生だって何十人もいる子たちを束ねるのは大変で、この場の先頭に立って引き連れる「Lil かんさい」は、彼ら自身もまだ高校生。
高校生だから幼いという見方をしたいわけではなく、意志を持ってステージに立っていることは今回のライブでひしひしと伝わってきた。でも、このステージを成立させるため、その歳ではそうそう経験しないプレッシャーもあったことと思う。
プレッシャーに飲まれるどころか、やったんぞ!!!!という気迫が見えて、
あのステージの中で小さな子たちを引き連れて、やりきったことのすごさを目の当たりにした。
今回は3公演。いつもは松竹座で30日くらい公演をしていて、約1ヶ月できているのにねと話していたのも印象的だった。
いつもはここで30日もの時間を過ごしているんだと、彼らにとっての日々の積み重ねがここにあることを思った。
ふわりとした喋りの印象があった嶋﨑斗亜さんへのイメージは、今回のライブでぐぐっと変わった。
憑依と言いたくなるような空気の変え方、突き抜けた時にガラッと表情の変わる、その片鱗を感じた。
まだ完全に羽化しきっていない、殻から羽をのばしはじめている姿を見ているようでドキリとする。
“静”の西村拓哉さんと、“熱”の嶋﨑斗亜さんのコントラストを今回は感じて、片方が前に出る時はもう片方が落ち着いた温度で見守る、二人のバランス感覚がどんな成り立ちになっているのかも気になっている。
そして本編ほとんどの司会進行役を担った大西風雅さん。落ち着いた空気がありつつ、コントでは教頭役を務めた當間琉巧さん。
先日の「僕らAぇ! groupがbrakeしそうですねん?!」で、オカン役をしていた岡﨑彪太郎さんの存在感に心惹かれるものがあった。
にこやかで静かな佇まいのなかに、まだまだ新たな面がありそうで、お芝居のニュアンスが見ていて自然に感じたのと和装が似合いそうなのとで、名家の跡取りの役や時代劇のオファーがきたら合いそうだなあと思う。
ライブの最後。Lil かんさいがステージに並び、最後の挨拶をする。
「俺たちがー!」
「関西Jr.ーーー!!」
これまでは、大阪に行かなくては知ることが出来なかった松竹座での時間。あの場所でステージに立つ彼らの姿。
今、関西ジャニーズJr.が観せるステージを、離れたこの場所から感じることの出来たひとときだった。