鏡の反射みたいに眩い光で - 嵐「Love so sweet」

 

輝いたのは 鏡でも太陽でもなくて 君だと気づいた時から

 

小学生の頃。階段を降りる途中、踊り場でふと思い浮かんだ歌詞を口ずさんでみたことを、今も覚えている。

音楽というものを意識するずっと前。ジャニーズを知るようになるもっと前。

カラオケが世界で一番苦手で、人前で歌うなんて絶対にいやだと思っていた私は、爽やかに甘いこの歌を自分の口から呟いてみることすら照れくさくて、誰もいない場所で、こっそりこの言葉だけを声に出してみた。

こんなに長い間覚えているつもりはなかったなと思うけど、それでもあの瞬間は学校生活の記憶と共にしっかり残っている。

 

 

Love so sweet

作詞:SPINさん 作曲:YOUTH CASEさん

 

最初の歌詞一行で、これほどまでに輝きを表現できることがすごい。

眩しい物の象徴として、光や太陽が出てくることはあっても、“鏡”を例えにもってくるところが不意打ちで、大好きな歌詞になった。

鏡に光がシャンッと当たった時の、咄嗟に目を閉じるような眩しさ。光の強さを言葉にされるよりも、瞬間的な出来事であることがイメージできる歌詞に心惹かれた。

 

想い出ずっとずっと忘れない空 ふたりが離れていっても

こんな好きな人に 出逢う季節二度とない

光ってもっと最高のLady きっとそっと想い届く

信じることがすべて Love so sweet

 

ピンク色の花びらが舞うようなラブソングなのに、歌詞はどこか二人一緒にはいられない雰囲気が漂っていて、なぜ離れるなんて言うのだろうと考えていた。

ドラマ「花より男子」を見ると、歌詞にある遊び心や、どこか切ないこの歌詞の意味もわかる。

けれど、ドラマ主題歌としてのイメージを外した時の「Love so sweet」も好きで、何かを見つけて胸が高鳴る感覚や、そのことで心揺れたりする感覚に寄り添うこの歌詞に何度も励まされた。

 

こんな好きな人に 出逢う季節二度とない

そんなふうに思うことなんてあるだろうか?と不思議で仕方なかった小学生の私に教えたい。

このひとだ!と見つけた時の嬉しさ。確信できてしまうほどの胸の高鳴り。

好き、とは小学生の私が想像するような、一対一の恋愛感情に限ることではなくて、舞台に立つあのひと、歌を歌うあのひと、テレビの向こうのあのひとにだって思いを馳せて、日々の原動力になるようなことがあるのだと、教えたい。

季節ごとあげてしまえるようなときめきは存在する。

 

光ってもっと最高のLady きっとそっと想い届く

自分が惚れている相手に向けて、褒め惜しまない歌詞の世界観が好きで、“光ってもっと最高のLady”という歌詞には、最高の恋人で賞を贈りたい。

聴き方によっては、僕から君へだけでなくて、第三者視点でこれからの二人の行先を知っているような歌詞にも思えるから、想いはきっと届くからもっと素敵になってしまえと背中を押しているような意味でも、この歌詞はすごくいい。

 

 

ドラマ「花より男子」のストーリーに重ねて聴いた時、特に響いたのは、

信じることがすべて

と印象的に繰り返されるところだった。

お互いの本質を見つめられず、すれ違い続けて噛み合わない牧野つくしと道明寺司に最大とも言える道明寺司の母親が壁となって立ちはだかった時、最も大切だったのは信じることだったと思う。

だから、ドラマの終わりに「Love so sweet」が流れるたび、二人が一緒にいるための鍵がここにあるのに…!と焦ったくて、同時に本当にぴったりな曲が主題歌になっていると感動した。

牧野つくしが目の前に見る道明寺司を信じつづける限り、どれほど周りの力で誤解させてすれ違わせても、二人が引き離されることはなかった。

 

テレビから、イヤホンから。光が粒になってそよいでいくようなイントロがふいに流れてくると、ひとりでこっそり口ずさんだ階段の踊り場の空気を思い出す。

この曲の彼女みたいに、芯のある輝きを内に持てる人になりたいと思った気持ちが蘇る。